最終更新: 2025年9月11日
秋山信樹:「Everyday Conversation」の後半が、すごく良い感じになったのはやっていて楽しかったですね。今回、エンジニアはステファニーという友人をLAから日本に呼んだんですけど、どの曲も、僕らが欲しい音のイメージがすごく伝わっているというか、そもそもお互いが持っている感覚が合っていた。一発録りをみんなでやって、その部屋からミキシングルームに戻って聴いた音が、最初から“この感じだな”“欲しい音がしてるな”って。ミックス前の音源で、すでに好きな音をしていた、という感動はとても大きかったです。
下中洋介:アルバムで印象に残っている曲はかなりいっぱいあるんですけど、「Man on the Run」の最後で、ツインギターで早弾きみたいなソロをやるのはずっとやりたかったんで、すごく嬉しかったです。ツインギターがめっちゃ好きなんで。それと、「Who’s In My House」の最後の展開が変わって、加地くんのサックスが入ってきた時のギターリフをみんなで合わせている時がすごく好きです。あの瞬間は、ライブでも毎回やってて楽しい。なるべく長くやりたいけど、曲の都合上終わってしまうのが悲しいです。
鈴木健人:「Man on the Run」と「This Minute」は、特に歌詞がいいなと思っています。自分が思っていた以上に、パーソナルなことを歌っているな、と。僕はサポートなので、制作の過程で歌詞をずっと見たり聴いたりしていたわけではないんですけど、後から読んで“いい歌詞だな”と思って。
下中洋介:俺も「This Minute」、よくSpotifyで歌詞を見てる。
鈴木健人:こういう音像で、即興的に作った曲だけど、かなりパーソナルなことを歌っているんだなと思って、良い歌詞だと思いました。演奏面では、クリックなしで録るのはプレッシャーもあるし、怖い面もあるので、これまではクリックを聴いて録った音源しかなかったんですよ。今回はクリックもなしで、完全にみんなで一斉に録るというのは初めてだったので、そういう意味ではどの曲も新しいチャレンジで、全部印象に残っているとも言えます。やってみたら、クリックなしも意外と楽しいんだな、と思いました。
秋山信樹:他のメンバーの音を聴きながらできるからね。
鈴木健人:そうそうそう。逆にクリックがあったらこうはなっていなかっただろうな、と。クリックを聴かないでレコーディングしたことで、クリックありで演奏する時のクリックの聴き方も少し変わったと思います。。またやりたいですね。あと、ミスのハードルも下がりました。ミスしたら通しでやり直しなので。
下中洋介:もう一回やればいいんだけどね。
鈴木健人:みんなをもう一回付き合わせるのが申し訳なくて。
下中洋介:いいよ、みんなでもう一回やろうよ。音楽によってはクリックがあった方がいいものは絶対にあると思いますけど、逆にクリックがない方がいい音楽もある。一発録りだとすぐ録れてお金もかからないし。
-まりりん:だいぶ時間短縮されますもんね。嘉本さんはいかがですか?
嘉本康平:みんなが言ってくれました。だいたいインタビューって、みんなが喋ってくれるんで、僕が言うことはないですね。
秋山信樹:じゃあ1回、かもちゃんの単独インタビューやろうよ(笑)。2万字くらいの。
-まりりん:それはすごく面白いと思います。でも、今回は本当にそれでいいんですか?
嘉本康平:いや、まず曲が何があったか…。
秋山信樹:スズケンと正反対の記憶力だ。アルバムの曲を忘れちゃってる。
鈴木健人:かもちゃん的なハイライトは、次のアルバムだと思うな。
嘉本康平:次のアルバムは、見せ場があるからね。ギタリストとしても。いやーでも、全部言ってくれました。
下中洋介:公の場で言おうと思っていたんですけど、このアルバムで、かもちゃんがエフェクターで色々な効果音を出してくれているんです。これって、僕は本当にすごいことだと思っているんですけど、世の中じゃ気付かれれないと思うので、ここで言っておこうかなと。あの音をエフェクターで、あれだけ正確に出せるのは本当にすごい。シンセだと思われているかもしれないけど、あれはギターの音なんです。すごく自然に入っているけど、あれはすごいな、と。
嘉本康平:いやー、エフェクターのおかげです。
鈴木健人:かもちゃんの音作りのうまさが出ているよね。
下中洋介:すごいと思う。代わりに言っちゃうね。あと、「This Minute」の歌詞をよく読んでほしい、というのもついでに言っておきます。読み応えがあるので。
秋山信樹:ありがとう。「This Minute」は俺も好き。
歌詞に込めた想いとライブ表現の変化

諦観とポジティブさのバランス
-まりりん:歌詞についてですが、DYGLの曲は今までも今回も、後ろ向きなイメージがなく、前に進もうとしているのが全体的な印象です。ただ今回は歌詞を拝見して、純粋に前を向いているだけでなく、様々な葛藤や諦めのような感情も含まれているように感じました。セッションで曲ができたということは、歌詞は全て後から付けたのだと思いますが、どのように作っていったのでしょうか?
秋山信樹:そうですね、大体歌詞は後から作ります。ただ、「This Minute」の“東京”というテーマは、セッションの時に“東京”という言葉がメロディーにハマったことで、これを広げたいなと思いました。そんな風に、セッションの中でフリースタイルに近い形で思いついたパーツが、後から広がっていったケースもありました。確かに、諦観のようなものが織り交ぜられている印象もありますね。今回は、都会の厳しさのようなものも入ってはいますが、とは言え湿気っぽい要素はかなり減ったと思っています。曲自体がかなりドライなのでそこまで湿っぽい歌詞はハマらないし、僕ら自身もそういう気分ではなかった。確かに、全てがポジティブかと言われると、そういうわけではないと思いますが、「Big Dream」などは本当にネガティブな要素がないし、「Just Another Day」も比較的そうです。どの曲も、100%ポジティブとか100%ネガティブだと、少し聴きづらい時もあるなと感じていて。どちらかに振り切れて聴こえるけれど、実は何かが混ざっているような曲が、他の人の音楽を聴いていても好きなんです。そのバランスも少し変わりつつありますが、両方の側面を感じ取っていただけたのであれば、嬉しいです。

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