最終更新: 2020年5月16日
Writer:Miyaco 撮影:MASAHIRO ARITA
『シーンを創る』というタイトルを掲げたBELONG Magazineの主催イベントがついにスタート!出演してくれた4組のアーティストの個性はもちろんのこと、そこに混じり合うBELONG Magazineのカラーがあり、このイベントだから体感できる空気というものが確かにあった。「ここから始まる何かがあるのだ…!」と思わせてくれた夜。我々の記念すべき最初の一歩を、ここに記録します。
トップバッターはDENIMS。イベントの前日に、松原(Ba.)が左足を骨折したため暫くは着席スタイルでのライブとなることが発表されるという、いきなりのアクシデント(笑)。どうなるのかな、と多少心配していたけれど、そんなことは杞憂に終わった。軽快なギターリフとリズムに、お客さんのハンドクラップが重なり、ハッピーな空気がみるみるうちにつくられていく。先日MVが公表されたばかりの新曲「Alternative」も早速フロアを踊らせていて、メンバーからは何度も笑顔がこぼれていた。釜中(Gt./Vo.)が「まっつんの骨折は大丈夫です、憐れまないで笑ってあげて」と話す場面もあり、会場はとても和やかなムード。この日のテーマのひとつにあった洋楽カバー、DENIMSは彼らのルーツでもあるソウルミュージック、Sam Cookeの「Bring It On Home To Me」をチョイス。楽曲の持つ優しくしっとりとした空気感に彼ららしい軽やかさも織り交ざった演奏で、普段はあまり見られないDENIMSの表情が垣間見えたように思う。「Goodbye Boredom」ではテンションの上がった釜中がフロアに降りる場面も!無邪気とかパーティーとか、そういう類の言葉が似合うDENIMSのライブ。ラストは力強いファンクナンバーでバンドの腕力を見せ、Make It Sceneの大きな扉をバン!と開け放ってくれたようだった。
Set List
1、 Swing Swing
2、 Alternative
3、 Bring It On Home To Me(Sam Cooke)
4、 It’s me
5、 Benny
6、 Goodbye Boredom
7、 たりらりら
続いてThe Foglandsの登場。自分達のルーツとなっている音楽への愛情がしっかりと伝わってくる楽曲をたっぷりと聴かせてくれた。なんと言っても、どっぷりと厚みのある黒澤(Gt./Vo.)の歌声と、サウンドのグルーヴが素晴らしい。繊細で丁寧な辻(Gt.)のギターサウンドや、全体をきっちりとまとめ上げる大橋(Dr.)のドラミングのバランスが見事。かといって決して機械的な訳ではなく、非常に人間的で有機的な音が鳴っている印象だった。あまり表情を変えずにライブを進めるメンバーではあったが、それでも徐々に黒澤の歌がエモーショナルさを増していく様は見応えがあった。披露されたカバーはThe Strokesの「Last Night」。これがもう、驚かされる程の完成度の高さ!「何をやろうかすごく悩んだけど、BELONGが“洋楽への扉”ということを掲げているので、自分にとって扉になった曲を」と前置きされたこの選曲だったが、きっとみんなも大好きなんでしょう。演奏が始まった瞬間からフロアのテンションもグンと上がり、耳馴染みの良い演奏に歓声が上がった。「Let Me See The World」ではスローテンポなメロディーに絡む黒沢の声がとても柔らかく響いて、深い包容力さえも感じさせた。踊るというよりは自然と体が揺れるようなしなやかさと、レンガ造りの街並みが似合いそうな異国感が、The Foglandsのライブにはあった。「So Far From The Tree of Guernica」では黒沢がハープを吹き、ラストにもかかわらずグルーヴは増して行く。そのまま、バンド自体がずっと先までローリングしそうな予感がした。
SetList
1、Backward Pawn Blues
2、My Fair Lady
3、Last Night(The Strokes)
4、Caricature
5、Limelights Cast Your Shadow
6、Let Me See The World
7、Hats Off Blues
8、So Far From The Tree Of Guernica
NOWEARMANのライブがどうしようもなくかっこよくて戸惑ってしまった。とにかく、空間全てが、NOWEARMANだった。タイトで強くて重みのあるドラムと、意志の強そうなギターの音、その両者をしっかりと引き合わせるシンプルなベース音。どこにも無駄のないサウンドに、なんだかずっとジャブをくらい続けているような心地がする一方で、印象的な日本語が長野(Gt./Vo.)の歌声と共になんの摩擦もなく体の中に馴染んでいくのがはっきりと分かった。カバー曲はSuicideの「Ghost Rider」。漆黒の音像と赤いストロボが混じり合う光景に、ただ立ち尽くす以外の術を失くしてしまった。圧倒的存在感だったのだ。そして、どこか光の届かない深いところへ引き込まれて行くかのような錯覚さえ覚えてしまった。そこからほんの一拍の間をおいて演奏された「Stars」が新しく光の射す扉を開けるかのように、コントラスト的な煌めきを見せてくれた。“誰も地球に居ないみたい”という歌詞が、まさに今この瞬間を描写しているかのよう。彼らの出す音の波に抗うことなく漂うことは、こんなにも心地よいことなのか。冷たい炎でオーディエンスの内側を熱してくれたNOWEARMANの温度は、その演奏が終わっても当分の間、私たちの心に余韻として留まっていた。
SetList
1、Young Old Man
2、Rock ‘n Roll Band
3、ゆりかごから墓場まで
4、Ghost Rider(Suicide)
5、Stars
6、Through The Night
7、Everything
この日のトリはTHE PINBALLS。登場した瞬間からオーディエンスを煽りまくる古川(Vo.)、森下(Ba.)の「いけるかー!」の声を合図に投下されたパンチ力のある「サイコ」、「FREAK SHOW」の鋭いギターリフ、古川のシャウト。しょっぱなからエンジン吹かしまくりのトップギア!ステージの端から端まで、あるのは熱と勢いだけで、どの瞬間にも冷静さはない。ノーブレーキな全身全霊のパフォーマンスが、はなから高いボルテージをただただ天井知らずに上げ続ける。「PINBALLSのロックをおもいっきりぶつける!」と演奏されたのは「真夏のシューメイカー」。音の重さと鋭利さ、前のめりな姿に圧倒されるばかりだが、そこから続いた新曲「劇場支配人のテーマ」も攻撃的要素がひしと詰まった楽曲で、最高に痛快!本編最後に披露されたのはThe Kinksのカバー「All Day And All Of The Night」。「ずっとここに居たいっていう今の気持ちと被っているかもしれない」と言いギターを置いた古川は、この曲をスタンドマイクで歌い切った。珍しく声だけで想いをぶつけてくる姿はかなり男らしくてちょっとセクシー。アンコールでは「BELONGとは創刊時からの付き合い、お互い続けて行こう」と話し、彼らのデビュー曲「アンテナ」を演奏。その選曲自体がメッセージのように受け取れた。最後の瞬間まで熱く荒々しく、会場を最高潮に押し上げたままイベントを締めくくった。
SetList
1、 サイコ
2、 FREAKS’ SHOW
3、 十匹の熊
4、 片目のウィリー
5、 カルタゴ滅ぶべし
6、 真夏のシューメイカー
7、 劇場支配人のテーマ
8、 プリンキピア
9、All Day And All Of The Night(The Kinks)
Encore
10、アンテナ
※公開インタビュー(愛はズボーン、プププランド、NOWEARMANのフロントマン3名が参加)の模様は後日公開!
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