最終更新: 2020年5月16日


ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が主宰するレーベル、only in dreamsから『MAN NOWEAR』がリリースされ、デビュー作から順調なスタートを切ったNOWEARMAN。しかしそれは3年前の話であり、昨年末にシングル『Chance/24hours』を待つまで表立ったリリースはなかった彼ら。しかしながらライブで披露された曲は明らかにアルバム一枚以上はある状況なのに、どうして新作のリリースがなかったのだろうか。話を聞くにつれ浮かび上がってきた彼らの葛藤についてフロントマンであるナガノサトルに率直な気持ちを語ってもらった。

アーティスト:長野智(Vo.,Gt.) インタビュアー:yabori

-ちょっと今回は新作の前に色々と伺いたい事があるんですけど、まずは前作『MAN NOWEAR』から3年経ってのシングルリリースとなりました。それまではどのような活動をしていたんでしょうか。
ナガノ:『MAN NOWEAR』を出した後は、自分たちでも何か新しい作品を作れるだろうという予感はあったんだけど、意外と作れなくて(笑)。

-え、本当ですか!?アルバム一枚分くらいはライブでやってた曲があったじゃないですか!!
そう。アルバムでいうと2枚分くらいはあるんだけど、曲を作ってライブで演奏してみて、じゃあこれをレコーディングとまではいかなくて。要は自分たちで作ったものを面白がれる曲はできてなくて。

-ライブで演奏しても、はたしてこれをレコーディングして作品にできるかっていう部分で葛藤があったんですか?
リリースがない時だと自分たちが曲を作ってライブをやって、自分たちだけでその曲を録音してっていう事まではやっているんだけど。でもそうじゃなくて全国流通のCDとして出せるものって考えた時に、はたして面白いものが作れているのだろうかと思っていて。そうすると前に進んでいかなくて・・・。レーベルにも定期的に曲を聴いてもらって相談していたんだけど、お互いこれよりももっと良いものが出せるだろうと思っていて。

-3年間の間でこの曲は出しても良いだろうと思えるものが、今回のシングルまでに一つもなかったという事ですか?
ない事はなかったんだろうけど、曲を録りためてあった訳でもなくて。曲を作り込んでいけるほど手応えのある曲はなかったんだよね。

-自分たちの中で新しさがなかったということですか?この曲も前に出したあの曲に近いなとか。
そう。自分たちの作った曲を自分たちで面白がれない期間が長くて。

-ではそこからどう突破していったかも聞きたいんですが、先に『MAN NOWEAR』をリリースした直度、ROCKIN’ON JAPANにも掲載されましたし、“JAPAN’S NEXT”っていうイベントにも出ましたよね。あの時はWANIMAや04 Limited Sazabysと共演されたと思うんですけど、あのタイミングってバンドのキャリア上ではチャンスとも呼べる瞬間だったとも思うんですよ。で、あのタイミングでリリースしてツアーをするっていうのがバンドの正攻法じゃないですか。でもあえてそれとは違う方向性で活動していたのはどうしてなんでしょうか。
自分たちのやりたい事はツアーして回るというのではなくて、自分たちとして面白い事をやりたいって思いが強くて。じゃあどの人たちに向けてやるのか、その為にどうしたら良いのかっていうのが自分たちとして見えてこなかった時期でもあって。ROCKIN’ON JAPANのイベントに出た時も、自分たちのやりたい事が明確になってないまま出演したから、戸惑う事も多くて・・・。

-そうだったんですね・・・。彼らとNOWEARMANで一番違うのは商業的な観点だと思ってて。バンドって基本的には車でツアーを回ってライブで収益を出すものだと思うんですけど、NOWEARMANはそういう発想じゃないっていう。
まさにそこで!その部分に関しては周りのバンドと大きく違っていたから、自分たちも考えさせられる部分が多々あって。活動はちゃんとしないといけないなっていうのは改めて思う所で、商業的な観点がなさ過ぎたっていう(笑)。でも今のバンドはそういう商業的な部分が大きな位置を占めていて、好きな音楽をやるのではなく会社のように運営する才能が求められているんだろうなとも思って。自分たちはそれをやる為に何をやるかっていうアイデアがなかったから。

-バンドとしての活動をどうするかっていうよりも作品ありきで活動していたっていう事ですね。
そう。作品をどうするかっていう話になっていくと活動が進んでいかない部分が出てくるし、暗礁に乗り上げた事がこの3年間の間に何度もあって。

-自分を含め、みんなが思っている事だと思うんですけど、NOWEARMANってこれからどういう活動をしていくんだろうと思ってたんですよ。
確かに。その辺を含めて自分たちで考えていなかきゃと思ってて。今まではイベントに呼ばれたら出て、曲を作るっていう活動をしていたんで、自分たちの音楽的な面白さを追及する事だけを考えていたから。でもそれをどう形にしていくかであったり、どういう風に発信していくのかっていう事は疎かになっていて。リリースするにあたっても前作からスパンが空いているのに前の続きをやっても・・・って思ったし、コンスタントに形にしていれば自分たちとしても躊躇なくできたのかもしれないけど、期間が空くとリリースする際に抵抗があって。だからそもそも“バンドをやるとは何か?”っていう部分も考え始めて・・・。

-作品以前にそもそもの話ですね(笑)。
そうそう(笑)。そこに関してはすごく考えた。

-それは前作をリリースしてからの3年間の間にですか?
いや、それが去年末くらいの話(笑)。

-いや、けっこう最近ですやん(笑)。
具体的にこうしようって決めて取り掛かり出したのが去年の末で。そこに行き着くまでにこういう活動はするべきだけど、自分たちがやるべきかっていう葛藤をありつつものごとを進めていて。そもそもバンドをやらなくても生活はできるし、バンドでどうしたいっていうよりもバンドで音楽をやりたいっていう思いが強くて。せっかくバンドをやっているんだから、こういう活動をしてバンドを回していこうっていう風にはならなくて。バンドは自分たちが音楽を追及する為のものだし、週4~5はメンバーで集まって曲を作ったり、リハをやったりしながら生活から音楽が離れないようにしていたけれど、じゃあそれがどこに向かっていくのかっていう・・・。

-定期的に曲作りやリハはしていたけど、それをやってどうなるのかっていうのが見えてこなかったと。ということはバンドとしてのビジョンが明確ではなかったんですか?
バンドとして運営する部分よりも作品をどう作っているかっていう部分に偏っていたんだよね。

-それは自分たちにも言えてることですね。こないだまでフリーペーパーとして配布していましたけど、広告はつけてなかったんで印刷費は自分たちで捻出してて。今では雑誌化して購入分を印刷費にあてるようになったんですけど、前まで経営とは程遠いものだったんですよ。
BELONGはそういう部分での親近感をすごく感じていて、もしかしたら歩みが似てるかもね(笑)。そういう事があったからバンドをやっていく事と音楽が寄り添うようにやっていこうと思っていて。例えば流行っているものがあったとして、自分たちがそこに乗っかって行ってもうちらには合わないと思っていて。そこは自分たちが好きな部分を追求していこうと考えてて。(『Chance/24hours』のインタビューに続く)

【Release】
『Chance』
レーベル:only in dreams
品番:ODEP-011
フォーマット:7インチシングル
販売価格:1,111円 (税抜)
発売日:2018年4月21日(土) 発売
トラックリスト:
Side A Chance (NOWEARMAN x NAHAVAND)
Side B 24hours (NOWEARMAN x SAORI from THE SUZAN)
販売店舗に関して:
今回の7インチシングルは、レコードストアデイ加盟店での販売となります。
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お住いの近隣店舗をお調べしていただき、入荷状況をご確認いただきますようお願いいたします。
RECORD STORE DAY 2018:http://recordstoreday.jp