最終更新： 2025年5月29日
Savagesとの出会いとGoddessの誕生
－滝田優樹：今回のアルバム『Goddess』のほぼすべての楽曲のベースには同じくSavagesのエイス・ハッサンが参加しております。なので改めて彼女との関係や出会い、そしてあなたの音楽にどのような影響を及ぼしているのか教えてもらえると嬉しいです。
エイスに初めて会ったのはSavagesの最初のリハーサルの時。Sex PistolsのTシャツを着ていて、すごく親切で落ち着いた人だったのを覚えてるわ。エイスとは何年もツアーで部屋を一緒にして、家族な関係になったの。バンド活動は時々難しいこともあるけど、エイスはいつもバンドの中で一番の親友で、それが私たちのドラムとベースがどれだけしっくりくるかにも表れていると思う。私にとって、エイス・ハッサンみたいにベースを弾ける人はいないし、『Goddess』のサウンドは私たちのドラムとベースから始まるの。エイスが大好きよ！！
プロジェクト名の由来
私は仏教を実践していて、法話をたくさん読んだり聴いたりするの。その中の一つで、人の役に立つ、親切で善良な人生を送っている人は皆、内面に”菩薩”の光を宿しているという話があったのね。その考えにすごく共感して、一緒に活動していた素晴らしい女性やノンバイナリーのミュージシャンたちが皆、美しい光を宿していると思った。さすがにプロジェクト名を”Bodhisattva”にはできなかった。文化の盗用だと思われちゃうからね。だから同じような感覚を共有できる別の名前を探して、”Goddess”に行き着いたの。ずっと音楽のプロデュース方法を知りたかったから、Savagesが活動休止した時にLogicの使い方を学び始めたのよね。それがドラムに代わる私の新しい夢中なものになったよ。
プロデューサーとしての挑戦
－滝田優樹：ご自身から見て、”Goddess”はどのような音楽をやっていて、どのようなプロジェクトなのか説明することはできますか？ ”Goddess”というプロジェクトであなたは演奏家であるとともにプロデューサーでもあります。アルバム資料では”このプロジェクトで、私はドラムの後ろから出てプロデューサーの役割に足を踏み入れ、創造的なプロセスの最初から最後まで女性的なエネルギーを強く流し込みました”というコメントもあったのでそれについて詳しく知りたいです。
音楽スタイルがどんなものかはよくわからない。もしかしたらあなたの方がうまく説明できると思うわ！プロジェクトを始めた時、Nine Inch Nailsみたいなすごくヘビーな音楽を作ろうとしていたんだけど、実際に出てきたのはそういう感じじゃなかった。もっとフェミニンで、でもハードなエッジも残っている感じ。多くの部分でかなりメランコリックね。”ドラムの後ろから一歩踏み出した”っていうのは、自分が中心になるプロジェクトをやることで、私の自信が大きく試されるということだと思う。私は後ろにいるのが好きだから、自分でプロジェクトを”担当”して運営するのは大きな飛躍よ。
社会問題への意識
－滝田優樹：2019年には気候変動アクティビズムのチャリティ団体”Music Declares Emergency”を共同設立されていますね。気候変動についてはビリー・アイリッシュやRadioheadのような多くの音楽アーティストや映画作品でも問題提起されていて私もその問題を認識しています。しかし欧米諸国に比べて残念ながら日本ではまだまだ問題意識が足りない印象です、なのであらためてあなたの口から気候変動の考えを教えてもらえますか。
Music Declares Emergencyを共同設立したのは、意識を高めて、気候問題を真剣に受け止めてもらいたいという切実な思いからだった。同時期に始まった他の多くの組織と一緒に、意識を高め、気候変動が自分たちにも影響を与えることを人々に気づかせることに成功してきた。当時、自分にできる最も有益なことをするために、持てる限りの手段を尽くした。気候変動アクティビズムに関わってきたほとんどの人と同じように、希望と絶望の波を経験しているよ。私が理解しているのは、環境を大切に思うことは、良い人生を送るために不可欠だということ。それは他の人々や動物を大切に思うのと同じで、他者を思いやらなければ、とても悲しい人生を送ることになるでしょう。私たちが住むこの繊細で美しい地球を大切にすることは、自分以外のものを大切にすることの延長線上に過ぎないの。もし読者の皆さんに何かアドバイスができるとしたら、銀行のあり方を見直すことで大きな変化がもたらされるってこと。あなたの銀行は化石燃料に投資していない？もしそうなら、お金を別の場所に移すの。それは無料で、ライフスタイルを変える必要もない、とてもパワフルなことよ。解決策を見つけるために世界中で何百万人もの人々が協力し合っているし、変化は起きていて、それは避けられないことだから、私は楽観的に感じているよ。世界中が燃え尽きるとは思わないけど、世界の美しさが私たちの指の間から滑り落ちていっていると思う。例えば、天気は私たちの気分に根本的に関わっているのに、私たちはそれをめちゃくちゃにしている。誰も悪天候なんて望んでいないでしょう！毎瞬間、私たちは自分の行動で未来を創造しているのよ。
