最終更新: 2025年11月2日
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もし今、世界から“太陽”が消えてしまったとしたら。私たちは何を頼りに生きていけばいいのだろうか?
韓国・ソウルの5人組バンドPost Inner Circle(ポスト・インナーサークル)は、デビュー作となる新作EP『Artificial Sun』で、そんな壮大な問いに対する一つの答えを提示している。
音楽を演奏する4名と、ビジュアル担当が1名という編成で活動する彼らの音楽的ルーツ、そして“Inner Circle”という“内輪”を超えていこうとするバンドの表現したいこととは?
注目のニューカマーの全貌に迫るインタビュー。
アーティスト:Yoon Eunbin(ユン・ウンビン)(Vo./Gt./syn.)、Doo Geunhyun(トゥ・グニョン)(Ba.)、Kim Jaechan(キム・ジェチャン)(Dr.)、Jeong Heecheol(チョン・ヒチョル)(Gt.)、Kim Hyun Soo(キム・ヒョンス)(Visual Design)
インタビュアー:Tomohiro Yabe 翻訳・編集・校正:BELONG Media / A-indie
Post Inner Circleとは

Post Inner Circleという名前の由来
-Tomohiro Yabe:Post Inner Circleというバンド名の由来を教えてください。”Inner Circle”には、”興味や目的などを共有している人々”や”大人数の集団の中にある、少人数からなる集団のことで、力や影響力や情報などを持っている者たちのこと”という意味があるみたいですね。また、”Post”と名付けたのも面白いポイントだと思います。このユニークな名前にはどのような意味が込められているのでしょうか。ネーミングについてのエピソードがあれば教えてください。
チョン・ヒチョル:僕たちが音楽的な方向性を模索していた時期に、バンド名も一緒に決めたんだ。「円」や「球体」のような丸いイメージへの好みがあって、そういうイメージに関連した名前をつけたいと思ってて。良い名前を決めるために、最後の最後まですごく悩んだ記憶があるね。紙に関連する単語をたくさん書き出して組み合わせたり、街で見かける文字を一つ一つ見ながら、バンド名にしたらどうだろうって考えたりしてたんだ。
トゥ・グニョン:”インナーサークル”はすごく閉鎖的な集団のイメージが強いんだけどね。僕たちがそこに”ポスト”を付けた理由は、未来の僕たちが作る”インナーサークル”は、みんなを包み込む集団になってほしいという思いで作ったんだ!もちろんヒチョル兄さんが言ったように、一次元的には「円」そして「球体」への執着から始まった名前なのは間違いないよ。
ユン・ウンビン:グニョンとヒチョルが言った通り、当時は「円」と「球体」のイメージに執着していて、ちょうどポストフューチャリズム関連の展示を見る機会があったんだよね。その時「ポスト」という言葉が与える語感、つまり何かを通り過ぎた後、あるいはこれから伸びていくような未来的な感じが新鮮に感じられたんだ。そうして”ポストインナーサークル”という名前を提案することになったんだけど、実は他の候補もあったけど、4人全員が満場一致でこの名前に惹かれて自然に決まったよ。最初は少し長くて戸惑う人もいたけど、今はとても愛着のある名前だね。
キム・ジェチャン:他のメンバーたちが話してくれたように、僕たちは円に対する執念が強かったし、バンド名を聞いているうちに親しみがあって共同体みたいな所属感が生まれて、頑張る気持ちになるんだと思う。
バンド結成のいきさつ
-Tomohiro Yabe:バンド結成のいきさつについて教えてください。5人の親しい友人たちがどのようにしてPost Inner Circleとして音楽活動を始めることになったのかきっかけやエピソードがあれば教えてください。
トゥ・グニョン:僕は後から合流したから、正確な説明じゃないかもしれないんだけど!まずウンビンとヒチョル兄さんがサークルで出会って一緒に音楽をやっていて、「ムル」というサイトでドラマーとベーシストを募集してバンドを作ったって聞いてるよ。ここでドラマーはジェチャンなんだ。前任のベーシストの方が個人的な事情で脱退することになって、僕と大学の同期だったジェチャンが僕に連絡してきて、ちょっと助けてほしいって言われたんだよね。僕は軽い気持ちで行って一緒に合奏したんだけど、いつの間にか正式メンバーになってたんだ😅デザイナーのヒョンスは僕の中学校の友達なんだけどね!僕を通じてメンバーたちと知り合って、ヒョンスもいつの間にかメンバーになったんだ。僕たちはこんな風に、僕たちのインナーサークルを広げていく予定だよ!
ユン・ウンビン:グニョンの説明が正しいよ。偶然にもみんな似たような年齢層だったから、音楽の中で友情もすくすく育てていけたんだ。だから今は本当に、近所の友達同士で集まって音楽をやっているみたいな感じだよ。
キム・ジェチャン:グニョンが言った通り、僕はムルというサイトでウンビン、ヒチョルのデモを聴いて、僕から連絡して、ウンビンの大学の前のカフェで会って、どんな音楽が好きか話してみて、一緒にやってみようって!それで今までずっと一緒にやってるんだ。
-Tomohiro Yabe:4人が音楽を担当し、1人がビジュアルを担当するという編成が面白いと思います。ビジュアルを担当しているキム・ヒョンスさんはバンドの中でどのような役割を果たしているのでしょうか。また、音楽とビジュアルをどのように融合させているのでしょうか。
チョン・ヒチョル:ヒョンスは去年の12月に新しくバンドに合流したんだ。ベーシストのグニョンの長年の友達で、元々僕たちとも親しく知り合いだったよ。僕たちは音楽だけじゃなくて視覚的な部分もすごく重要だと思っていて、当時デザインを勉強中だったヒョンスに一緒にやろうって提案してメンバーになったんだ。
ユン・ウンビン:主に私たちが気にいった素材を持ってきて、ヒョンスに”やって!”って言う感じ。彼は魔法のようにそれをやってのけるんだ。とても大切なメンバーだよ。
ソウルのインディーシーンについて

チョン・ヒチョル:おっしゃったバンドたち、特にHYUKOHは僕にも大きな影響を与えたよ。Orange Flavored Cigarettes、Tuesday Beach Club、Wave to Earthのように洗練された都会的なインディポップをやっているバンドが、ソウルの雰囲気をうまく表現しながら、同時に海外からも注目を集めているみたいだね。よく知られていないだけで、ソウルには弘大・新村・梨泰院などで毎週公演する数多くのインディバンドがいるんだ。シューゲイズやポストロックのジャンルでもすごいバンドが多いし、様々なジャンルのバンドに注目している「グモンシプフェスティバル」、「ウグルペ」、そしてシューゲイズジャンルフェスティバルの「ディレイリレー(Delay Relay)」みたいなイベントもたまに開催されているよ。最近は大衆的なインディとマニア層のインディ、アンダーグラウンドの下にさらにアンダーグラウンドというふうにシーンが二分される雰囲気もあるけど、それぞれの方法で活躍する方法を模索しているみたいだね。
バンドのコンセプト

-Tomohiro Yabe:”境界線を消し去り、境界線の間に生きる人々のための包括的な音楽的拠点を築く”というコンセプトがとても面白く、興味深いです。このコンセプトについて詳しく教えてください。また、このコンセプトはどのようにして生まれたのでしょうか。
チョン・ヒチョル:このコンセプトは、バンド名を決めた後に思い浮かんだんだ。「Inner Circle」という言葉は閉鎖的で排他的な感じがあるじゃない?ポール・トーマス・アンダーソンの映画『One Battle After Another』の中の”クリスマス冒険家クラブ”みたいに、少数の既得権白人男性集団みたいなイメージね。その前に”Post”を付けて、古典的な意味から外れた新しい形のインナーサークルを作りたかったんだ。僕が考える”Post Inner Circle”は、緩くつながった個人たちの集まりなんだよ。所属する必要もなく、自由に出入りして様々な人々が混ざり合う空間なんだ。”境界を消す”というのは、音楽的にも同じことだよ。最初のシングルはドリームポップだったし、今回のアルバムはシューゲイズに近いけど、これからはまた別の方向になるかもしれないと思ってる。”Post Inner Circle”という名前の中で、ジャンルの境界を消したいんだ。
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