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先日BELONGでは特集“YOUTHWAVE 2.0”を記念して、Twitter上で誌面に掲載希望のバンドを募集する『Share #YOUTHWAVE』という企画を行った。数多くの応募の中から、今回yahyelを取り上げた。無名の新人アーティストではありながらも、QUATTROを擁するNiw! Recordsからコンピレーションアルバム『NOW NIW NEXT』に収録されており、これから注目されるアーティストに間違いない。

yahyelはメンバー3人とも海外に在住経験があり、その経験を生かして“国境の無い音楽集団”を目指しているそうで、日本人であることを意識せず・させずとも済む音楽を作るべく活動し、MVにおいてはメンバー自作のフォントも披露している。もはや完全に海外に向けて音楽を発信してる彼らは一体何を考えているのか?

アーティスト:篠田(sample, cho) インタビュアー:yabori

-結成のいきさつとアーティスト名の由来を教えてください。
篠田:2014年12月ごろより、池貝(Vo)と篠田(sample, cho)で楽曲制作開始し、2015年3月に篠田が池貝と杉本(synth, cho)を引き合わせ、yahyelとして活動開始しました。yahyelはニューエイジ思想家バシャールによる用語なんです。バシャールによれば2015年以降に人類が初めて接触する異星人がyahyel。2015年に結成したこと、ヒッピー〜ニューエイジに至る系譜にあやかれること、海外シーンに乗り出す異星人であることを意識してこの名前にしました。

-メンバー3人とも海外に在住した経験があるようですね。それぞれどこで暮らしていたのでしょうか。また海外で音楽活動もしていたのでしょうか。
メンバーの池貝はスウェーデンとモンタナに留学。モンタナではネイティブ・アメリカン居住区のバーで弾き語り、スウェーデン在住時はわざわざコペンハーゲンに出向き、現地のディープハウスシーンに入り浸っていたそうなんです。杉本はアメリカのLA(ロサンゼルス)生まれDC(ワシントンD.C.)育ち。僕は幼少時にアメリカのNY(ニューヨーク)に在住経験がありました。

-“国境の無い音楽集団を目指している”とお聞きしましたが、どうしてこういうコンセプトで音楽をやろうと思ったのでしょうか。
海外在住の経験からもともと欧米に対して敷居を感じていませんでしたが、音楽シーンにおいては歴然とした壁があることに気づき驚きました。欧米において日本のアーティストが売れる場合も、日本的オリエンタリズムやクールジャパンの要素を武器にしている場合が多いですが(坂本九、YMO、BABYMETAL、Perfumeなど)、それは結局“日本人であること”を武器にしている点で国境線の引き直しにすぎません。そこで、日本人であることを意識せず・させずとも済む音楽を作りたいと思うようになりました。このバンドにおける匿名性への志向も、それを意識しているからです。例えば、Rhyeもそのような匿名志向の戦略をとることによって、ジェンダーイメージを撹乱することに成功しました。“日本人”や“男性・女性”などのラベルやフィルターをできるだけ取り除いて、音楽そのものを聞いて欲しいと考えています。

-メンバーの杉本さんと篠田さんはyahyel以外にも、DATSをやっていますが、曲を作るときにそれぞれ区別しているところがあれば教えてください。
DATSは杉本のデモを元にフィジカルにバンドで楽曲を構築していき、国内シーンの需要を意識しています。一方でyahyelは池貝のデモをもとにデジタル上で楽曲を構築、オンタイムな欧米のシーンを意識しています。

-yahyelはDATSと違ってロックバンドのフォーマットで作られた音楽ではなく、宅録した楽曲をバンド形式で再現しているように思います。実際はどのようなプロセスで楽曲を制作して、演奏しているのでしょうか。
基本的には池貝がアコギ弾き語り、シンセ、鼻歌などで作ってきたデモを持ってきて、それを三人で真夜中にアイスクリームを頬張りながら、解体・再構築して楽曲を完成させていきます。 ライブは現在、同期、サンプラー、ボーカル、コーラスという形で行っていますが、将来的には生楽器隊を加えたバンドセットでやりたいと考えています。

-ビジュアルイメージはドリーミ―でありながら、デジタルのような印象を受けます。またyahyelのロゴもどこの国のものか分からないフォントになっていますが、これには何かコンセプトがあるのでしょうか。
バンド名の由来でもあるyahyel(宇宙人)のイメージとヒッピー・ニューエイジ的なトリッピーさを意識しています。また、デジタル、あるいはサイバー感は、サイバー・パンク的な世界観や、映画『マトリックス』で視覚化されたボードリヤールがいうところのシミュラークル感、ジョージ・オーウェルやオルダス・ハクスリーなどのディストピア小説のアイロニー性などに影響を受けています。もしかしたらYMOからの影響も大きいかもしれません。ロゴと「midnight run」のMVのフォントは池貝が一から自作しました。

-今回のBELONGは“YOUTHWAVE”という特集で、“デジタルネイティブ”がインターネットを通じて、新しい音楽を作り始めているって内容です。実際に邦楽・洋楽の垣根を越えるバンドが続々と現れていると思うのですが、世代的にyahyelはデジタルネイティブでしょうか。
yahyelのメンバーは1991~93年生まれなので該当すると思います。ただし、僕たちはいわゆるデジタルネイティブ的な音楽聴取(youtubeなどのリンク経由でさまざまな音楽とフラットに出会う聴取のあり方)とは違って、どちらかというと保守的な音楽オタクの聴取の態様をとっていると思います。すなわち、ジャンルの歴史性やコンテクストを重視するディスクガイド的な聴取の態様です。デジタルネイティブ的なフラットな音楽聴取のあり方は、ボーダレスな音楽の融合をもたらす意味では素晴らしいと思いますが、その音楽固有の歴史性や政治性を脱色・忘却してしまう危険性をはらんでいるとおもいます。例えば、ディスコやハウスを聴くときにはゲイカルチャーに、ブルースやヒップホップなどの黒人音楽を聴くときには環大西洋的な黒人のディアスポラの歴史にも目を向けるべきです。

-このシーンは今後どうなっていくと思いますか。
このシーンというのが、具体的に何をさすのかわかりませんが、昨今の東京を中心としたインディーシーンのことでしょうか。70年代にはっぴいえんどに関わっていた人たち(ニュー・ミュージック勢)が歌謡界に進出し、歌謡曲からJ-popへの転換をなしとげたように、東京インディーもメインストリームに進出し、音楽業界の勢力図を塗りかえるのではないでしょうか。アイスランドのようにボーダレスなシーンになるといいですね。

-自分たちの音楽を世界中に売り出すならまずどの国に行きたいですか。
ヨーロッパのシーンにまずは進出したいですね。ツアーをして回って、海外の友人たちを踊らせたいです。坂本龍一がなにかのインタビューで言っていましたが、YMOの欧米ツアーで現地のイケてるニューウェーブ・キッズを踊らせた時は痛快だったそうです。その感覚を味わってみたいです。

-日本と海外の音楽シーンの違いはどこにあると思いますか?
欧米のシーンは英語という共通プラットフォームゆえに一枚岩のシーンを形成している点で日本の内向的なシーンとは違うと思います。ピッチフォークなどの音楽メディア、PVのスタイル、ツアーやプロモーションの大陸を超えたノウハウ、これらが英語というプラットフォームゆえにヒト・モノ・カネの流通も含め、共有されていることはすごく大きいと思います。日本のアーティストはクオリティにおいては海外に劣らないにもかかわらず、このような市場にあまり参入できていないのを大変残念に感じます。

-最後にyahyelの音楽をどんな人に聴いて欲しいと思いますか?
国境を超えてすべての人に聴いてもらいたいです。願わくは、本物のyahyel(宇宙人)にまで届けばいいと思います(笑)。

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