最終更新: 2021年8月9日
デイヴ・コノプカが脱退し、2人体制となったBATTLES(バトルス)。
前作『La Di Da Di』リリース後、地元ニューヨークで機材を駆使した実験を繰り広げ、コラボに明け暮れた作品が『Juice B Crypts』。
メンバー脱退と最新アルバムについて、イアンとジョンに語ってもらった。
目次
BATTLESインタビュー
インタビュー・テキスト:yabori インタビュアー:イアン・ウィリアムス、ジョン・ステニアー 通訳・取材協力:Beatink
デイヴ・コノプカの脱退
-今作のリリース前、デイヴが脱退しましたが、どのようないきさつがあったのでしょうか。
イアン:デイヴはこれ以上BATTLESをやりたくなかった。俺が言えるのはそれくらいしかないよ。それが正直な理由だ。
デイヴと今後、仲が悪くなったりしたら嫌だからね(笑)。彼はBATTLESを去って別の道に進んだ。それだけさ。
そのことに対して、お互い、悪く思っていないよ。俺は昔からバンド活動をやってきたから、俺はバンドを続ける。
ジョンも同じように考えていると思う。
-彼が脱退したあと、どうして2人編成でやろうと思ったのでしょうか。
ジョン:あまり考えなかったね。彼が抜けた後、自然とそのまま続けた。イアンと二人で続けていくことしか考えてなかった。
他の誰かを入れることは考えもしなかった。これまで通りにやっていきたいから。
-BATTLESは今まで、4人編成、3人編成、2人編成とスタイルを変えてきましたが、スタイルが変わっても変わらないものがあれば教えてください。
イアン:ジョンと俺は長い間、一緒に活動してきたから、お互いがどうやって作業するのかをよく理解している。
正直な話、今回のアルバムを作るのが一番簡単だったよ(笑)!英語の表現で言うと、「台所に、より少ない人数のシェフがいるから。」
BATTLESの昔からの強みでもあり弱みでもあるのは、複数の方面に同時に物事が展開できるということだった。
それは時には魅力的なことだし、音楽的にもバランスが取れて満足が行く結果が生まれたこともある。
だが、バンドが渋滞してしまうような状況を生み出すこともあった。BATTLESの作曲者は1人であったことがなかったから。
音楽に対して、常に複数の人の視点があった。かえって今回の2人態勢は集中しやすかった。
ジョンがキックとスネア、ハイハットのドラムを担当し、俺がヴォーカル以外の音を担当したから。
今回は、作曲の流れを作り出すのが楽だった。それが今回違った点だね。
Juice B Crypts
-今作『Juice B Crypts』はたくさんのアーティストが参加していますが、どうして様々なアーティストと共作しようと思ったのでしょうか。
ジョン:たまたま前回のレコードが完全にインストだったんで、俺もイアンもヴォーカルが好きだから今回またヴォーカリストを使っただけさ。
バトルズは同じことをリピートするのが好きじゃないから、前回とはまた違ったものを作るためにもゲストヴォーカルを起用したんだ。
曲を書いている時はヴォーカルのことは頭にない。だから、そのトラックにヴォーカルがうまく乗るのか乗らないのかは乗せてみるまでわからないんだ。
ある曲は、5人試してやっとしっくり来た。チューン・ヤーズがいなかったらあの曲はヴォーカル曲付きの曲になっていなかったかもしれない。
決める基準や流れは本当に様々。友達だったり、プロデューサーが知っているアーティストだったり、全く新しい誰かを見つけて自分たちから依頼したり。色々だよ。
-今作はリキッド・リキッドのメンバー、サル・プリンシパトが参加していますが、どうして彼と一緒にやろうと思ったのでしょうか。
ジョン:彼は超80’sなニューヨーク独特のジャンルを奏でるミュージシャンの一人。だから彼はあの曲にピッタリだったんだ。
パーフェクトすぎるくらいにね。だから彼が参加できて本当に良かったよ。
曲が出来上がった時点であんな感じだったから、リキッド・リキッドを起用できたらもっと良くなると思ってプロデューサーが電話をしたらOKが出たんだ。
-ここ日本からは鼓童のメンバー、住吉佑太が参加していますね。どうして彼と一緒にやろうと思ったのでしょうか。
ジョン:もともと彼とは友人で、定期的に連絡をくれていたんだ。
それで、音源を送ったら日本でレコーディングした音源を重ねて送り返してくれた。
僕の妻が日本人だから、日本に帰ったときに何度も会っていたしね。
それに、彼らもよくニューヨークに来るし、スタジオも近所だしね。
-前作『La Di Da Di』は”スペース”を上手く使った作品と表現していましたが、今作にコンセプトがあれば教えてください。また今回、多くのアーティストと共作しようと思ったのは、ミニマルだった前作からの反動というのもあるのでしょうか。
イアン:うーん、コンセプトは何だったかな?「ニューヨークのアルバム」ってとこかな。ここで暮らしてきた日々を表現したアルバム。それくらいかな。
ニューヨークで制作をしたことによって、毎日地下鉄に乗ってリハーサル場所へ行っていたから、通勤している感覚があったよ。
そういう感覚は全て、アルバムに反映されていると思う。当時の俺たちの生活がアルバムに反映されていると思う。
今回のアルバムはニューヨークシティで作りたかった。俺たちはニューヨーク出身だが、今までのアルバムは全て、ニューヨーク以外の場所で作っていた。だから今回はニューヨークシティで作ろうと思ったんだ。
実際にすごく良かったよ。一日の終わりに家に帰って、作業のことをしばし忘れて、地元の日常生活に戻る。過去にはスタジオで寝泊まりしなくてはいけない時もあって、ギターがベッドのすぐ隣に配置されていたこともあった。
使っていたギターや機材の横で寝ていたこともあったよ。
だから、作業場と生活の場を分けて、普段の地元の生活に戻り、地元の友達と会ったりすることができたのは素敵だった。
ニューヨークでアルバムを作ることにして本当に良かったよ。
サウンドの質感
-『La Di Da Di』リリース時に私たちが行ったインタビューでは、「どれがギターで、どれがシンセサイザーのサウンドなのか分からない音の質感を目指した」と言っていたのが印象的でした。今作でも新しい音の質感を追及した部分があれば教えてください。
イアン:アルバムの構想に関しては先ほども少し触れたけど、俺はいつも新しい「楽器」に興味がある。
「楽器」とカッコ付けで呼ぶのは、エレクトロニック音楽では色々なものが「楽器」となるからだ。
ある種のソフトウエアも楽器だし、シンセサイザーも楽器、伝統的なギターやベースギターもそうだし、ペダルを通すものや、モジュラーシンセサイザーも楽器となる。
その全てが今回のアルバムに使われた。俺は、そういう新しいものを使ってみるのが好きなんだ。毎回、違った結果が生まれるからね。
色々なことをやってみて、努力して、事故が起きるという状態まで自分を持って行く。素敵な事故が起こるまで。幸運な事故が起こるところまで色々なことを試してみるんだ。
実際に起こるまでは、自分では予測や想像できなかったであろうことが起きるまで、機械と交流する。そしてそういうことが起きた時に「すごいな、こんなことが起こったんだ」と思う。
そういう作業が大部分を占める。そのような事故が起きるような状況まで自分を持って行く。そのために機材やツールを組み合わせる。
新しい機材は、MAC-MSPに加えたソフトウエア。エイブルトン、スウェーデンの会社のエレクトロン。
それからメイク・ノイズのモジュラーシンセサイザーを結構使っていて、ムーグも使った。それがメインとなった機材だと思う。
それから何本かのギターを使ったね。
-アルバムタイトル『Juice B Crypts』に込めた意味について教えてください。
ジョン:それは秘密にしておこう(笑)。
-最後に来日公演を楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いします。
ジョン:もうすでにショーも初めているし、二人でのライブでの再現はできている。11月の日本でそれが披露できるのを楽しみにしているよ。
試聴会詳細
BATTLES『JUICE B CRYPTS』世界最速プレミア爆音試聴会
日時・場所:2019年10月7日(月)@SHIBUYA PLUG
会場住所:東京都渋谷区神南1-23-13 B2
開催時間:OPEN 20:00 / START 20:30
入場料:無料(入場時1ドリンク代として600円を頂戴いたします)
入場特典:WARP30周年記念ステッカー(先着)
※試聴会開始後はご入場いただけません。
※定員に達し次第、入場を締め切らせていただく場合がございます。
リリース
BEAT RECORDS / WARP RECORDS (2019-10-11)
売り上げランキング: 134,657
発売日:2019年10月11日(日本先行リリース)
BEAT RECORDS / WARP RECORDS (2019-10-11)
売り上げランキング: 36,096
仕様:
・国内盤CD BRC-613
・国内盤CD+Tシャツ BRC-613T
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入
・輸入盤CD WARPCD301
・輸入盤2LP カラー盤 WARPLP301X
・輸入盤2LP WARPLP301
収録曲:
01. Ambulance
02. A Loop So Nice…
03. They Played It Twice feat. Xenia Rubinos
04. Sugar Foot feat. Jon Anderson and Prairie WWWW
05. Fort Greene Park
06. Titanium 2 Step feat. Sal Principato
07. Hiro 3
08. Izm feat. Shabazz Palaces
09. Juice B Crypts
10. The Last Supper On Shasta feat. Tune-Yards
11. Yurt feat. Yuta Sumiyoshi (Kodo) *Bonus Track for Japan
ライブ情報
BATTLES JAPN TOUR 2019
SUPPORT ACT: TBC
■東京公演:2019年11月4日 (月・祝日)
GARDEN HALL
OPEN 17:00 / START 18:00
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277
BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFR:Rx:f4b65
■大阪公演:2019年11月5日(火)
UMEDA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com
BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFS:Rx:558d4
■名古屋公演:2019年11月6日 (水)
NAGOYA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK 03-5768-1277
BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFT:Rx:9c3fa
前売¥6,800(税込/別途1ドリンク代/スタンディング)
※未就学児童入場不可
■チケット詳細
一般発売:9月7日(土)〜
YouTube
- Titanium 2 Step (feat. Sal Principato)
- A Loop So Nice… / They Played It Twice (ft. Xenia Rubinos)
ライター:yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻
これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。
過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。
それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。
現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。
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Twitter:@boriboriyabori