最終更新: 2025年12月14日

English article here 🔗
English

東京が誇る4人組オルタナティブバンド、xiexie(シエシエ)。

2021年にリリースされたデビューEP『XIEXIE』以来その活動を追ってきたが、ローファイなインディーポップを軸に、サイケやチル、ソウルなど他要素の音楽をかけ算差し引きしながらめざましい活躍をしてきた。

その活躍は国内にとどまらず、直近では台湾の音楽フェスへの出演や香港から北京まで初の中国7大都市ツアーも開催し、アジア圏を中心に活動の幅を広げている。

また、BELONGでもインタビューを行ったLesssugärやSubsonic Eyeとの共演も果たしている。

正直なところ、xiexieの音楽を的確にとらえることがまだできていない。さらに言うと断定を避けたいとすら思っている。

まだまだ彼女たちは変化と進化を止めないからだ。だからこそ、xiexieは魅力的で目が離せない存在なのだ。

今回はxiexieのルーツから1年半ぶりの新作となったEP『zzz』のことまで、順を追ってきくことで、その魅力を伝えたいと思う。

アーティスト:Meari、幸田大和、開輝之、飛田興一(Meari, 幸田大和[Yamato Koda], 開輝之[Kai Hiraki], 飛田興一[Koichi Tobita]) インタビュアー:滝田優樹(Yuuki Takita) 翻訳・編集・校正:BELONG Media / A-indie

xiexieが結成された経緯


-滝田優樹:私たちBELONG Mediaはアーティストのルーツに注目している音楽メディアです。今回はじめてのインタビューなので、まずはxiexieが結成された経緯から教えてください。飛田さんが発起人で、2010年代付近のUSインディーへの憧憬がきっかけだと思うのですが、他のメンバーとはどのように出会って今に至るのでしょうか。

Meari:私と飛田が出会ったのは、共通の友人が開催していてたまたま行った、朝活のヨガイベントでした。そこで初めて話をして、後日私がSNSに上げていた歌を聴いて連絡をくれたのがきっかけです。飛田はギターの幸田とはxiexieの前に長くバンドを組んでいて、また一緒に音楽やろうよと声をかけて。ベースの開のことも、ライブを何度か見ていていつか一緒にやりたいと思っていたそうで、開が渋谷のTSUTAYAにあるスターバックスの店長をしていた頃、カウンター越しに「一緒にバンドやりませんか?」とスカウトしたらしいです(笑)。
幸田が作っていた曲のラフに私の歌を乗せてみたら、いい感じだねとなってそこからこのバンドが動き出しました。

バンド名”xiexie”の由来

-滝田優樹:バンド名について教えてください。バンドとして活動するにあたって”xiexie”という名前にした理由やその名前が持つ意味は何ですか?

Meari:短くて言いやすくて、覚えやすいものがいいよね、というところから考え始めました。最初はsmee (スミー)だったのですが。
私が中華圏が好きで、上海や台湾によく行っていたこともあって、中国語の響きに惹かれていて。「xiexie」は覚えやすくてかわいくて、ピンイン表記のアルファベットの並びもかっこよく、これだなとなりました。どこかハッピーなバンドでいたいという私たちをあらわしているなとも思います。

メンバーそれぞれの音楽的ルーツ


-滝田優樹:xiexieの音像としてはローファイであったり、サイケ、そしてドリーミーといったものが主軸にあって、それが作品毎にソウルやR&B、ジャズ、ボサノバなどなど他要素も感じられます。そこで気になるのがUSインディ以外だと、メンバーそれぞれのルーツでいうとどのような音楽があるのでしょうか。

Meari:小さい頃は家でエド・サリヴァン・ショーみたいな洋楽の番組を見て育って、人前でショーをする世界にすごく憧れていました。マドンナのMVもずっと観ていて、歌とダンスで魅せる表現、ミュージカルやダンスに夢中だった時期もあります。
「ダンスミュージック的なもの」というか、体が勝手に動いてしまうような曲が好きです。言ったらなんでも踊れるんですけど(笑)。
また父がドラマーでライブによく連れて行ってもらっていたので、生音のエネルギーや衝撃は自分の原点として大きいです。

幸田大和:アコースティック

開輝之:ネオアコやソフトロックからの影響が強くて、海外だとAztec CameraやThe Style Council、そして日本だとPizzicato FiveやBridgeなどの軽やかな質感に共感しています。

飛田興一:ジャンル越境しすぎてるのですが、めっちゃ色んな音楽が自分の体に入ってます。テクノもルーツだし、ジャズドラムも少し叩くし、サンバチームにも入ってて。気づけばブラジル音楽がいちばん自分を支えてくれてる感じがしています。

バンドに根差したアルバム3枚

-滝田優樹:xiexieの音楽に影響を与えたもしくはバンドに根差したアルバム3枚をあげるとすれば、どれですか。また1枚ずつ、どのような部分に影響を受けたかやエピソードがあれば教えてください。難しければ、メンバーそれぞれ1枚ずつ好きなアーティストのアルバムを教えてください。

Meari:Ducktails『Jersey Devil』
聴くとちょっと寂しくなるのですが、その寂しさが自分を自由にしてくれる感じがあります。
バンドを始めるまでは「隙のないもの」が好きだったりしたのですが、この作品を聴いて余白に衝撃を受けたというか、彼の人間味とか癖が伝わってきて、その人がそのまま出てる世界が音楽なんだって気づかせてもらいました。自分もそういう表現をしたいなと思った作品です。

幸田:Fleet Foxes『Helplessness Blues』


開:Beach Boys『Pet Sounds』
コード、メロディ、ハーモニーの洗練、ポップとしての普遍性、そしてひとつの作品で世界観を描くという姿勢で共通点の多いアルバムだと思います。


飛田:Toro y Moi『Underneath the Pine』
このアルバムで初めて、音楽って、右と左から出てくるステレオの立体感だけでひとつの世界が作れるんだと感じました。演奏とか、楽器を弾くっていう概念を超えて、音そのものがアートになっていくっていう感覚を教えてくれた。こんな風に世界観そのものを提示できる音楽を自分もいつか作りたいと思わせてくれた僕にとっての大切な一枚です。

ライブパフォーマンスへの意識


-滝田優樹:昨年、Lesssugärがデビューアルバムをリリースしたタイミングで彼らにインタビューをして、来日公演も観にいったのですが、その時に共演してたのがあなたたちでした。その時にはじめてxiexieのパフォーマンスを観ました。その時は、オーディエンスを巻き込みながら一体感を演出するというよりも自分たちの音をしっかりと聴かせることで聴き手個々に没入感を与えて陶酔させていく形で引き込まれつつも無意識に体がゆらゆらと揺らしてしまうような気持ち良さがあるのがとても印象的でした。ライブパフォーマンス時、どのようなことを意識していますか?メンバー間で統一した考えであったり、そのイベントごとに異なる考えがあるのか気になります。

Meari:自分の歌はずっと サウンドの中に存在していたい という感覚があって、ライブでもその姿勢は変わらないです。
フィジカルでどれだけ生を伝えられるかという楽しさもあるのですが、最終的にお客さんが自分の感覚で世界に入っていける余白を残すことを大事にしたいです。

飛田:自分のヒダが触れるかどうかを一番優先してます。まず自分がサウンドとして気持ちいいって感じられる演奏じゃないと意味がないというか。自分の中で震えたものは、絶対どこかで人にも伝わっていくと信じています。

Lesssugar
【インタビュー】タイのインディーシーンを牽引するLesssugar(レスシュガー)とは?

次のページこちら ⏩️