最終更新: 2021年3月7日


ピックアップアーティスト・・・Bloc Party/Tegan and Sara/Clap Your Hands Say Yeah/The Drums/the HIATUS

Bloc Party(yabori)
鋭いギターカッティングとストイックなポストパンクサウンドで音楽メディアから破格の注目を浴びたBLOC PARTY。デビュー当時の代表曲「Helicopter」は無駄を省いたソリッドなサウンドが魅力であった。

彼らはアルバムを出す度にサウンドが変わっていったのだが、デビューアルバムと比較して、3rdアルバムのリード曲「Mercury」は180度変わった。というか、なぜこうなったという驚がくの出来栄え。それもそのはずでボーカルのケリー・オケレケはもともと大のダンスミュージック好きで、それが高じ、ソロでダンストラックを量産している。現在、彼らは各々ソロ活動やバンド活動を一旦休止しているようだが、2015年はデビューアルバム『Silent Alarm』から10年の節目となる。その節目となる今年、彼らには是非、新作を作ってもらいたいものだ。

Tegan and Sara(Chappy)
昨年NANO-MUGEN FES.’14で8年ぶりに3回目の来日をしたカナダ出身の双子デュオ、Tegan and Sara。ニール・ヤング主宰のレーベルよりデビューしてからキャリアも長く、最新アルバムの”Heartthrob”はビルボードチャートで初の3位、中でも”Closer”は日本でもよく耳にした程の代表曲となったのではないでしょうか。今作はエレクトロポップな作品ですが、初期作品は雰囲気も全く異なるフォークロックが中心。

遡って聴くと少しずつ彼女達の音楽の方向性の変化と長年のキャリアの濃さが見えてくる。アコギ片手にコーラスを重ね合いフォークロックな歌を力強く唄う姿も印象的で、念願だったライブをナノフェスで観れて感極まった程、変化し続ける彼女達のファンで良かったと思った。

Clap Your Hands Say Yeah(ohamu)
Clap Your Hands Say Yeah(以下CYHSY)が1stアルバムを出した時、その黄色いヘロヘロのジャケからして可愛いインディーロックバンドが出てきたなって思い、笑ってしまった。わざとローファイに作られたその音も、すぐにでも裏返りそうな脱力系ヴォーカルのキャラクターも引き立つ名盤である。

ところが2011年にリリースした3rdアルバムではシンセが光るキラーズばりの華やかさとキャッチーさ。地に足がつかないようなヴォーカルだったアレックも芯が通っているし力強く歌ってる…!「この人ってば、ちゃんと歌えるんだ!」というところに驚いて、更に興味をそそられた。CYHSYをこれから知る人には、1stアルバムを聴いてその溢れんばかりのCYHSYワールドを堪能してもらいたい。そこから3rd以降のギャップを楽しむことで彼らについての関心がより深まるはず。

The Drums(Yada Mayumi)
デビュー当初はどこか懐かしい、爽やかな夏の似合うサーフロックを鳴らしていた彼ら。後から実は歌詞に政治批判が隠喩として使われているのでは?というような声もあったが、アルバムも外れなしの素直に聴ける夏向きサウンドトラックといった感じだった。

しかしながら最新作『Encyclopedia』ではそのイメージを覆す、ダークかつ緊張感のあるサウンドに大変身。メンバーの脱退を経て当初のコアメンバーであるジェイコブとジョナサンが自分達の本当の姿を本当にやりたい形で表現したものであり、これもこれでまた傑作である。今後どんな変身を遂げていくのか期待大!!

the HIATUS(桃井かおる子)
エルレガーデンの活動休止以降、フロントマンであった細見 武が新たに結成したということもあって、既にご存知の方も多いのではないだろうか?結成当初、細見はアートロックという新しいジャンルを開拓すべく、エルレではできなかったことを模索し続けていたんだとか。そこにこだわり過ぎていたのか、主に細見が楽曲を書くことで、正直エルレとあまり変化は感じられなかった。

こう言ってしまっては「な~んだ。」と思う人もいるだろうが、今のthe HIATUSは初期のそれとは全く持って違う!アートロックという概念から離れ、細見は自分が素直にやりたいと思える音楽と向き合い、メンバーのアイディアも取り入れるようになった。結果として細見の力だけでは成し得なかったサウンドが、「これホントに日本人か!?」って誰もが思ってしまう程の底力が、今のthe HIATUSの音楽には詰まっている。