最終更新: 2026年4月2日

“鳥”というテーマ


-滝田優樹:ここからは最新アルバム『Birding』についてお聞きします。タイトルとなっている”Birding”は”鳥というテーマ全体を通して、宗教的な象徴、つまり広い世界の中で自分が取るに足らない存在だと感じることの荘厳さを、直接的に表現”しているそうですね。なぜこの鳥というテーマで作品を作ろうと思ったのか教えてもらえますか?

ベン:前のEP『Aurelia』には変容というモチーフがあって、『Birding』でもその考え方を引き継いだんだ。ただ、今回は少し輝かしさよりも暗さが強いかもしれない。ジャケットアートは、大きすぎる服を着た子供が、荒々しくて暗い背景に抗いながら飛ぼうとしている姿を描いている。それが本質を表していると思う。世界はとてつもなく広くて、苦しい瞬間に満ちているから、それと比べると自分がどうしても小さく感じてしまう。特に今みたいに、何もかもが絶望的に見える時代には。

ドッティ:アルバムを書いていた頃、ロンドンでしばらく暮らした後に自然の近くに引っ越したばかりだったの。人間の神経系を落ち着けるために必要な、地に足のついた感覚やつながりを感じられた。春で、鳥たちがいたるところにいて!風に運ばれていく姿や、私たちのすぐそばで生きている様子が好きだった。地元の本屋で詩集を見つけて、鳥にまつわる神話や伝説をたくさん読みました。人間がこの生き物たちに精神的・宗教的なつながりを見出していて、カチガラスは幸運のシンボル、フクロウは知恵の象徴、カラスは不幸の予兆を運ぶとされていたりする。かつて人間にとって自然だけが頼りだったから、自然から教訓を見出していたんだと思う。それが今もなんとなく残っているんだけど、デジタル時代には薄れてきていて、それはとても残念だと感じます。

参考にした詩と物語


-滝田優樹:『Birding』を制作するにあたって、鳥に関する歴史的な物語や詩を熱心に読み漁ったそうですね。具体的にはどの物語や詩を読んだのか気になります。
ドッティ:地元の本屋で『The Poetry of Birds』という素敵な本を見つけたの。Simon ArmitageとTim Deeが編集した、古今の鳥の詩をまとめた本で、巻末に各鳥についての注釈もあった。序文でティムが”最初に見たものを言葉で残した鳥観察者たちは詩人だった”と書いていて、それがすごく素晴らしいと思った。コレクションの中で特に好きだったのは、シルヴィア・プラスの“The Shrike”とヴィッキー・フィーヴァーの“Wood Pigeon”です。

制作プロセス


-滝田優樹:今回のアルバムは全体的に荘厳で静謐なトーンが貫き通されていながら、節々で荒々しさを感じさせるサウンドもあったりと、緊張感と発散とがいいバランスで展開されていますね。そのどれもが規律的で調和がとれていて格調高い印象だったのですが、今回のアルバムを制作するにあたって、どのようなアイデアの交換や意見があって制作を進められたのでしょうか。

ベン:“規律的”というのはうまい表現だね。『Aurelia』のあと、dearyのレコードを作るために自分のスキルを磨こうと、意識的に他のアーティストのプロデュースやミックスをしたんだ。だからスタジオに入った時には、いいものが作れるという確信があった。サウンドを洗練させること、必要に応じてヴォーカルのリバーブを抑えること、惰性で音を足さずに立ち止まること、そしてチームとしてより一体感を持つこと、それも目指していた。とても考え抜かれた作業だったよ。

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