突如現れた期待の新人バンド、メコン。情報が少ない彼らの素顔に迫るべく、初にして独占ロングインタビューを敢行した。
大学のサークルでの出会いから、コピーバンドを経てオリジナル曲を生み出すまでの道のり、そしてレッチリ(Red Hot Chili Peppers)のおかげでオリジナルをやることになったというメコンのメンバー4人それぞれの多彩な音楽的ルーツとは?
インタビューを行ったまりりんが、2nd EP『グライダー』と配信シングル『夏休み / 異星人』の制作背景にも深く切り込んだ内容となっている。
また、彼らは2025年8月9日(土) に自主企画“メコン川 第一版”を開催する。辞書を模したシュールなイベントのフライヤーにも注目して欲しい!
自主企画の前日に公開予定の一部有料の記事では、今回載せきれなかったインタビューの一部を公開する予定だ。
一部有料のインタビュー記事では、鶴岡光起(Vo/Gt)が“歌詞は降ってくる”と語る制作秘話から、「夏休み」「異星人」に込められた“解放”と“父親への想い”というパーソナルな物語を初公開。
彼らの音楽の核心に触れる貴重な内容にも注目して欲しい。
メコン・バンド結成の裏側
インタビュー:まりりん アーティスト:鶴岡光起(Vo./Gt.)、筒井なぎさ(Dr.)、内山“Woody”彰敬(Gt.)、吉岡澪皇(Ba./Cho.)
バンド名の由来は池袋のタイ料理屋
-まりりん:メコンについて調べたとき、情報があまり見当たらなかったので、いろいろお聴きできることがあって嬉しいです。取材などは初めてだと思うので、基本的なことからいろいろお聴きしたいと思います。まずバンド名の由来を教えていただけますか。
鶴岡光起(Vo./Gt.):バンド名の由来は、池袋にある“メコン”というタイ料理屋さんです。以前、池袋のスタジオによく入っていた時期に、そのお店によく行っていまして。思い出のお店だったので、そこから名前をいただこうということになりました。
-まりりん:最初にスタジオに入られていた時は、まだバンド名は決まっていなかったのですか。
鶴岡:そうですね、集まり始めて2年くらいはコピー曲を主にやっていましたので。一昨年の8月頃にライブをし始めることになり、そのライブに出るにあたってバンド名を決めようということになりました。
コピーバンドから始まった4人の出会い
-まりりん:最初にコピー演奏をするために皆さんが集まったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか。
筒井なぎさ(Dr.):大学の同期ということで、もともと薄いつながりはありました。この3人(鶴岡、内山、吉岡を指す)は友達同士でした。
内山“Woody”彰敬(Gt.):大学一年生の時に入っていたサークルが皆同じだったんです。
筒井:そこからのつながりは以前からずっとあったのですが、鶴岡がサウンドクラウドに自作の曲をずっとアップしていて、それを私が好きで聴いていたんです。ある時、新しくバンドを始めてみようと思った時に、私の好みのど真ん中の曲を作っているのが鶴岡だったので、もしバンドをやっていないようだったら一緒に組んでみたいと思い、連絡したのが始まりです。そこから、鶴岡が吉岡と内山を連れてきてくれて、4人で最初にスタジオに入ってみようかという形になり、そこからコンスタントにコピー曲なども演奏する目的でスタジオに入るようになりました。
オリジナル曲制作のきっかけは筒井の一言
-まりりん:最初の頃はコピー曲中心だったとのことですが、ゆくゆくはオリジナル曲で活動することも考えていらっしゃったのですか。
吉岡澪皇(Ba./Cho.):いえ、そもそもはオリジナル曲をやろうという考えで始まりました。ただ、それだけでは練習にならないので、スタジオに入る日にはコピー曲も演奏する、というような感じでした。当時は3ヶ月に1回集まる程度でしたが、いつの間にかコピー曲が中心になっていました。
鶴岡:ある時、「次は誰の何の曲をやる?」という話になり、僕がRed Hot Chili Peppers(以下、レッチリ)をやりたいと言ったら、彼女(筒井)が少し怒ったような感じで。「私がなんで皆を集めたか覚えている?鶴岡の曲をやりたいからだよ」と言われて、「ああ、そうだった」と。
筒井:怒ってないよ(笑)。でも、焦っていたんです。このままではコピーバンドだけで終わってしまうだろうな、と。コピーだけをやっている場合じゃない、このままだとあまりにももったいない、と思って。
鶴岡:今となっては、あの時怒ってくれて本当に良かったと思っています。
-まりりん:そのお話が出たのは、スタジオに入り始めてからどのくらい経った頃ですか。
内山:2年くらいですね。まあ、2、3ヶ月に1回集まる程度の頻度だったので。
筒井:そうですね、最初は友達と遊ぶ延長線上のような感覚ではありました。
内山:筒井は以前から別のバンドをやっていましたが、僕と鶴岡、吉岡は個人で家で各々音楽をやっているような感じだったので、本格的にバンドをやるという意識はあまりありませんでした。そんな認識の違いがあったのですが、筒井が言ってくれて良かったです。
鶴岡:そうですね。初ライブや初音源制作を提案したのも、全部筒井です。彼女が発起人であり、始まりの人です。
-まりりん:筒井さんが言わないとオリジナルはやらなかったのでしょうか。
鶴岡:そうですね、やらなかったと思います。
内山:そういう発想自体がありませんでした。ただ楽器を弾いているだけの人たち、という状態だったかもしれません。
吉岡:楽曲をコピーをしているだけでも十分楽しかったですけどね。星野源さんやくるりなどをやっていたのですが、筒井も好きだったので、ここまではギリギリ許容範囲だったようですが、さすがにレッチリは看過できなかったのかもしれません。コピー曲をやろうという時でなくても、鶴岡がふとレッチリのリフを弾き始めると、筒井は毎回少し不穏な顔をしていましたが、結果的にレッチリのおかげでオリジナルをやることになったバンドと言えますね。