最終更新: 2026年4月5日

音楽のルーツ


-yabori:これは私たちが取材するすべてのアーティストに必ずお聞きする質問です。プレスリリースでは見えないものが、この質問の答えから伝わってくると考えています。The Paradeとしての音楽のルーツにあたる3枚のアルバムを挙げて、それぞれが皆さんの作曲やレコーディングにどう影響したか、エピソードがあれば教えてください。

3枚というのがなかなか難しくて、これという3枚はないんだ。僕たちはポップからジャズ、アンダーグラウンドなテクノからアバンギャルドなロックまで、本当に何でも聴くから。ただ、スタジオでThe Paradeとしての帽子をかぶるとき、僕たちが思い描いているのは、ストリーミングもソーシャルメディアも存在しなかった時代の音楽への向き合い方で、それがとてもロマンティックなインスピレーションになっている。今の状況を考え始めると、重荷を背負わされているような気分になるから。だから、1987年から1994年のUKの音楽シーンへ思いを馳せようとしているんだ。何でもありのDIY精神を持ちながらも、真剣に、ただ“これは正しい感触だ”と思えるものを作るという姿勢で。

ABBAのMiniMoog


-yabori:プレス資料に、ABBAの楽曲でも使用されていたMiniMoogがこのレコードで使われたとありました。それはどのようないきさつで、この楽器を入れようと思ったのでしょうか。

ははは、そうなんだよ。ずっとジョンのスタジオにあったものでね。ABBAがずっと昔に飽きて手放したんだろうと思う。MiniMoogはたくさん持っていたと思うけど、これには何かしら歴史があるのが面白い。今でもアドレスタグがついたままになっているよ。

レコーディングの全貌

撮影:Daniel Ersson
-yabori:『City of Dreams』は2026年3月13日にリリースされました。個々の曲の話に入る前に、まずレコーディング全体のプロセスを教えてください。どこで、どのくらいの期間かけて作ったのか、プロデュース、ミックス、マスタリングには誰が関わったのか教えてください。

ジョンとジョナスにはそれぞれ素晴らしいスタジオがあるから、行ったり来たりしながら、最終的なプロダクションとミックスはジョンのスタジオで仕上げた。プロダクション、レコーディング、ミックスは全部自分たちでやっていて、マスタリングはジョンのスタジオのすぐ隣にいるマイケル・ファイナーというマスタリングエンジニアがやってくれた。すぐ近くにいるから、スピードも仕上がりも最高だったよ。

「I’m a Dreamer」が最初に作った曲で、ある有名なレーベルのもとで1年半から2年ほど塩漬けになっていたんだ。2023年に夏がまたやってくるという頃、この曲をサマーシングルとして出さないといけないと感じて、その日のうちにトラックを引き上げた。同じ日にメジャーレーベルにも送ったら、すぐに返事が来て、その週のA&Rミーティングで流したいと言ってきた。でも僕たちは、誰かが先に動いたら待たないと伝えて、(スウェーデンのストックホルムを拠点とするレコードレーベル)Dumont DumontのMagnusに送ったんだ。5分後に彼から電話がかかってきて、コーヒーを飲もうということになって、1時間後にはスタジオで契約していた。トラックを引き上げて契約してから、アルバムを仕上げるまで数ヶ月くらいかな。楽しみながら少しずつ書き溜めていたんだけど、このプロジェクト自体は4年前にスタートしていたんだ。

ジャケット写真のコンセプト

The Parade『City of Dreams』
-yabori:『City of Dreams』のカバーは解像度の低い写真で、二人の人物がキスしているものとなっています。とても印象的なビジュアルですが、なぜこの写真をジャケットに選んだのか、その理由とコンセプトについて教えてください。

単純に、その写真の持つ雰囲気が気に入ったんだ。それと、低解像度な質感がいい。感触さえ正しければ、すべてが高解像度である必要はないからね。

素顔を隠す理由

撮影:Daniel Ersson
-yabori:あなたたちはこれまでアーティスト写真を公開しておらず、ネット上にも情報がほとんどありません。Bandcampには3人の顔がわからないピンボケした写真があるだけです。アーティスト情報や写真を公開しない理由について、もし話せる範囲で教えていただけますか。この質問に答えたくない場合はスキップしていただいて構いません。

みんなが“見て見て”と叫んでいる状況があるよね。音楽が本来何であるべきかという感覚を、みんな完全に失ってしまったと感じている。だから、僕たちの音楽を聴いて、何を感じるべきか何を考えるべきかを指示されることなく、自分でその空間を感じてほしかった。好きなバンドのことを、時間をかけて少しずつ知っていく。一度に全部をぶつけられると、残るものが何もなくて、魔法が消えてしまうから。インタビューをしたり話したりすること自体は全然構わないし、それにはとてもオープンでいる。ただ、全部を一度に手渡すことほどロマンのないことはないし、何としてでも売ろうとするのは好きじゃない。

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