最終更新: 2020年7月21日
目次
コラーズとは
アメリカ・カルフォルニア州はロサンゼルスで結成されたHe’s My Brother, She’s My Sister。
そのメンバーだったボーカリストのロブ・コラー、ローレン・ブラウンの二人が夫婦となって結成したKOLARS(コラーズ)。
ギター・ヴォーカルとドラムの二人編成でパンキッシュなフォークロックを演奏するというユニークなデュオである。
今回、そんな彼らの自由なバンドスタイルとその魅力をロブ・コラーに語ってもらった。
インタビュー本文
アーティスト:ロブ・コラー インタビュアー:桃井 かおる子 通訳:木下 トモ
-まずはKOLARSというバンド名ですが、この名前はボーカルのロブさんの名字ですよね。なぜ、ご自身の名字をバンド名にされたのですか?
ロブ・コラー:ああ、僕らは結婚したんだ。だから、形の上では僕らのファミリーネームなんだ。それが僕らがその名前を選んだ理由だよ。それが僕たちだからね。
-メンバーのロブさんとローレンさんは、以前にHe’s My Brother, She’s My Sisterというバンド名でも活動をされていました。このバンドはロブさんの妹やいとこといった身内で構成されたバンドだと、以前にインタビューした際に教えて下さったのですが、なぜHe’s My Brother, She’s My Sisterを解散してローレンさんとKOLARSとして音楽活動を続けることになったのでしょうか?
バンドは色んな理由があって解散したんだ。でも一番の理由は皆落ち着きたくて、家庭を持ちたかったんだ。そして、僕らはまだそんな気持ちになれなかった。皆がツアーをするが好きな訳ではないから、ツアーをすることはとても難しいんだ。でも僕らはツアーが大好きだし、続けたいと思うことだった。だから、KOLARSを結成したんだ。
-ロサンゼルスで結成されたとのことですが、そこはどのような場所でしょうか。また土地柄が音楽性に影響を与えている部分はありますか?
L.A.は開かれた場所なんだ。楽観的な雰囲気で。太陽がいつも輝いていて、夢見る人がいっぱいの街なんだ。
-He’s My Brother, She’s My Sisterが最初で最後のアルバムをリリースしてから6年が経ってKOLARSとして新たにスタートを切られましたが、再出発するまでの6年間はどのようにして過ごしていましたか?
僕はテレビス用の音楽を書いてたり、他のアーティストのアルバムを作ったりしていた。ローレンはロサンゼルスにあるティム・ロビンスのシアター・カンパニー「The Actor’s Gang」で働いていて、L.A.中の演劇のディレクションをしていたんだ。
-デビュー作『KOLARS』聴かせて頂きました!He’s My Brother, She’s My Sisterの時にはスライドギターを使っていたりなど、以前までのサウンドはオールドロックやカントリーといった雰囲気が強かったと思うのですが、今作はロカビリーでありながらもポップで、より多くのリスナーが親しみやすい内容になっていると思います。He’s My Brother, She’s My SisterとKOLARSとでサウンドがこんなにも違うのはなぜですか?何か明確な目的などがあったからでしょうか?
このアルバムは僕らの好きな音楽を作ったもので、特定のジャンルに限定されるものではないんだ。He’s My Brother, She’s My Sisterとしての僕らの最後のアルバムは、何となくアメリカーナという箱の中で表現しなくてはいけないという感じはあった。でも、僕らはこのアルバムではそうしないことを選んだんだ。僕らは全てのジャンルを入れたかった。ディスコもロックもパンクもカントリーもブルースもポップも全部好きなんだ。僕らは自分自身のジャンルの名前さえ作りだしたんだよ(笑)!「Desert Disco」や「Glam-a-billy」や「Space Blues」みたいなね。
-今作に収録されている楽曲は主にロブさんが作詞作曲をされていると思うのですが、楽曲作りはどのようにして進行していったのですか?ローレンさんとメンバー二人なので、お二人で何かアイディアを出し合いながら進められたのでしょうか?また、お二人が担当される楽器(ギターとドラム)以外の音はどのようにチョイスして肉付けされていったのでしょうか?
もちろん、アイデアを出し合ったよ。僕らの全ての仕事は会話からできるんだ。僕らは相手の意見を聞くのが好きだ。でも、僕は間違いなくメインのソングライターだし、ローレンがアレンジメントや歌詞の部分で編集を手伝っている。僕はプロデューサーとしてドラム以外のこのアルバムの楽器をほとんど演奏したんだ。ベースは彼が演奏するのが好きな楽器だよ。
-1曲目の「One More Thrill 」をはじめ、【dangerous】や【bullet】などの危険な状況や物を指し示す単語が使われたタイトルが今作に収録されていますが、このアルバムにはそのような意味合いのテーマが込められているのでしょうか?
いい質問だね!危険と隣り合わせでバランスをとるということは、僕らが人として、アーティストとして、折り合いをつけている何かでもあって、それが僕らの音楽に反映していると思う。
-He’s My Brother, She’s My SisterからKOLARS、今作を作る中でメンバーが二人になったからこそのメリットを教えて下さい。それとは逆に、二人だけでは難しく感じることなどもあったのでしょうか?
バンの中がたくさん空いてること!ははは。冗談だけど、結構真面目なんだよ。僕らはすごくしっくりきてるんだ。2人の声は扱いやすいし。物事も簡単に早く決まるようになった。別のプロジェクトのときよりも、僕らは二人がお互いにアーティストとして同じ感覚を持ってるように感じているんだ。
-あらためまして、今作の『KOLARS』というタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?
シンプルだからだよ!ファミリーネームだから、その部分はあんまりクリエイティブじゃないけどね。でも、僕らはこのアルバムが僕らが誰かということと、どんな音楽をしているかを紹介するためにそうしたんだ。
-このデビューアルバムをどのような人に聴いてほしいと思いますか?もしくは、どんな人に届けたいですか?
本当にすべての人に。誰がより大切かなんてものはない。僕らの音楽を聴いてくれる全ての人に感謝してるよ。
-今作をリリースする以前、お二人はTHE HORRORSやジュリアン・カサブランカスといったアーティストとも共演されていますが、彼らと共演したことで何か刺激なども受けられましたか?加えて、これからKOLARSとしてお二人はどのような活動を展開していきたいですか?
僕らが一緒に演奏したすべてのバンドに何かしら刺激を受けているよ。ジュリアン・カサブランカスは本当に素晴らしかったけど、ショーの間ずっと雨が降り続けていて大変だったんだ。ドラムがさびたんだよ!僕らは日本でツアーするのを楽しみにしてるんだ。本当だよ!
コラーズのルーツ
-前回のインタビューではルーツに当たる音楽について教えてもらいましたので、今回はKOLARSのルーツに当たる作品(音楽だけでなく、映画や本など)を3つ教えてください。
スタンリー・キューブリックからはあらゆる面で大きな影響を受けてるよ。一つには、彼のフィルムの多くは自分で資金を調達して少数精鋭のチームで作られているんだ。僕らは自分自身のアルバムやツアーの資金を調達しているから、すごく気持ちが分かるんだ。僕らはビジネスとして自分達でやっているから、僕らが作るものに関してレコード会社やプロデューサーに応じる必要はない。キューブリックにとっては、彼のメッセージを薄める可能性のあるスタジオに雇われるよりも、彼の作品のビジョンを持ち続けることの方が重要だったんだ。僕らは物事を簡潔にするのが好きで、ある種の制限の中でクリエイティブであることが好きなんだ。それはしばしば独創的な考え方をさせられることでもある。加えて、彼のフィルムは信じられないほど広い視野で物事を見つめていて、独特で、詩的で、疑問を呈するものだ。どのフィルムも違うテーマを扱っていて、それぞれの作品の中で彼のキャラクター達が生きていて、それぞれオリジナルの世界観を持っている。彼のフィルムの中でも僕らが一番影響を受けているのは、『時計じかけのオレンジ』だ。映像面でも、テーマとしても、ディストピアの世界に取り組んでいて、自分自身の内面を見つめるような作品だ。
映画の『ロッキー・ホラー・ショー』はセクシャリティやファッションの境界線を超えた映画だ。それは、ミュージカルがこういう風にもなれるよと新たに作り直すものでもある。僕らはこの映画の魅力と姿勢にとても影響を受けているし、ステージのエネルギーを具体的に表現したものだと思う。
ドン・デリーロの『グレート・ジョーンズ・ストリート』は僕の頭から離れない小説だよ。「彼の名声と運命と画期的な創造がもたらした生活に不満を抱え、バッキー・ワンダーリックはマンハッタンのグレート・ジョーンズ・ストリートにある家具も何もないアパートに戻り、物事をシンプルにしようとした。」ということが基本的な前提だ。それは本質的に、幻滅してドラッグの常習者になったロックスターが音楽を作ることへの情熱を取り戻していく話なんだ。この本に影響を受けてNYへ引っ越して、ストリートや地下鉄で音楽を演奏してみたんだ。その小説が、私に音楽や芸術の世界の中で、本物でありアーティストであるということが何を意味するのかという疑問を持たせたんだ。それが、芸術や音楽とメディアとの関係性に興味深い光を当てたんだ。
リリース情報
『KOLARS』
NOW ON SALE
■品番:KREC001J[国内流通仕様]
■定価:¥2,200+税
■発売元:ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
1. One More Thrill
2. Beyond The World Of Man
3. Turn Out The Lights
4. Haunt Me
5. Dizzy
6. Dangerous
7. Bullet on The Run
8. Change Your Mind
プロフィール
KOLARSはHe’s My Brother She’s My SisterのメンバーであったRob KolarとLauren Brownによって結成されたロック・デュオだ。ロサンジェルスをベースに活動し、そのサウンドはDesert Disco、R&Beyond,、Space Blues、Glam-a-billy等と評される。ソングライターのRob Kolarはヴォーカルとギター、Lauren Brownはドラムを担当する。Lauren Brownのプレイ・スタイルは変則的で、バスドラムの上に立ってタップダンスをしながらスタンディングでドラムをプレイする。2017年にライヴを中心に販売していたセルフ・リリースのデビュー・アルバム『KOLARS』が大きな評価を獲得。現在、そのバズはアメリカからイギリス/ヨーロッパへと世界的に広がっている。