最終更新: 2025年5月1日

ジャンルの融合とプロダクション

Mei Semones(メイ・シネモス)
-滝田優樹:今作の印象としてはジャズやボサノバ、チェンバーロックを土台にインディー・ロックに接続した挑戦的な作品です。ただ、しっかりと自我を見失わずに自身の音楽に落とし込まれていることに驚きがありました。その要因はどういったところにあるのでしょうか。プロダクションに関しては、どんなことを意識したのか教えてください。
メイ・シモネス:これらの異なるジャンルを混ぜ合わせる際の思考プロセスについては、特に複雑なことはないの。ただ、自分が好きで、自分にとって自然だと感じる曲を作ろうとしているだけ。どうやってこれらのジャンルを繋いだり混ぜたりしようかと意識的に考えているわけではないのよね。単に、それが私の中から出てくるものなんだと思う。だって、それが私が好きで、一番聴いたり勉強したりしてきたものだから。ジャンルやスタイルが混ざったり切り替わったりする中で、「自分の自我を保つ」ための努力は、制作プロセスを通して必要ないよ。だって、曲自体が、私自身であることのストレートな表現だから。

言語によるアプローチの違いは?

-滝田優樹:また日本語歌詞の曲と英語歌詞の曲がどちらも収録されています。それぞれ異なる言語でソングライティングをされてみて、アプローチやアレンジは変えられたのでしょうか。
メイ・シモネス:特にないかな!私にとって、歌詞はたいてい最後のステップだから、ハーモニー、メロディー、曲の核となる構成といったソングライティングのアプローチは、どちらの言語でも同じなの。どの言語で書いていても、歌詞はストレートに保つようにしていて、基本的には頭に浮かんだことをそのまま書いて、そこから進めていく感じよ。

ブレイクスルーとなった楽曲

-滝田優樹:今回のアルバムであなたたち自身のブレイクスルーとなった楽曲、もしくは最も変化や進化を感じさせる楽曲はどれですか?
メイ・シモネス:特にブレイクスルーと言える曲が一つあるかどうかは分からないけれど、過去の作品(『Kabutomushi』)から最も成長が見られる曲という意味では、「Animaru」か「Zarigani」かな。「Animaru」は、私が今まで書いた中で最もロックっぽいサウンドの曲の一つだと思うんだけど、よく聴くとビバップのラインが散りばめられていて、そういう異なる影響が曲の中で一緒になった感じが好き。「Zarigani」は、曲全体を通してスタイルがこれほど突然、はっきりと何度も切り替わる曲を書いたのは初めてだったから。

リスナーへの想いとメッセージ


-滝田優樹:『Animaru』をどのような人に聞いてほしいですか? もしくはどのようなシチュエーションで聞いてほしいですか? 歌詞やサウンド面で特に注目して欲しいポイントがあれば教えてください。
メイ・シモネス:『Animaru』は、聴きたいと思った時にいつでも聴いてほしいな!私は外を歩いたり、電車に乗ったりしている時に音楽を聴くのが好きだから、他の人たちにも日常生活の中で、私の音楽をそんな風に聴いてもらって、少しでも支えになったり、気分を上げてくれたりしたら嬉しい。だって、私の好きな音楽が私にしてくれることだから。特に注目してほしいポイントはないけれど、聴いてくれる人それぞれが、その中に何か特別で共感できるものを見つけてくれたらいいなと思っているわ。

日本のリスナーへ

-滝田優樹:日本には、既にあなたの音楽を聴いている人や、このインタビューをきっかけに『Animaru』を聴く人、そしてフジロックであなたの音楽に出会うであろう人たちがいます。最後に日本のリスナーにメッセージをいただけますか?
メイ・シモネス:(日本語で)私の音楽を聴いてくれてありがとうございます!

メイ・シネモス アルバムリリース

1stアルバム『Animaru』

Mei Semones(メイ・シネモス)『Animaru』
発売日: 2025年5月2日
品番:BR066JCD[CD]BR066JLP-C1[LP]
定価:¥2,500 +税[CD]¥6,000 +税[LP]
その他:
世界同時発売、解説/歌詞/対訳付、日本盤ボーナス・トラック収録[CD]
世界同時発売、解説/歌詞/対訳付、限定カラー盤[LP]
発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
収録曲目:
1. Dumb Feeling
2. Dangomushi
3. Tora Moyo
4. I Can Do What I Want
5. Animaru
6. Donguri
7. Norwegian Shag
8. Rat With Wings
9. Zarigani
10. Sasayaku Sakebu
11. Itsumo(※)
※日本版ボーナストラック
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メイ・シモネス ライブ情報


フジロックフェスティバル ’25
開催日:2025年 7/25(金) 26(土) 27(日)
開催地:新潟県湯沢町苗場スキー場

メイ・シネモス プロフィール

Mei Semones(メイ・シネモス)
ミシガン州アナーバー出身で、日本人の母を持つMei Semones(芽衣シモネス)は、4歳でピアノを始め、11歳でエレクトリック・ギターに転向。高校でジャズ・ギターを弾いた後、バークリー音楽大学でジャズを中心にギター演奏を学んだ。数枚のシングルとEPをリリースし、2022年にはニューヨークへ移住。ポスト・ボッサのバラード歌手、John Roseboroとコラボレートし、メロディック・ロックのアウトフィット、Raaviと初のツアーも実施。日本語の幼稚園の先生として働きながら、曲作りも続けた(歌詞は英語と日本語の両方で書かれている)。2024年の春にはEP『Kabutomushi』をリリース。Rolling Stoneの「Artist You Need to Know」や Pasteの「Best of What’s Next」に選ばれ、Red Hot Chili PeppersのFleaが絶賛するなど注目を浴び、来日公演もおこなった。

ライター:滝田優樹

1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。

そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。

その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。

退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。

それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。

猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。

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Twitter:@takita_funky