新しいバンドに出会うきっかけが、メディアやブランドとのコラボ・ タイアップ曲だという事例がここ数年で急激に増えているように思う。 自動車メーカー”ホンダ”のCMに起用されたSuchmosの「STAY TUNE」や Nulbarichの「NEW ERA」をはじめ、ライブ活動がメインだったバンドたちが脚光を浴びるタイミング自体が増えている。 企業側が注目をひく為に新しい人選をしようと奮起している結果だろう。 そこに双方のイメージするセンス・方向性がマッチしていると大成功を収めることができる。 実際先述の2曲のその効果は絶大で、車を買える世代のみならず車を買わないであろう世代にも人気を博し、 ひとたび流れれば注目が集まっていた上、2組の名前は瞬く間に広がっていった。

あらゆるコラボが増えている中、ファッションと音楽の関係は強く、 常に存在しているといっても過言ではない。だからこそファッション系ブランドとバンドの組み合わせは多い。 先日ファッションブランド”GAP”とのコラボが話題となったTempalayはファッション誌でのインタビューや、 ストリートスナップにメンバー全員で掲載される等、彼らのスケーターとストリートがミックスされたスタイルはファッション界でも注目を集めている。 そして何よりも彼らが注目されるきっかけは、気取らないゆるいサイケデリックミュージックそのものにある。 流行の最先端というよりは、自分たちのペースでひとつずつ確かなものに仕上げるスタンス。それが彼らなりのファッショナブルなスタイルだ。 そして彼らの姿勢と音楽に寄り添う安心感や親近感にどうにも引き寄せられてしまう。 彼らの音楽に秘められたパワーとは一体? 8月30日にリリースされるセカンドフルアルバム『from JAPAN2』に紐解く鍵がある。

『from JAPAN2』というおもちゃ箱を開けると、極彩色のライトが光るサイケデリックな世界か飛び出してくる。フィッシュマンズのような柔らかく揺れる空間に、ゆらゆら帝国のような自然体なゆるさを加えたようなサウンド。遊び心がふんだんに盛り込まれたTempaleyの音楽がそこにはある。 サイケにたゆたいつつもパンチが効くメロディに心地よいグルーヴ感と小原 綾斗(Vo./Gt.)のマイルドな歌声が合わさり、ゆらりとまどろんでゆく。 怪しげなイントロの掴みからぐっと浮遊感ワールドに引き込まれる「TIME MACHINE」や細かいサウンドやリズムの転調に身体ごと飲み込まれる「新世代」と、 冒頭から彼らのユーモア溢れる音選びと音の楽しみ方が全開だ。 そして基盤を作るリバーブレーションの強いサウンドはどこか懐かしさを含み、 Tempaleyの音の世界にゆっくりと誘われていく。 MOTHER2のサマーズを彷彿とさせるような「インスタントハワイ」のように レトロゲームのSEのような揺れ方を加えるところにも遊び心が垣間見えた。 そして、このアルバムの魅力としては8月の終わりにリリースされるということもあり、 波のように揺れるギターに夕暮れをカウントするようなささやかで優しいドラミングと夏の景色に胸を踊らせるわくわくを生むベースラインが交わり、各曲のタイトルとマッチしてひしひしと夏を感じさせる。今の時期はもちろん、これから迎える何故か感傷的になる夏の終わりにかけてぴったりなアルバムとなっている。

「革命前夜」を初めて聴いた時、素直にこの曲は最高だと思った。 シティライトを浴びる街のような洒落たスタート、一つずつ 重く踏み込むリズムに心のリズムもジャックされる。今生きている彼らから発される日常的かつ砕けた言葉たちは、いわゆるシティポップ基準の”おしゃれ音楽”にありがちな背伸びや堅苦しさは一切なくてとても親近感を沸かせた。しかし、それだけで収まらないところがミソ。2分過ぎに不穏げなサイケサウンドが突如盛り込まれてくる展開は単純にとても面白い。 そして「革命前夜」からの「革命」が、これまたいい。はっちゃけたスタートを飾り、壮大な展開を華やかに歌い上げて清々しいまま突き進んで終わる。対のようでいて、転調からの戻るタイミングなどは似ているところを含めて共存している2曲だ。 最後にやってくる「それじゃまた」は爽やかなチューンでアルバムの終わりの曲として華やかに終わると思いきや友達同士で遊んで帰り際に「じゃ、お疲れ!」と軽い挨拶を交わすようにすんなりと終わる。それはまるで、またこのアルバムを通してTempaleyと リスナーがすぐ会える距離にいるんだよ、と伝えてるようだった。

以前BELONGでのインタビューで、宇多田ヒカルの日常的な言葉選びに刺激を受けたと話してくれていたが、彼らの歌詞にもそれは色濃く反映されている。気取らない自然な言葉たちがフランクな言葉づかいで歌われる歌詞。 そして、小原の歌声は息遣いや、引っかかったり、少し掠れたりするところまでナチュラルに録音されている。まるで目の前で歌ってくれているかのような親しみを覚える。これがTempaleyの音楽が身近に感じる要因だ。 敷居の高い“おしゃれな音楽”がムーブメントとなっている今、Tempaleyの名前がその中にまとめられているところを見たことがある。 しかし、彼らにそんな堅苦しいグループは似合わない。自由に伸び伸びと音楽を鳴らす姿と音源越しに人柄が見える Tempaleyの音楽が魅せる素直なワクワク感は、このアルバムを機にもっと世に伝わることだろう。筆者はそう確信的な期待を抱いている。 (pikumin)

【リリース】

『from JAPAN2』
発売日:8月30日

【Live】
empalay『from JAPAN 2』リリース記念ワンマン公演
〜ウィアーフロムジャパン〜
2017.10.13(Fri) 東京 渋谷 WWW X
2017.10.20(Fri) 大阪 南堀江 SOCORE FACTORY

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