最終更新: 2026年4月9日
My New Band Believe(マイ・ニュー・バンド・ビリーヴ)は、black midiのキャメロン・ピクトンによる新バンドだ。
black midiの解散後、キャメロンはソロプロジェクトではなく“バンド”という形式にこだわりつつも、固定メンバーを据えるのではなく、流動的に多くのコラボレーションを展開するスタイルを選択した。
そして今回、デビューアルバム『My New Band Believe』をリリースする。
アルバムのプロデューサーは、キャメロンの他に8人組インディロックバンド、carolineのジャスパー・ルウェリンとマイク・オマリーが担当。
さらに、キーラン・レナード、カイウス・ウィリアムズ、スティーヴ・ノーブル、アンドリュー・チータムといった名だたるミュージシャンたちがプレイヤーとして参加している。
そのため作品は、混沌と調和が交互に姿を現すサウンド構成となっており、素朴さと華やかさの両面を巧みに描き出している。
そんなMy New Band Believeの今後を展望すべくインタビューを行い、バンド結成の経緯やBlack Midi解散後の歩み、そしてデビューアルバム『My New Band Believe』について、キャメロン・ピクトンに話を伺った。
自由なスタイルで活動をスタートさせたMy New Band Believeの可能性は、いまだ未知数だ。
black midiの解散、そして新たな始まり

-滝田優樹:私たちはアーティストのルーツや音楽がうまれた背景、そして影響を受けた音楽・文化・芸術を大切にしているメディアです。今回私たちとははじめてのインタビューとなるので、まずはバンドの成り立ちから質問させてください。キャメロンが新バンドを立ち上げられたとのことで、日本でも話題になっています。なので、My New Band Believeがどのような経緯で結成され、どのようなメンバーで構成されているのか教えてもらえますか?
キャメロン:このバンドはかなりゆっくりしたプロセスでできあがっていったんだ。大きく分けて、2つの流れが同時に進んでいた感じだね。ひとつはblack midiが解散していく過程の真っ只中にあったこと。その頃、black midi用じゃない新しい曲を書くためにソロでのライヴを始めていた。もう一度ゼロからやり直して、まっさらな状態で音楽を書くためだった。で、ライヴを始めてすぐにblack midiは解散して、“次に何をやろうか?”と考えたとき、ソロ・プロジェクトはやりたくなかった。むしろ他のミュージシャンと何かしらコラボレーションする形にしたいと思った。そこでcarolineと一緒にやるのはいいんじゃないかと思ったんだ。以前にも一緒にやったことがあったし、人としても好きだったし、音楽も好きだったしね。あのバンドにははっきりしたフロントマンやシンガーがいなくて、もっと開かれたグループだったから、自分が歌を担当して彼らと一緒に音楽を作って、場合によっては彼らにもヴォーカルで参加してもらう、みたいなコラボが面白いんじゃないかと思った。しばらくそれを進めてみたけど、現実的な問題でうまく形にはならなかった。で、最終的にはもっとオープンなプロジェクトへと変わっていった。それがMy New Band Believeになったんだ。いろんな人を巻き込んで、セッション・ミュージシャンやコラボレーターとして参加してもらう形にしていった。
そして、シングルをプロデューサーのセス(・エヴァンス)や、キング(・デヴィッド=アイク・エレチ)やジョシュ(・フィネティ)と作ったときに、“ちゃんと新しいバンドを始める”という考えにすごくワクワクしたんだ。Tame Impalaみたいにバンド名ではあるけど実質ソロ、という形ではなくて、もっと”本当のコラボレーション”をやることに強く惹かれた。もちろん、このアルバムはどちらかというとソロ・プロジェクトに近い部分もある。でも実際には多くのコラボレーションがあるし、これをソロ名義にするのは関わってくれたミュージシャンたちに対して失礼だと思った。それに長期的にはバンドとしてやっていきたいと思っていたし、セッションの感触もすごく良かったからね。だから“バンド”と呼びつつ、その定義をかなりゆるくしておくのが面白いと思ったんだ。ライヴをやり始めたときも、“一緒に演奏したい人はいっぱいいるし、まだ固定メンバーはいない。だったらずっとオープンにして、一定期間ごとにいろんな人が参加できる形にしよう”と思った。ある意味オーディションみたいなものだけど、そのプロセス自体がすごく楽しくて、いろんな人と演奏すること自体を楽しめるようになった。これからのツアーではもう少し固定されたメンバーでやっていくことになると思うし、いずれはある程度決まったメンバーでアルバムを作りたいとも思っている。でもそれが1回なのか2回なのか3回なのかは分からない。そこはあえて決めていない。今はとにかく毎回違う人たちとライヴをやりながら、このバンドのあり方をいろいろ探っている段階だね。
自分としてはこれは”バンド”なんだけど、外から見たらソロ・プロジェクトに見えるかもしれない。でも僕は誰かに“こうしてほしい”と指示することはほとんどなくて、ただ自由に演奏してもらっている。その場で他の人の演奏に反応していくのがすごく楽しいんだ。ロンドンのいろんなミュージシャンとも少しずつ密にやるようになってきていて、今後はそういう人たちと一緒にツアーもしていく予定だよ。あとは・・・どうなるか見ていく感じかな。
通訳(青木):すごく面白いですね。実験的で、流動的で、開かれている感じがして、とてもクールです。では次の質問ですが、今のお話とも少し重なるかもしれません。
解散後の生活と音楽への向き合い方
-滝田優樹:Black Midiでの活動を終えてからMy New Band Believeを結成するまでの間、どのような生活を送っていましたか?
キャメロン:black midiの終わりは・・・というか、解散する前の時期がすごく大変だったんだ。音楽に取り組むのもかなり難しい状態だった。でもバンドが終わったときは、正直かなりホッとした。同時に、それまで持っていなかった”はけ口”のようなものを見つけ始めてもいた。特に明確な目的もなく新しい曲を書くということを。“来週ライヴがあるから、1曲か2曲書かなきゃいけない。フルセットをやるために”みたいな感じで、とにかく曲を書いていった。しばらくはそんなやり方でやっていたし、少しツアーもしていた。
black midiはここ数年、経済的にはそれなりにうまくいっていたから、少し貯金もあった。それで“このお金を使ってロンドンで生活しながら、その間にいろいろやってみよう”と思ったんだ。実際そうしていたし、前の質問でも話したように、だんだんとある時期から集中的に音楽に取り組むようにもなっていった。音楽制作を完全にやめた時期は一度もなかったし、何もしていなかったわけでもない。ただ、明らかにペースを落としていた時期はあって、そのときは何か新しいことを学んだり、別のことに時間を使ったりしていたんだ。










