最終更新: 2025年6月24日
ゲーム『DEATH STRANDING』との邂逅
小島秀夫監督との出会い
-Tomohiro Yabe:前作『dawn』収録の「Asylums for the feeling feat. Leila Adu」が『DEATH STRANDING』に使用され、「Almost Nothing feat. Okay Kaya」がエンディング・テーマとして書き下ろされました。この2曲は、どのようなきっかけで制作が決まったのでしょうか?また、小島秀夫監督とは具体的にどのようなお話をされましたか?
下田法晴:小島さんが『DEATH STRANDING』の制作中に、直接お会いする機会があり、当時リリースしたばかりの『dawn』のCDを名刺がわりに軽い気持ちで渡したら、とても気に入ってくださって、ゲームで使いたいと連絡いただきました。その流れで、エンディング曲も依頼していただき、スタジオに招かれて諸々の説明を受け、制作過程のシーンなども見せていただきました。信頼されて任せていただいた感じで、ゲームが終わった達成感と感動を受け止める曲というようなイメージを伝えられ、あまり細かい指示のようなものは無かったと記憶しています。
Okay Kayaの起用理由
-Tomohiro Yabe:「Almost Nothing」ではOkay Kayaがフィーチャーされていますが、どのようなきっかけで彼女が参加することになったのでしょうか?
下田法晴:当時、彼女の出演するヨアキム・トリアー監督の映画『テルマ』を観て、とても魅了され、シンガーであることも知り、歌声を聴いて「Almost Nothing」にピッタリだと思い、直接オファーして実現しました。
7年ぶりの新作『HOPE』を紐解く
激動の7年間を経て
-Tomohiro Yabe:『HOPE』は、前作『dawn』から7年ぶりのリリースとなりました。この7年間には、パンデミックや戦争など、どの時代よりも様々な出来事があった7年間だと思います。今作をこのタイミングでリリースすることになった理由や背景について教えてください。
下田法晴:実は、本来ならば、『dawn』からあまり間を空けず、新作をリリースするつもりでいました。そこでパンデミックが起こり、個人的にも様々な問題が起こり続け着手できないまま、本格的に制作を始められたのはちょうど2年前になります。この7年間でパンデミックはもちろん、民主主義を揺るがすような社会的な混乱、そしてウクライナ紛争が起き、ガザでジェノサイドが起き、同時に闘病を含む個人的な災難も経験する中で、悲しみ、怒り、虚しさ、無力さ、、いろんな感情が充満して行き、今作はそれを乗り越えたい、抗いたいという思いがエネルギーとなって生まれたものだと思います。そして、人生で初めて死を意識し、自分がこれからどう生きていきたいのか、何を表現していきたいのか、何を大事にしたいのかということを考えたのもこの作品の大きな背景となりました。