MVなし、ジャケットは全てモノクロ。シングルの再生回数は4000万回超える謎多きバンド、Cigarettes After Sex(シガレッツ・アフター・セックス)。

謎の中に散りばめられた甘くロマンティックな世界にあなたを誘う。

アーティスト:グレッグ・ゴンザレス(Vo./Gt.) インタビュアー:桃井 かおる子 翻訳:木下トモ

-現在のメンバー構成に至るまでに何度かメンバーチェンジもされているようですが、そのあたりのことも交えてバンド結成のいきさつについて詳しく教えてください。
グレッグ:バンドは最初、僕の地元のテキサス州のエル・パソのシーンで出会ったプレイヤー達を参加させていくような形で、ソロプロジェクトとして始めたんだ。メンバーは最初から常に変わってたし、何度も入れ替わりもあって、20人ぐらい変わったかな。ファーストEPのときのプレイヤーに関して言えば、キーボードのSteve Herradaは初期のメンバーだったんだけど、僕がニューヨークに引っ越すことを決めたときに、音楽的な面ではバンドから離れることになったんだ。アコースティックギターのEmily DavisとドラムのGreg Leeahは、二人とも半年在籍した後2012年の秋頃に脱退した。それでようやく、今のメンバーになるんだけど、Phillip Tubbsは2009年頃に加入して。彼はファーストEPのときはエレキギターを弾いてたけど、「Affection」以降では全てキーボードを弾いてるんだ。ドラムのJacob Tomsky と ベースのRandy Millerは2014年の終わりに入ってきて、同じように「Affection」以降の作品全部で演奏してるよ。

-バンドが結成されたのが2008年のことのようですが、音源を発表されるようになったのは4年後と聞いています。音源を発表するまでにかなりの時間がかかっていると思うのですが、それはなぜでしょうか。
2008年にバンドを始めてから、実は自分一人で全部の楽器を録って、Cigarettesとしてオンライン上で音源を発表してきてたんだ。2012年に公式に最初のEPを出すまでは、プレイヤーの皆には、ライブでだけ演奏してもらって。2008年には、マドンナの80年代のシングルやErasureやNew Orderのようなサウンドに影響を受けたラフな仕上がりの6曲EPと、シングルをいくつかリリースして。2009年頃には、The Smithsにかなり影響された4曲EPもリリースしてる。問題は、たいてい僕が何かをリリースすると、しばらくは表に出してるんだけど、だんだん作品にうんざりしてきて、オンライン上から完全に消してしまうんだ。2012年にEPを出すまで、この過程を何回も繰り返して、やっと何とかこれなら残してもいいかなと思えるものが作れたんだ。

-Cigarettes After Sexのシングルジャケットのデザインは、全てモノクロのデザインで統一されています。これには、何か意味があるのでしょうか?加えて、どの曲にもMVがないことにも何か意味があるのでしょうか。
そのモノクロの写真は、Man Rayが撮ってくれたもので、曲のミックスをしているときに、このサウンドに完璧に合うと思ったんだ。本当に直感的に完璧だと僕は感じたし、僕にはこれを変えるような理由がどこにも見当たらなかったし、今でもそう。モノクロってすごくロマンティックだと思うんだ。おまけに、ちょっと古い映画みたいなノスタルジックな感じもあるし。MVに関しては、「Affection」をリリースする前に作ろうと思ってやってみたりはしたんだけど、これならと思えるようないい作品は作れなかったんだ。今のところ、僕たちがやるべきことという点では、MVは必要がないかなと思って、作っていないんだ。MVには何らかの力ってものはあるのかもしれないけれど。

-今回新曲として発表された「Apocalypse」と「K.」は、新鮮さよりもどこか懐かしさのようなものを感じました。この二つの曲はどのようなアプローチで作られたものなのでしょうか。
「K」と「Apocalypse」は両方とも、2015年の12月にLPを制作するために行ったセッションのときに録音されたものなんだ。二つの曲を書いた時期は一年くらい離れてたんだけど、同じセッションで録音したんだ。「Apocalypse」は、その年の始めの雪嵐のときに書いた曲で、僕が地元にいたときから付き合ってた女の子達へのちょっとしたメッセージとか、彼女達とのこうだったらいいなっていう妄想じみたことを書いてるんだよ。「K」の方は、書いた時期はそのセッションを行った時に近くて、11月に書いたんだ。その当時、僕は遠距離恋愛をしていて、曲を書いたひと月前に、相手の女の子が地元に戻ってしまう前の、ニューヨークで過ごした彼女とのロマンティックで素敵な1週間のことを書いた曲なんだ。

-どちらの曲も音の質感が柔らかく、優しい印象の曲だと感じました。音作りに関して、レコーディングの際にこだわっていることなどはありますか?
レコ―ディングの話となると、数年かかってこのバンドで培った僕なりの哲学論みたいなものがあって。僕は、バンドで伝統的なレコーディングスタジオで録音するよりも、スタジオ以外の場所で録音することが好きで。色んな場所に行って演奏することは、バンドや僕自身を少しリラックスさせてくれるし、いわゆるバンドマジックみたいな感じで、何かとてつもない魅力的なものがサウンドに生まれるんだ。僕らのレコーディングは、曲は生で録音して一発録りか、そうでなくても、たいていそれぞれの曲を数回録ったら、もう他の次のことに移るって感じでやってる。あと、僕はバンドが一度も聴いたこともなければ、演奏したこともない新しい曲を取り入れるのも好きなんだ。こういう自然なアプローチが音の質感に何か特別なものを持たせてくれると思うし、曲をもっと自然なものに感じさせてくれてると思う。

-「K.」というこのタイトルは、何を指し示しているのでしょうか
「K」はある女の子について書いた曲だよ。彼女の名前はクリスティン。彼女は手紙の最後にKって書いてたんだ。

-音の質感以外にも、Cigarettes After Sexの楽曲の特徴として、Vo.ゴンザレスさんの中性的な歌声が魅力の一つに挙げられると思います。男性がこのような声で歌うのは難しいことだと思うのですが、歌うということに関して日頃から心がけていることなどはありますか?
ありがとう。とてもうれしい褒め言葉だね。僕が日常的にやっていることと言えば、大好きな音楽を聴いて、そこから受けた影響を取り込んでいく以外にしていることは特別にはないよ。僕の歌い方は、Francoise HardyやEnya、Chan Marshall、Vera Lynn、Brenda Lee、 Julee Cruiseのような女性シンガー達が心底好きって気持ちからきているんだと思う。僕は本当に、特に女性シンガーが好きで、そのことが少なからず影響しているのかもしれないね。

-ゴンザレスさんにとって、歌うことや歌声に関して影響を受けたボーカリストはいますか?また、そのアーティストからどのような影響を受けたのか詳しく教えて下さい。
前の質問でも話したけど、Francoise Hardyと Enyaの二人は僕の大好きなシンガーなんだ。彼女達の声を聴くと、本当に風に吹かれてるような気分になる。冷たいけど爽快な真冬の風とか、暖かい夏のそよかぜみたいな。僕は自分の声にも同じような要素とか質感があればいいなと思うし、見せ方というよりも自然な力のようなもので感じさせられたらなと思う。

-Cigarettes After Sexの楽曲はゴンザレスさんが主に書かれているようですが、ゴンザレスさんの音楽観はジャズトランぺッタ-のマイルス・デイビスから影響を受けているようですね。曲を作ることに関して、彼からどのような影響を受けているのでしょうか?
僕がマイルス・デイビスを崇拝するのには、たくさん理由があるんだ。まず、彼は素晴らしいバンドのリーダーだし、彼の生涯を通して素晴らしくユニークなサウンドを作り出した、比類ないバックバンドの集め方を知っていたこと。次に、彼の音楽で演奏される即興演奏はシガレッツの録音方法に影響を与えたとかもうそんな次元じゃないものを与えてくれたこと。最後が一番重要なことなんだけど、彼のレコードの『Kind of Blue』は、僕が10代のときに初めて買って以来、精神的につらい時を乗り越えるために助けてくれたし、僕はそのアルバムが、自分が思いつく中で唯一の完璧なアルバムだと思ってるからなんだ。

-バンドの楽曲に影響を与えているア-ティストは、マイルス・デイビスの他にどのような方が挙げられますか?また、そうした方々からどういった影響を受けていると思いますか?
他にバンドに大きな影響を与えたサウンドというと、間違いなくエリック・サティ。彼の音楽はとても現代的で、それでいて古典的だと思う。

-今年の6月にデビュ-アルバム『Cigarettes After Sex』のリリ-スを予定されていますが、この作品を一言で例えるとどんな言葉が当てはまると思いますか?
チープで甘い、ロマンティックなバラードみたいなものになるかもね。

-それではCigarettes After Sexという名前の由来を教えてください。またこうしたストレートな意味合いを持つ言葉を並べられると、日本人としては少々恥じらいを覚えてしまうのですが、このバンド名を名乗ることに抵抗などはなかったのでしょうか。
この名前を選ぶのに全然躊躇しなかったよ。当時、書き始めた歌のスタイルに名前を合わせたいと思っていたから。バンドの名前を決めたとき僕は20代半ばで、僕の生活はかなり大人なものになっていたし、僕は単に自分が体験したことを率直に曲にすることを求めてた。その名前は人の好奇心を掻き立てるものだし、幸いこれまで見てきた感じから言うと、大体みんな笑顔になってくれてると思うよ。

-来日公演も控えているとのことで、日本のリスナ-にメッセ-ジをお願いします!
僕らはとても日本と日本の文化が好きで、日本で演奏できることをかなり楽しみにしてるしワクワクしてる。皆に会えるのが楽しみだよ。

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品番:PTKF2173-2J
定価:¥2,400 +税
発売元:ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ
付帯物:未定
収録曲:
1. Don’t Let Me Go
2. Kiss It Off Me
3. Heavenly
4. You’re the Only Good Thing in My Life
5. Touch
6. Hentai
7. Cry
8. Falling In Love
9. Pure

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収録曲:
1. K.
2. Each Time You Fall in Love
3. Sunsetz
4. Apocalypse
5. Flash
6. Sweet
7. Opera House
8. Truly
9. John Wayne
10. Young & Dumb [Explicit]

Crush

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Partisan Records (2018-07-09)

収録曲:
1.Crush

Neon Moon

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収録曲:
1.Neon Moon

【Profile】
2008年、フロントマンのグレッグ・ゴンザレスを中心に米テキサスのエル・パッソにて結成されたドリーム・ポップ/アンビエント・ポップ・バンド。2012年に発表したEP『I.』が昨年突如話題となり、YouTube上にてEP収録曲「Nothing’s Gonna Hurt You Baby」が47,000,000のビューを記録し、無名の新人ながら驚異的な数値を記録。ローリング・ストーン誌の「2016年知っておくべき10のアーティスト」に選出され、ライブはアメリカやヨーロッパで即完売に。2017年6月、全世界待望のデビュー・アルバム『シガレッツ・アフター・セックス』をリリースする。アルバムリリースに先駆けて、5月15日(月)には原宿Astro Hallにて初来日公演も決定している。

■配信シングル「Crush」 2018年7月9日リリース

■「Sesame Syrup」 ※シングル『Crush』カップリング曲

■配信「Neon Moon」 2018年12月17日リリース