最終更新: 2026年2月15日

2016年2月5日、ニューヨーク・ブルックリン出身の3人組Sunflower Bean(サンフラワー・ビーン)がデビューアルバム『Human Ceremony』をリリースした。

そのデビューアルバムから10年、Sunflower Beanは多くの変化を経験してきた。

ニック(ニック・キヴレン)はロサンゼルスへ移住し、オリーブ(当時はジェイコブ・フェイバー)はトランスジェンダーであることを公表し、ジュリア(ジュリア・カミング)は一人で曲を書くようになった。

大きな成功や変化を遂げた彼らであるが、10年を経ても音楽への情熱は揺らぐことはなかった。

その出発点であり、バンドの核を提示した記念すべきアルバム『Human Ceremony』について、これまでに私たちがインタビューしてきた彼らの発言を含めて振り返っていきたい。

『Human Ceremony』について

Sunflower Bean『Human Ceremony』
本作はジュリア・カミング(Vo., Ba.)、ニック・キヴレン(Vo., Gt.)、ジェイコブ・フェイバー(Dr.)の3人が、わずか11日間でレコーディングした11曲入りのアルバムだ。

ドリーミーなサイケデリアと、ファズの効いたブリスが交差する音は、The SmithsやThe Cure、Black Sabbathといった彼らのルーツを感じさせつつも、2010年代中盤のインディーロックシーンに新しい風を吹き込んだ。

Sunflower Beanの10年


【インタビュー】Sunflower Beanが奏でる『Human Ceremony(人間の儀式)』とは一体何なのか?

Sunflower Beanは、ブルックリンのDIYシーンで始まった。ニックとジェイコブは高校時代からジャムセッションを重ね、ジェイコブの実家の地下室で何時間も演奏していた。

そこにジュリアが加わったのは2013年のことだ。彼女は以前Supercute!というバンドで活動していたが、そのバンドが解散したタイミングでSunflower Beanに参加することになった。

結成当初から、彼らは精力的にライブ活動を行い、2014年には年間100本近いライブをこなした。

2015年1月にはデビューEP『Show Me Your Seven Secrets』を自主制作でリリースし、その後Fat Possum Recordsと契約。

同年夏、彼らはジェイコブの地下室にこもって曲作りに没頭し、その成果を元Friendsのマット・モルナールとともに形にした。

『Human Ceremony』の音楽

『Human Ceremony』の最大の特徴は、相反する要素の融合にある。

この哲学は、アルバム全体に反映されている。リードトラック「Easier Said」では、ジュリアの繊細なボーカルが、クリーントーンのギターの上を滑るように流れ、やがて鮮やかな螺旋を描く。

一方、「Wall Watcher」は挑戦的なパンク色の強い曲で、アップビートなサビとシンプルにそぎ落とされた部分のコントラストが際立つ。

ジュリアとニックの二人が一緒に歌うスタイルも、バンドのアイデンティティの重要な一部だ。

ツインボーカルではなく、デュエットしたり、一緒に歌ったりすることで、新しいコンビネーションを作り出している。

また、音作りにおいても、彼らは細部にこだわった。

ジェイコブによれば“僕らはスタジオに入る前に、アルバムの曲が確かにこれだって思えるものになるまで、曲を作って、演奏して、たくさん聴いたんだ。特にハーモニーやギターの音にこだわったよ。”という。

来日公演とライブについて

Sunflower Bean2016
『Human Ceremony』リリース後、Sunflower Beanは世界的なツアーを行い、2016年8月には日本のサマーソニックで初来日を果たし、2017年にはPixiesとWolf Aliceのツアーサポートを務めた。

2018年のセカンドアルバム『Twentytwo in Blue』ではより洗練されたポップサウンドを奏で、同年に単独来日公演を決行。

2022年の『Headful of Sugar』ではコロナ禍の隔離期間を経た洗練されたプロダクションを聴かせてくれ、そして2025年の『Mortal Primetime』では人生の儚さと尊さをテーマにした。

しかし、彼らの根底にあるものは変わっていない。オリーブ(ジェイコブ)が最新インタビューで語った“とにかく続けること”という言葉は、まさに彼らの10年間を象徴している。

『Human Ceremony』というタイトルの意味

Sunflower Bean2016
撮影:Rebekah Campbell
アルバムタイトル『Human Ceremony(人間の儀式)』について、ジェイコブは当時こう語っている。

“ありとあらゆることは人間の儀式だから。コーヒーを飲むこと、犬を連れて散歩すること、食べること。こういうすべてのことが人間の儀式ってことを思ったんだ”

このシンプルな考え方は、アルバム全体を貫くテーマでもある。

この視点の面白さは、彼らが若くして人間の存在について深く考えていたことを示している。

そして10年後の今、彼らは『Mortal Primetime』で“人生や愛の儚さ、そしてその尊さについて歌っている”と語る。『Human Ceremony』は、その始まりだったのだ。

『Human Ceremony』リリースから10年を経て

Sunflower Bean『Human Ceremony』10周年
最新インタビューでオリーブは、バンドを10年間続けてきたことによる燃え尽き症候群と、“僕らは何をやっているんだろう?なぜやっているんだろう?”という自問自答について語った。

“その答えが『まだ作るべき音楽がある』っていうものなら、前に進み続けるんだ”

“自分の真実を生きていくのに最高のタイミングは、今なんだよ”

これは『Mortal Primetime』でニックが語った言葉だが、『Human Ceremony』にも同じ精神が宿っている。

人間の儀式としての音楽を、10年を経た今でも彼らは続けているのだ。

Sunflower Bean
クレジット:Anna Nazarova
『Mortal Primetime』が映す10年の軌跡—Sunflower Bean、3人揃っての貴重インタビュー

Sunflower Beanアルバムリリース

1stアルバム『Human Ceremony』

Sunflower Bean『Human Ceremony』
発売日: 2016年2月5日
1. Human Ceremony (4:05)
2. Come On (2:59)
3. 2013 (3:31)
4. Easier Said (3:28)
5. This Kind of Feeling (2:28)
6. I Was Home (4:15)
7. Creation Myth (4:56)
8. Wall Watcher (2:27)
9. I Want You To Give Me Enough Time (3:31)
10. Oh, I Just Don’t Know (1:56)
11. Space Exploration Disaster (4:33)
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4thアルバム『Mortal Primetime』

Sunflower-Bean-LP4-Digital-Cover-3000x3000 sRGB
発売日: 2025年4月25日
収録曲:
1. Champagne Taste
2. Nothing Romantic
3. Waiting For The Rain
4. Look What You’ve Done To Me
5. I Knew Love
6. Take Out Your Insides
7. There’s A Part I Can’t Get Back
8. Please Rewind
9. Shooting Star
10. Sunshine
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デザイン:つでん
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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)

BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori