最終更新: 2025年9月6日
【要点】この記事で書かれていること
1)コミュニティが“ゴーストタウン”化しないための、最初の“部屋割り”
2)ファンの心を掴む“おもてなし”と“役割(ロール)”の魔法
3)バンドの個性を120%活かす“専門チャンネル”の作り方
・運営で注意したい2つのポイント
1)チャンネルの作りすぎは、会話を分散させ“過疎”を招く
2)コミュニティ最大の敵は“炎上”よりも“過疎”である
前回の記事では、これからのインディーバンドがSNSの数字の呪縛から逃れ、継続的に音楽活動をしていくためには、
ファンと共に物語を創り上げる”共創型コミュニティ”が不可欠であり、その拠点としてDiscordが最強の”秘密基地”となり得ることをお伝えした。
しかし、ただ闇雲にサーバーを立ち上げるだけでは、あっという間に誰も発言しない”ゴーストタウン”になってしまう。
実際に私は、サーバー運営に一度失敗し、”ゴーストタウン”にしてしまったのだが、リニューアルを図ることで活発な国際的でコミュニティに進化させることに成功した。
その失敗談も踏まえて、Discordサーバの運営方法についてお伝えしていきたい。
大切なのは、あなたのバンドの「世界観」を反映させた、ファンが自然と集い、居心地が良いと感じられる空間を”設計”することである。
今回は、そのための具体的なステップを、誰でも今日から始められる「設計図」として紹介していく
今回は記事の前編までは無料、後編は有料でお届けする。この記事を読み終える頃には、あなたのバンドだけの特別な”秘密基地”の青写真が完成しているはずである。
バンドの礎を築く「コンセプト会議」

テキスト:Tomohiro Yabe 使用ツール:Gemini 編集:Tomohiro Yabe
箱を作って終わりではなく、育てていく

まず、最も重要な心構えから伝えたい。Discordサーバーは、一度作ったら完成する”建物”ではない。バンドメンバーとファンが共に水をやり、育てていく”庭”のようなものである。
最初の設計はあくまで骨格にすぎない。大切なのは、コミュニティの成長に合わせて、継続的にメンテナンスしていくという意識を持つことである。
なぜ、あなたのバンドにDiscordが必要なのか?

「LINEオープンチャットでも良いのでは?」と思うかもしれない。しかし、バンド活動の”ベースキャンプ”としては、Discordに圧倒的な分がある。
話題ごとに部屋を分けられる「チャンネル機能」、ファンとリアルタイムで声の交流ができる「ボイスチャット」、そして過去の会話が資産として蓄積される”ストック性”。
これらは、バンドの歴史をファンと共に刻んでいく上で、欠かせない機能である。まずはメンバー間で「なぜ、他のツールではなくDiscordなのか」という目的意識を共有しよう。
STEP 1: メンバー全員で「どんな場所にしたいか」を話し合う
設計の第一歩は、この”秘密基地”のコンセプトを決めることである。これは、バンドメンバー全員で行う必要がある。
・「新曲のデモをいち早く共有し、ファンとディープな音楽談義ができる場所にしたい」
・「音楽だけでなく、メンバーの趣味(ゲーム、映画、料理など)も共有する、アットホームな”部室”のような空間にしたい」
・「次のグッズデザインやライブの企画を、ファンと一緒に考える”作戦会議室”にしたい」
このように、バンドの個性やキャラクターに合わせてビジョンを具体化することで、サーバー全体に一貫した”らしさ”が生まれる。
STEP 2: 最初の「部屋割り」を決める
コンセプトが決まったら、次は具体的な「部屋(チャンネル)」の構造を考える。
ここでやりがちな失敗が、最初から大量のチャンネルを作ってしまうことである。
これは私自身も経験した失敗で、メンバーが少ないうちにチャンネルを大量に作ると会話が分散して薄くなり、結果として「サーバーが死んでいるように見える」という悲惨な結果を招きかねない。
私たちのサーバーでは、「2週間コメントのないチャンネルは管理人判断で削除する可能性がある」というルールを設け、サーバーの新陳代謝を活発に保つことでこの問題に対応している。
まずは、以下の4つの必須チャンネルからミニマムに始めることを強くおすすめする。
・「#自己紹介」: 新しい仲間を歓迎し、ファン同士が繋がるきっかけを作る部屋。好きな音楽やバンドを知ったきっかけなどを書いてもらうテンプレートを用意すると親切である。
・「#お知らせ」: ライブ日程やリリース情報など、バンドからの公式な連絡を投稿する部屋。他の会話と混ざらないよう、書き込み権限をバンドメンバーのみに設定したい。
・「#雑談」: どんな話題でも気軽に話せる自由な部屋。コミュニティの空気感を醸成する上で、最も重要なチャンネルになる。
・「#ライブ感想」: ライブに参加したファンが、熱量の高いうちに感想や写真を共有できる部屋。バンドにとっても、ファンからの直接的なフィードバックは貴重な財産となる。
余談だが、私たちの場合、自己紹介までは比較的、投稿してくれる人が多かったのだが、自己紹介だけで終わってしまう人が多かった。
自己紹介から自然と雑談を書き込むような導線設計があればなお良い。
STEP 3: 最高の第一印象を作る「入口の看板」

新規ファンが招待リンクをクリックした際、最初に目にするのがサーバーの説明文である。
ここは、あなたのバンドの”秘密基地”の魅力を簡潔に伝える”入口の看板”の役割を果たす。
・バンドの簡単なキャッチコピー
・このサーバーで、ファンがどんな体験をできるのか
・最低限守ってほしい簡単なルール
これらの要素を盛り込み、「ここに来れば、もっとバンドを楽しめる!」という期待感を抱かせる文章を考えよう。
ここまでの基本設計を丁寧に行うだけで、あなたのコミュニティは確かな一歩を踏み出すことができる。
しかし、多くのファンを熱狂させ、長く愛される”本物の秘密基地”にするには、もう一歩踏み込んだ”おもてなし”と”仕掛け”が必要不可欠である。
ここから先は、コミュニティの熱量を決定づける、応用テクニックについて詳しく紹介する。
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あなたのファンがバンドの最高のメンバーとなるための”鍵”が、ここにある。