最終更新: 2026年3月4日
沖縄とジャマイカの共鳴
-yabori:琉球音楽とジャマイカの音楽に近い部分を感じたということですが、具体的にどういうことか詳しく教えてもらえますか?
ハクブンゴウ:口頭で表現するのは難しいんですが、実際に曲を聴いてもらえれば分かると思います。三線のリズムの取り方とかにレゲエと似た部分がある気がして。これは昔から言われていて、有名な民謡歌手の知名定男さんもレゲエアルバムを出しています。琉球民謡にはレゲエと共通のバイブスがあるように思います。実際に沖縄ではレゲエが盛んですし、県民性的にもジャマイカと近いところがあると思います。
-yabori:それは初めて知りました。沖縄でもそういう話が通じる人は多いんですか?
ハクブンゴウ:沖縄民謡や琉球古典を音楽として聴いている人はかなり少ないです。小さい頃から習っていたから聴いているという人が多いので、僕みたいにギターから三線に行ったり、ダンスミュージック的な感覚で民謡を聴いている人は少数派です。DJの中には数名そういう人もいますけど、一般的ではないですね。友人に沖縄音楽を勧めても、ピンとくる人はあまりいません。彼らはレゲエを通ってないからだと思っています。レゲエを聴けるようになった人なら、聴けるようになると思います。裏打ちがあるとか、音楽的な構造の深さというよりは、バイブスが近いという感じでしか言えないんですが。
BO GUMBOSと沖縄のインスピレーション
-yabori:ちょっと昔のアーティストですが、BO GUMBOSのどんとはいろんなジャンルをごちゃ混ぜにする人で、最終的に沖縄に移住したんですよね。以前、踊ってばかりの国の下津さんにインタビューした時にもどんとの話が出て、彼もフォークをやっていてレゲエも通っているから、今の話に繋がるのかなと思いました。
ハクブンゴウ:もちろん知っています。繋がる部分はあると思います。沖縄には何だかんだいって全てがあると思っていて、ラッパーでも一時的に沖縄に住む人っているんですよ。沖縄の中部はほとんどアメリカみたいな感じなんですよね。文化が発展しているとは言えないし、クラブも少ないんですが、明らかに東京にはない何かインスピレーションが湧くところがあるんですよ。
-yabori:昔はドルが使われていたくらいですしね。
ハクブンゴウ:そうですね。そんなに昔じゃなくて、僕らの親の世代はドルを使っていましたからね。
三線の難しさ、古典を弾く理由
-yabori:ギターから三線に行ったということですが、三線は何がそんなに難しいんでしょうか?
ハクブンゴウ:まず、沖縄の三線は単体では弾かないんです。大和の三味線とは違って、歌と三線の伴奏が完全に一体化しているんです。三線が歌の伴奏という感じではなくて、同時に進行して、時には伴奏っぽくなったり、逆にメロディーを補完したりと、構造的にも一体化しています。間の取り方や節回しがたくさんあって、それが難しいんです。ギターとは比べ物にならないくらい。ギターはオリジナルを弾く場合が多いので自由にやっていいし、それが魅力ですよね。でも三線、特に古典は伝統なので、昔の通りに弾かないといけないんです。クラシックと同じですね。それを不自由だと言う人もいますが、僕はそうは思いません。昔の音楽を伝えるためにやっているので、今の感覚で改変するのは冒涜に近いと思っています。オリジナルをやりたいならオリジナルをやればいいわけで、古典の中でやる必要はないと思います。厳密な正解が決まっていることや、技術的な難しさがあります。一番分かりやすいのは声の出し方ですね。昔の人たちの歌い方をそのままやろうとするのは、黒人のブルースをそのまま歌おうとするのと同じくらい難しいんです。
-yabori:感覚がそもそも違うんですね。ギターはオリジナルであればいかようにもできるけど、民謡や古典は今までやってきたことが決まっているからごまかしようがないと。なぜそれを面白いと思ったんですか?
ハクブンゴウ:やっぱりルーツに繋がれるというのが一番大きいです。古典を弾いていると、300年以上の歴史、もっと大昔の感覚に繋がれる気がします。僕は古い琉球語も勉強してある程度喋れるようになったんですが、90歳くらいのおばと喋ると、ものすごく昔の人に繋がったような感覚があります。それが音楽でも同じように起きるんです。これはオリジナルを作ることとは違う感覚ですね。










