最終更新: 2021年3月21日
天才ベーシスト、サンダーキャット(Thundercat)が前作『Drunk』以来、3年ぶりとなる最新作『It Is What It Is』をリリースする!
先行曲「Dragonball Durag」で“ドラゴンボール”愛を炸裂させた新作には、チャイルディッシュ・ガンビーノを始め、
フライング・ロータスやスティーヴ・レイシーなど前作と変わらず超豪華メンバーが集結。
ブラックミュージック×オタク=Thundercatという新たなあり方を確立した、お茶目で革新的な新作アルバム『It Is What It Is』とは?
目次
Thundercatとは
Thundercatはアメリカ・ロサンゼルス出身のベーシストであるステファン・ブルーナーのソロ名義。ベーシストだけでなくボーカリストと音楽プロデューサーとしての顔も持つ。
歌いながら6弦ベースをさらっと弾きこなし、抜群の歌唱力も併せ持つ世界が認める才人だ。
彼は音楽一家の生まれで、ドラマーの父と兄を家族に持ち、その影響もあり幼少期からベースを始めた。
そして16歳で兄と共にアメリカのハードコア・バンドSuicidal Tendenciesへ加入。
2011年にデビューアルバム『The Golden Age of Apocalypse』をフライング・ロータスのレーベルであるBrainfeederよりリリース。
その年にSuicidal Tendenciesを脱退し、Thundercatの活動と共にセッション・ミュージシャンとしての活動に重きを置く。
共演したのはフライング・ロータスを始め、エリカ・バドゥやケンドリック・ラマー、トラヴィス・スコット、故マック・ミラー。
さらに渡辺信一郎監督のアニメ『キャロル&チューズデイ』へ楽曲提供し、ケンドリック・ラマーの『To Pimp a Butterfly』にもベーシストとして参加。
これがきっかけでグラミー賞最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞に選出され、世界的アーティストとしての地位を確立した。
豪華すぎるメンツが集結した『Drunk』
こうして2017年にサードアルバム『Drunk』をリリースされた。
この作品に参加したゲスト・ミュージシャンがとにかく豪華で、盟友であるフライング・ロータスはもちろん、カマシ・ワシントン、ケンドリック・ラマー、ファレル・ウィリアムス、ウィズ・カリファ、マイケル・マクドナルドやケニー・ロギンスが参加したことで話題になった。
同年、『Drunk』を引っさげ単独公演では初となる東名阪ツアーを行い、さらにフジロックではフィールド・オブ・ヘヴンのトリを務める快挙を果たした。
翌年2018年にはサマソニとソニックマニアに出演。2020年4月3日に4枚目となるアルバム『It Is What It Is』が世界同時リリースされる。
最新アルバム『It Is What It Is』
その最新作『It Is What It Is』とは一体どのようなアルバムなのか少し掘り下げてみたい。
このアルバムは愛、喪失、人生に伴う浮き沈みについてがテーマとなっている。
前作『Drunk』に引き続き、今作でも豪華面々が参加しており、チャイルディッシュ・ガンビーノを始め、The Internetのスティーヴ・レイシー、スティーヴ・アーリントン、カマシ・ワシントン、リル・B、タイ・ダラー・サイン、バッドバッドノットグッド、ルイス・コール、ザック・フォックスが参加し、さらにフライング・ロータスとの共同プロデュースも実現した。
そして肝心の楽曲についてだが、全体的に前作の『Drunk』と同じくR&Bやファンクを主軸にした大人のブラックミュージックに仕上がっている。
スローに音数も少なくアルバムはスタートする。ルイス・コールとフィーチャリングした3曲目「I Love Louis」は今までにはなかったBPM高めのスピード感溢れる楽曲だ。
テンポがとても速い曲はどうも単調で子どもっぽい曲になりがちなイメージがあるが、シンプル過ぎず疾走感も保ちながらも濃厚なR&Bを絶妙なバランスで織り混ぜるセンスには脱帽した。
The Internetの中心メンバーで、ソロ・デビュー作がグラミー賞ノミネートを果たしたスティーヴ・レイシーと、伝説のファンク・バンド、Slaveのヴォーカル、スティーヴ・アーリントン、そしてチャイルディッシュ・ガンビーノが参加したシングル「Black Qualls」は自身の持つ音楽の血統に焦点当てている一曲。
全ての楽器が活きている、と言うのがどれだけ難しくセンスがいるのかと言うのがこの曲を聴けば分かる。
さらにそれがコラボ曲で成し遂げられているのは尚更凄い。
これ以上でも以下でもない音数、さらにキャッチーさも兼ね備えたこの曲はアルバム内でも特にセンスが光る楽曲だろう。
しかもスムーズなベースラインを弾きながら歌う彼のボーカリストとしての技量も圧巻だ。
ドラゴンボール愛に溢れた「Dragonball Durag」
Thundercatは大の親日家でポケモンなどのアニメやゲームが大好きなオタクとしても知られているのをご存じだろうか。
セカンドアルバム『Apocalypse』には「Evangelion」という曲が収録されていたり、サードアルバム『Drunk』では「Tokyo」という楽曲も登場し、そのMVも東京で撮影するほど日本文化への愛が感じられる。
最初に発表されたアルバム先行曲「Dragonball Durag」はタイトルからすでにドラゴンボール愛に溢れており、ジャケットも愛情満点のデザインに仕上がっているのだ。
しかしながらタイトルから想像されるドラゴンボールのイメージは良い意味で皆無で、楽曲自体の完成度がとても高くて感服した。
さらに彼のドラゴンボール愛はこれだけで留まらず、国内盤CDの購入特典がドラゴンボールのデザインをイメージされた限定グッズが付属する。
購入場所によって手に入るグッズが違うのでぜひ確認して購入して欲しい!
Thundercatという確固たる音楽
Thundercatは膨大な音楽的知識と超絶テクニックの上にオタクとしての遊び心をアクセントとして散りばめている。
それが他のR&Bバンドと一線を画す理由の一つであり、むしろ”Thundercat”という新たなジャンルを作り上げたと言っても過言ではない。
前作『Drunk』ではThundercatのお茶目な人柄がより曲に反映されているが、今作『It Is What It Is』は彼の音楽に対する真面目な姿勢がよりディープに反映された作品となっている。
前作を聴いてファンになったリスナーの心を掴む作品に仕上がっているのはもちろん、初めて聴く人も彼の魅力に引き込まれる作品なので、ぜひこのアルバムの世界に飛び込んで欲しい!
アルバムリリース
4thアルバム『It Is What It Is』
BEAT RECORDS / BRAINFEEDER (2020-04-03)
売り上げランキング: 4,594
レーベル:BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
仕様:
・国内盤CD BRC-631 ¥2,200+税
・国内盤CD+Tシャツ BRC-631T ¥5,500+税
・国内盤特典:ボーナストラック追加収録 / 解説書・歌詞対訳封入
収録曲:
1. Lost In Space / Great Scott / 22-26
2. Innerstellar Love
3. I Love Louis Cole (feat. Louis Cole)
4. Black Qualls (feat. Steve Lacy, Steve Arrington, & Childish Gambino)
5. Miguel’s Happy Dance
6. How Sway
7. Funny Thing
8. Overseas (feat. Zack Fox)
9. Dragonball Durag
10. How I Feel
11. King Of The Hill
12. Unrequited Love
13. Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)
14. Existential Dread
It Is What It Is (feat. Pedro Martins)
16. Bye For Now (feat. Michael McDonald) *Japanese Bonus Track
TOWER RECORDS:
・CD
・CD+T-SHIRTS SET (S)
・CD+T-SHIRTS SET (M)
・CD+T-SHIRTS SET (L)
・CD+T-SHIRTS SET (XL)
HMV:
CD
3rdアルバム『Drunk』
BRAINFEEDER (2017-03-10)
売り上げランキング: 125,636
LP Record (2017/3/10)
ディスク枚数: 4
フォーマット: ボックスセット
レーベル: BRAINFEEDER
収録曲:
1. Rabbot Ho
2. Captain Stupido
3. Uh Uh
4. Bus In These Streets
5. A Fan’s Mail (Tron Song Suite II)
6. Lava Lamp
7. Jethro
8. Day & Night
9. Show You The Way
(feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
10. Walk On By (feat. Kendrick Lamar)
11. Blackkk
12. Tokyo
13. Jameel’s Space Ride
14. Friend Zone
15. Them Changes
16. Where I’m Going
17. Drink Dat (feat. Wiz Khalifa)
18. Inferno
19. I Am Crazy
20. 3AM
21. Drunk
22. The Turn Down (feat. Pharrell)
23. DUI
2ndアルバム『Apocalypse』
BRAINFEEDER (2013-07-06)
収録曲:
1.Tenfold
2.Heartbreaks + Setbacks
3.The Life Aquatic
4.Special Stage
5.Tron Song
6.Seven
7.Oh Sheit It’s X
8.Without You
9.Lotus and the Jondy
10.Evangelion
11.We’ll Die
12.A Message For Austin/Praise the Lord/Enter the Void
1stアルバム『Golden Age of Apocalypse』
BRAINFEEDER (2011-09-10)
収録曲:
1.Hooooooo
2.Daylight
3.Fleer Ultra
4.Is It Love?
5.For Love I Come
6.It Really Doesn’t Matter to You
7.Jamboree
8.Boat Cruise
9.Seasons
10.Goldenboy
11.Walkin
12.Mystery Machine (The Golden Age of Apocalypse)
13.Return to the Journey
14. Until I Bleed Out
Thundercat来日詳細
THUNDERCAT JAPAN TOUR 2020
新型コロナウイルス感染拡大につき、延期となっていたThundercatの来日公演の新日程が決定した。
前売チケットの販売再開は5月9日(金) から行われ、日程変更による払戻し等の詳細は、BeatinkのHPにて。
Thundercat代表曲(Youtube)
ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
BELONG Mediaのライター/翻訳。
高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。
13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。
関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。
2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。
2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。
普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。
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