最終更新: 2025年9月24日
深夜ラジオで流れた楽曲をきっかけに結成されたcrushed(クラッシュド)。
LAとポートランドという遠距離で活動しているブレとショーンは『METAL GEAR SOLID』や『サイレントヒル』などのビデオゲームから多大なインスピレーションを受け、音楽制作に反映させているという。
特にスナイパー・ウルフというキャラクターに深く共感し、そこから得たインスピレーションを歌詞として昇華した楽曲「oneshot」は音楽ファンだけでなく、ゲームファンも心を動かされることだろう。
そんな彼らのデビューアルバム『no scope』では、ゲーム用語を巧みに使いながら現代の孤独感や虚無感を表現している。
Cocteau TwinsやPortisheadといったルーツを持ちながらも、ゲームをも表現に組み込んだ全く新しい音楽体験を提示する注目のデュオだ。
是非、彼らのインタビューと併せて、先日公開した「oneshot」の歌詞和訳記事と併せて読んで見て欲しい。
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crushedの結成と出会い
アーティスト:ブリ・モレル(Bre Morell)、ショーン・ダーカン(Shaun Durkan) インタビュアー:Tomohiro Yabe 翻訳・編集・校正:BELONG Media / A-indie
ラジオ番組を通じた運命的な出会い
-Tomohiro Yabe:まずはcrushedの結成のきっかけについて聞かせてください。ブレは大学で深夜のラジオ番組のホストを務め、ショーンがかつて所属していたバンド、Weekendの曲をよくかけていたそうですね。それから約10年後、ショーンが自身の番組でブレが所属するTemple of Angelsの曲を放送したそうですね。それがきっかけとなり、ブレがメッセージを送ったことでこのデュオが結成されたと聞きました。素晴らしいエピソードですが、お互いにどうして相手の曲をかけようと思ったのでしょうか。
ブレ:私がいた大学のラジオ局KVRXにWeekendの最初のレコードが届いた時、新譜の仕分け担当だった友人のジョーが、これは絶対に私の好みだろうって、そのCDを私のために取っておいてくれたの。私はそのレコードに夢中になって、車の中でCDが擦り切れるほど聴いて、自分の番組でもよくかけていたのよね。
ショーン:当時僕が見つけていた他のバンドと彼女のバンド(Temple of Angels)を本当に際立たせていたのは、ブレの声だった。僕が聴いたようなボーカルパフォーマンスを届けられる誰かと仕事をするというアイデアに興奮したんだ。
遠距離でのバンド結成
-Tomohiro Yabe:お二人はロサンゼルスとポートランドという遠距離で活動されていますが、Temple of Angelsの曲を放送した後、どのようにして実際に出会い、crushedを結成することになったのでしょうか?
ブレ:私たちはオンラインで時間をかけて友達になって、90年代のオルタナティブ・ポップがたくさん好きだという共通点を見つけたの。それで、そういう曲をいくつか書いたら楽しいだろうなって思ったのよね。実は、最初のEP『Extra Life』のほとんどは、実際に会う前に書いていて、ただオンラインでファイルやアイデアをやり取りしていただけだったの。
crushedのコンセプトと音楽性
アーティスト名の由来
-Tomohiro Yabe:アーティスト名についてですが、この”crushed”という単語を調べてみると、料理の際に食材が細かくつぶされる場面や、スポーツなどにおける敗北感、または人生の困難に直面したときの「心がつぶれた」というような、状況に応じた使い方ができる単語のようですね。どうしてこの言葉をアーティスト名にしようと思ったのか、由来を教えてください。
ブレ:”心が打ち砕かれる”っていうのが、基本的には全てを物語っている感じね(笑)。でも、これは私のお気に入りのCocteau Twinsの曲の一つでもあって、ずっと前から携帯のバンド名のアイデアリストに保存していたの。このプロジェクトが始まった時、すごくしっくりくる感じがして、ショーンも気に入ってくれたのよね。
音楽的ルーツと地域の影響
-Tomohiro Yabe:それぞれの活動拠点であるロサンゼルスとポートランドは、お二人の音楽にどのような影響を与えていますか?音楽的には、トリップホップを始めとしたイギリスのブリストルサウンドの影響が強いと感じるのですが、こういった音楽は地元のシーンで流行しているのでしょうか。現地の音楽シーンについても教えてください。
ショーン:ポートランドの音楽シーンがどんなものか、実はよく知らないんだ。地元で起こっていることとはかなり離れたところで活動している気がする。でも、ポートランドという街や、そこで仕事をする場所にはすごくインスピレーションを受けている。美しくて、ザラザラしていて、社会の片隅で生きている人々で溢れているんだ。
ブレ:ショーンと同じように、私の音楽的な影響は世界中から受けていて、必ずしも今ロサンゼルスで起こっていることではないの。イギリスの音楽、特にブリストルやマンチェスターの音楽は、確かに私にとって生涯にわたるインスピレーションであり続けているのよね。
-Tomohiro Yabe:私たちのメディアには”Roots Rock”というコンセプトがあり、アーティストのルーツを知ることで音楽性を深く理解したいという目的があります。crushedのルーツとなったアルバムを3枚教えてください。また、それぞれどのような影響を受けましたか?
ブレ:Cocteau Twinsの『Milk and Kisses』、The Sundaysの『Reading, Writing, and Arithmetic』、Portisheadの『Dummy』ね。リズ・フレイザー、ハリエット・ウィーラー、ベス・ギボンズは、私の大好きなボーカリストのトップ3なの。彼女たちの作品はすべて、私が自分の声を見つける上で、特にこのプロジェクトにおいては、大きな影響を与えてくれたの。
ショーン:Third Eye Blindのセルフタイトルアルバム『Third Eye Blind』。Burialの『Untrue』。Pinbackの『Summer in Abaddon』だね。

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