あなたはBorisというバンドをご存知だろうか。Borisと聞けばヘヴィロック・メタルサウンドの覇者であるイメージは強く、孤高の存在故にその実態に触れるタイミングを逃している人も多いのではないだろうか。海外での活躍が目まぐるしい彼らは、ほぼ毎年海外をツアーで巡り、ライブハウスから大規模なフェスまで世界各国でライブを行っている。 また、Nine Inch Nailsの全米アリーナツアーをサポートする等数多くのアーティストとの共演、コラボレーションも多い。しかし、彼らの活躍は海外だけではない。

2010年には映画「告白(中島哲也監督)」への楽曲提供や、ロックファンに絶大な人気を誇る音楽フェスAfter Hours’17ではヘッドライナーとして出演する等、国内でもアンダーグラウンドからメジャーどころまで幅広く携わっている。 ワールドワイドなスタンスを維持するBoris。今年で結成25周年を迎える彼らから、最新スタジオアルバム『DEAR』が届いた。

前作『NOISE』ではオルタナティブとポップが融合したドラマチックな姿を見せたBoris。今作はじっくりと浮かび上がるようなヘヴィなディストーショナルサウンドが主軸を担っている。冒頭の「D.O.W.N -Domination of Waiting Noise-」やMVになっている 「Absolutego -絶対自我-」などはまさに彼らを象徴するような分厚い音圧・立体的な歪みを余すことなく感じることができる。

しかし、このアルバムの最大の魅力は叙情的な音楽にあった。儚さや切なさはAlcestが打ち出す演出にも近しいところはあるが、 もっと深い海で呼吸をするように、なおかつ地鳴りのように響き渡っている。特に「Biotope -ビオトープ-」では海の中で息をした時の気泡のように抜け感のある音が織り込まれるなど、 ノイズとノイズの間に生きる“引きの時間”がより鮮明に繊細さを感じさせる。そんな中でも「Dystopia -Vanishing Point / 何処へ-」は今作『DEAR』の中でも心臓部に値するナンバーだろう。

祈りのように滲んで広がっていくようなボーカルと狙い落されたクリーンサウンドとノイズの共存が静かに、そして激しく変貌していく様は圧巻で魅了されるばかりの時間。Dinosaur Jr.を彷彿とさせるような味のあるノイズギターソロがこの曲の中で一番の醍醐味であり、歪みを着実に、それでいて大胆に増幅させて叫ぶように鳴り響いていく姿はとても耽美で涙が出そうになるほどの美しさを感じる。

彼らによって選ばれた音たちはピンポイントに配置されていく。意味のあるノイジーな音楽たちには美がある。それを知れば知るほど、 「音楽だからと」「轟音だから」とノイズやディストーショナルな金属音が 重たいままむやみやたらに散らすことの無意味さを痛感する。My Bloody Valentineなど、本当に“轟音“と称されるサウンドには緻密な思考がある。それを日本人で最も実現させ、証明しているのがBorisである。そしてその魅力が『DEAR』に刻み込まれている。

計画的に選ばれたサウンドたちをしっかりと聴くには確かに体力がいる。しかし、『DEAR』の持つリスナーを包み込んでしまう世界の力はとても強い。まるでライブを観ているかのような、曲による展開の臨場感とバンドの息遣いを身近に感じることによって、瞬く間にあなたは音の海と闇に360度覆われるだろう。真の“轟音”に渦巻く聴き手を引き寄せるパワーの強さをぜひとも体感してほしい。(pikumin)

【リリース】

『DEAR』
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