最終更新: 2022年6月3日
DYGL(デイグロー)が新曲「Waves」を発表した。
本記事では新曲「Waves」の歌詞について和訳し、BELONG独自の解釈で内容を考察している。
この“波の歌”はどのようなストーリーなのだろうか?
目次
DYGLについて
DYGL(デイグロー)は日本のガレージロックバンドである。
音楽性は海外のバンドさながらで、直球のガレージロックバンドである。
2017年にはデビューアルバム『Say Goodbye to Memory Den』をリリースし、そのプロデューサーにはガレージロックの代表格であるThe Strokes(ザ・ストロークス)のアルバート・ハモンドJr.を起用している。
メンバーは以下の通り
・Nobuki Akiyama(Vo./Gt.)
・Yotaro Kachi(Ba.)
・Kohei Kamoto(Dr.)
・Yosuke Shimonaka(Gt.)
Waves
DYGL(デイグロー)の新曲「Waves」の特徴はガレージロックではなく、インディーロック的なサウンドである事だ。
ここでディスコグラフィーを振り返ってみる。
まず先に述べたファースト・アルバム『Say Goodbye to Memory Den』では日本のバンドとは思えないような海外思考の強いガレージロックサウンドのアルバムであった。
そしてセカンド・アルバム『Songs of Innocence & Experience』はその音楽性の延長線上にあった。
しかし、2021年にリリースされたサード・アルバム『A Daze In A Haze』では新たにガレージという枠組みに囚われない様々なサウンドを見せた。
それは次に紹介する「Half of Me」を聴いて貰えば分かりやすいだろう。
DYGL(デイグロー) – Half of Me (Official Video)
よって昨今のDYGL(デイグロー)はガレージロックという肩書きに縛られず彼らがリスペクトする音楽を自由に表現していると言えるだろう。
そこで新たに発表されたのがこの楽曲「Waves」である。
この曲はジャンルとしてはドリームポップなどに近い音楽性を持っており、広義でのインディーロック的なサウンドと言えるだろう。
そんなDYGL(デイグロー)の新たな顔が見られるのがこの曲の魅力である。
DYGL(デイグロー) – 「Waves」
Waves歌詞和訳
DYGL(デイグロー)の楽曲「Waves」について和訳していく。
サウンドと呼応して美しく情熱的な歌詞である。
見知らぬ潮だまりだ
私たちは夢の中を泳いでいた
まるで終わりなど無いように思えた
“I never know the tide
We swim in dreams
As if it never ends”
君の目を描こうした
深く息を吸って
吐いているような気分だ
“Trying to draw your eyes
I feel I’m breathing in
& breathing out”
空を書いては消して
完璧なタッチで
完成させるには時間がかかる
“Write & erase the sky
It takes so long to make it
Perfect touch”
光の速さに感じる
始めたばかりなのに
始めたばかりなのに
“I feel the speed of light
I’ve got to start
I’ve got to start”
聞こえた声は私を再び引き戻した
潮の音、それが優しく私たちを覆った
“A voice I’ve heard it brings me back again
Sound of tides, it hides us gently”
10代の頃の懐かしさのように渦巻いて
テープがループし、反響し続ける
“Swirling like a teenage afterglow
Tapes on loop, it still reverberates”
回り続けて、渦に飲み込まれる
回って、回って、次の日を迎える
“Spinning around, stuck in a vortex
Round & round, we start another day”
その波に名前を付けたい
でも、どうしたらいいか分からない
“I wanna name a wave
But I don’t know how”
その名は知らない
この落ち着かない心から
何が湧き上がるのか
“I never know the name
What’s coming up
Inside my restless heart”
溢れてしまいそうな気分だ
空高くから
深い海底からも
“I feel it overflow
From high above
And from the ocean deep”
長い夢の後で
このオーバードライブへ
飛び込んで沈むんだ
“After the longest dream
I dive & sink
Into this overdrive”
歌詞の無い歌を歌うんだ
今、始めた
今、始めたんだ
“Sing on a wordless song
I’ve got to start
Oh I’ve got to start”
聞こえた声は私を再び引き戻した
涙の音、それが優しく私たちを覆った
“A voice I’ve heard it brings me back again
Sound of waves, it hides us gently”
10代の頃の懐かしさのように渦巻いて
テープがループし、反響し続ける
“Swirling like a teenage afterglow
Tapes on loop, it still reverberates”
回り続けて、渦に飲み込まれる
回って、回って、次の日を迎える
“Spinning around, stuck in a vortex
Round & round, we start another day”
その波に名前を付けたい
でも、どうしたらいいか分からない
“I wanna name a wave
But I don’t know how”
光を辿って
歩道を飛び越え
うちまで案内され
でも、寄り道もする
もやが掛かった日々
そして君は愛する方法を知る
“Tracing the lights,
Jump over the sidewalk
Guiding me home
But I take a detour
Days in a haze
You’re finding the way to love, to love”
水面に文字を書き
確かな事は何も無い
でも、8月の太陽の下にある
この気持ちは
波の歌への名前を模索し続ける
“Writing a word
On surface of water
Nothing’s so sure
But this feeling’s mine
Under the August sun
Still looking for how
To name the song of waves”
Waves歌詞和訳まとめ
新曲「Waves」の詩の魅力について掘り下げてみる。Nobuki Akiyamaが書く歌詞の魅力
DYGL(デイグロー)のボーカリストであり作詞担当のNobuki Akiyamaが書く歌詞の魅力は抽象的ながらも情景が見えるところだと思う。
今作であれば“潮の音(Sound of tides)”や“光を辿る(Tracing the lights)”などのワードが多くの人々に共通の解釈を与え、幻想的な詩の世界観を作り出している。
そして作り上げられた世界観の中に存在する“8月の太陽(August sun)”や“波を名付ける(name a wave)”というワードチョイスが聴き手側の解釈を広げ、壮大な世界観に仕立て上げているように感じた。
このようにNobuki Akiyamaの詞は世界観に入りやすくも、聴き手ごとに解釈が変わるポイントが存在することが素晴らしいと思う。
その理由はNobuki Akiyamaは日本人であり英語のネイティブではないからだと筆者は予想する。
そんな日本人にしか書けない英詞であるからこそ、作り込まれた世界観とそこにリスナーを巻き込む技量を感じ、少なくとも日本人である私の心には響いた。
そんな一面からもDYGLは海外の音楽を模倣するだけの存在では無く、日本人というルーツと洋楽へのリスペクトを兼ね備えた唯一無二のバンドである。
Waves作品クレジット
DYGL(デイグロー)が新曲「Waves」のクレジットは下記となっている。
作曲:Nobuki Akiyama、Yosuke Shimonaka、Kohei Kamoto
作詞:Nobuki Akiyama
アルバム
シングル『Waves』
発売日: 2022/3/23
フォーマット:Mp3
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3rdアルバム『A DAZE IN A HAZE』[限定盤/T-シャツ付]
発売日: 2021/7/7
フォーマット:CD+Tシャツ
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2ndアルバム『Songs of Innocence & Experience』
発売日: 2019/7/3
フォーマット:Mp3、CD
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1stアルバム『Say Goodbye to Memory Den』
発売日: 2017/4/19
フォーマット:Mp3、CD
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DYGLバンドプロフィール
“2012 年に大学のサークルで結成され、アメリカやイギリスに長期滞在をしながら活動を続けるギターロックバンド。Albert Hammond Jr. (The Strokes) がプロデュースをした1st アルバム『Say Goodbye to Memory Den』(2017年)は、国内外問わず多くのメディアの注目を集めた。2019年に2ndアルバム『Songs Of Innocence & Experience』をリリース。全世界 53 都市を巡ったアルバムツアーを遂行し、東京のみならず北京・上海・ニューヨーク公演がチケット完売となった。 2021 年 ロックを現代的な解釈でアップデートさせ、ロックと向き合った最新作「A Daze In A Haze」をひっさげ全19都市を巡るジャパン・ツアーを敢行した。”
DYGLの評価
“2019年に各ラジオ局ヘビーローテーションにも選出され高い評価を得たシングル 『A Paper Dream』が含まれる2ndアルバム『Songs Of Innocence & Experience』をリリース。約 6 ヶ月に及ぶ全世界 53 都市を巡ったアルバムツアーを遂行し、東京のみならず北京・上海・ニューヨーク公演がチケット完売となった。”
DYGL代表曲(Youtube)
- DYGL(デイグロー) – Bad Kicks (Official Video)
- DYGL(デイグロー) – Sink
- DYGL(デイグロー) – Let It Out (Official Video)
DYGL関連記事
DYGL(デイグロー)の関連記事について、BELONGではこれまでにDYGL『Songs of Innocence & Experience』レビュー記事、『A Daze In A Haze』リリース記事、ガレージロックの新世代10組を取り上げている。
Seiya
ジャンルは幅広く音楽について研究するのが好きです。
楽器、レコード、ファッションも好きでその文脈からも音楽を楽しんでいきたいです。
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