最終更新: 2022年5月15日
アメリカのインディー・ロックバンド、Wallows(ワロウズ)の新作EP『Remote (Deluxe)』がリリースされた。
その第一弾シングルとして発表された新曲「Quarterback(クォーターバック)」。
Wallowsは青春の甘酸っぱさやほろ苦さを、その当時の鮮度のまま表現するセンスに長けている。
そこで、この記事では「Quarterback」の歌詞を和訳し、内容を考察している。
アメリカンフットボールのクォーターバックと絡めて描かれる、Wallowsによる一夏の恋物語とは?
目次
Wallowsとは
Wallows(ワロウズ)はアメリカのロサンゼルスを拠点に活動しているインディー・ロックバンド。
Wallowsメンバー
メンバーは、ブレーデン・レマスターズ(Vo./Gt.)、コール・プレストン(Gt./Dr.)、ディラン・ミネット(Vo./Gt.)による幼なじみで結成された。
さらに音楽活動だけに留まらず、俳優としても活動している。
ディラン・ミネットはドラマ『プリズン・ブレイク』を始め、Netflixのテレビドラマ『13の理由』では主演に抜擢。
ブレーデン・レマスターズはテレビドラマ『シックス・フィート・アンダー』などに出演し、コール・プレストは『Where the Great Spirits Live』というショートフィルムに出演している。
Wallows来歴
2014年から2017年まではThe Narwhalsというバンド名で活動していたが、2017年よりWallowsとバンド名を変更し、活動を開始。
2019年にデビューアルバム『Nothing Happens』をリリース。
2020年にリリースされたEP『Remote』のデラックス版として、2021年2月19日に『Remote (Deluxe)』を発売した。
Quarterback
Wallows(ワロウズ)の新作EP『Remote (Deluxe)』に収録されているシングル曲「Quarterback(クォーターバック)」。
普段はブレーデン・レマスターズとディラン・ミネットが曲によって交代しながらメインヴォーカルを務めているが、「Quarterback」では、ドラマーのコール・プレストがヴォーカルを担当している。
Wallows – Quarterback (Official Video)
Quarterback和訳
Wallows(ワロウズ)の新曲「Quarterback」は、主人公が恋する女性は、アメリカンフットボールのクォーターバックに恋をしているというラブストーリー。
そんな一夏の恋について、歌詞を和訳して内容を考察していく。
不安で仕方ない、焦ってる
思考が止まらない
これがまだ続くのか?
なんで俺に電話をくれないんだ?
“I’m anxious, pacin’
Thoughts are racin’
Is this over?
Why won’t you call my number?”
“私は大丈夫”と君は言った
君の目を見ればそんなの分かるさ
君が望めばいつでも俺は君のそばに駆けつけるよ
おれと同じ感情を抱いているのか、それともただの遊びだったのかい?
“You said, “I’ll be alright”
I knew by the look in your eyes
But any time you want, you know I’ll be the one
Do you feel the same or was it just for fun?”
夏が終わった
今だに君からの電話を一人寂しく待ってる、気が狂いそうだ
あの男は今夜あの子の家に泊まっていくのかな
クォーターバックだからな
夏が終わった
今だに君からの電話を一人寂しく待ってる、気が狂いそうだ
あの男が今夜泊まっていくのか分からない
クォーターバックだから大丈夫だ
“’Cause summer’s gone
I’m alone wishin’ for your call, startin’ to freak
I’m not sure if he’s comin’ over for the night
Quarterback’s fine
Summer’s gone
I’m alone wishin’ for your call, startin’ to freak
I’m not sure if he’s comin’ over for the night
Quarterback’s fine”
スポットライトは消えた
疑念と共に俺は取り残されたんだ
俺たちの関係は終わったんだな、でもなんの為だったんだ?
俺は団体競技をプレーしてる訳じゃないぜ
“Spotlights burn down
I’m left with my doubts
Yeah, we’re done, but what for?
I don’t play for a team sport”
“私は大丈夫”と君は言った
君の目を見ればそんなの分かるさ
君が望めばいつでも俺は君のそばに駆けつけるよ
君の家まで走った、どうなろうと構わない
でも今は…
“You said, “I’ll be alright”
I knew by the look in your eyes
But any time you want, you know I’ll be the one
Racin’ to your door, even against the odds
But now”
(でも今は)
夏が終わった
今だに君からの電話を一人寂しく待ってる、気が狂いそうだ
あの男は今夜あの子の家に泊まっていくのかな
クォーターバックだからな
夏が終わった
今だに君からの電話を一人寂しく待ってる、気が狂いそうだ
あの男が今夜泊まっていくのか分からない
クォーターバックだから大丈夫だ
“(But now)
Summer’s gone
I’m alone wishin’ for your call, startin’ to freak
I’m not sure if he’s comin’ over for the night
Quarterback’s fine
Summer’s gone
I’m alone wishin’ for your call, startin’ to freak
I’m not sure if he’s comin’ over for the night
Quarterback’s fine”
Wallowsが描く青春の一幕
Wallows(ワロウズ)の「Quarterback」は一夏の恋を歌ったラブソングだ。主人公が恋をする女性は、主人公ではなくクォーターバックの男を選んでしまう、という失恋に関する内容。
アメリカンフットボールはアメリカの国民的スポーツの一つとして認知されており、クォーターバックは攻撃の司令塔となる重要なポジションである。
さらに、アメフト部はスクールカーストでも常に上位に属するという、アメリカのスクールカースト文化が根底に描かれている。
Quarterback’s fineの解釈
そして、タイトル「Quarterback」に最も関連するのが、“Quarterback’s fine”という一行。
今回の和訳では、“クォーターバックだからな”、“クォーターバックだから大丈夫だ”、と2通りの和訳をしたが、それは2通りの解釈が考えられるためである。
1つ目の、“クォーターバックだからな”の解釈は、クォーターバックというポジションは攻撃の司令塔のため女性人気も高く、自分の恋する女性がクォーターバックに恋心を抱くのは仕方がない、と諦めをつけたい主人公の心情である。
2つ目に、“クォーターバックだから大丈夫だ”という解釈は、クォーターバックは司令塔だが、基本的に自ら得点を決めるポジションではないため、自分にもまだチャンスがあるのでは、という主人公の微かな希望だと読み解ける。
等身大の目線で描かれる「Quarterback」の歌詞は、アメリカならではの青春のほろ苦さをピュアに昇華した、Wallowsならではの恋物語だ。
Quarterback作品クレジット
Wallows(ワロウズ)「Quarterback」のクレジットは下記となっている。
プロデューサー:Wallows, Sachi DiSerafino & John DeBold
作詞・作曲:Braeden Lemasters、Dylan Minnette、Preston Cole Taylor
リリース日:2021年2月15日
リリース
EP『Remote (Deluxe)』
発売日: 2021/2/19
収録曲:
1. Virtual Aerobics
2. Dig What You Dug
3. Nobody Gets Me (Like You)
4. Coastlines
5. Talk Like That
6. Wish Me Luck
1. On Time
2. Quarterback
3. Another Story
4. OK (w/ Remi Wolf & Solomonophonic)
5. OK
フォーマット:Mp3
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1stアルバム『Nothing Happens』
発売日: 2019/3/22
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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バンドプロフィール
“LAを拠点に活動するDylan Minnette、Braeden Lemasters、Cole Prestonからなる3ピースバンド。
ビートルズ、ベッドルーム・ポップ、ローファイ、70’sポスト・パンクなど様々なジャンルを取り込んで進化したインディー・ロック。
DylanとBraedenはもともと子役として活躍としており、3人は11歳の時に出会って以来の親友通し。
Dylanはインディアナ、Braendenはオハイオ出身で、彼らの母親がオンラインで交流していたのをきっかけに急速に仲良くなったそう。ザ・ビートルズ、レッド・ツェッペリン、ボブ・ディランなど共通の音楽の嗜好を持っていたことも相まって、次第にオリジナル楽曲の制作に没頭するようになる。サン・フェルナンドの音楽プログラム”JOIN THE BAND”をきっかけにバンドを結成した彼らは、10代のほとんどをライヴとソング・ライティングの実力と業を磨くことに費やし、Cole曰く彼らは「サンセット・ストリップで育ったような感じ」ということで、Whiskey-A-Go Goのステージにも立っていたという。2017年に4枚のシングルをセルフ・リリース。当時はレーベルもマネジメントもなく、ましてやレコーディング時はバンド名さえ決まってなかったそう。「Pleaser」がSpotifyのGlobal Viral Chart 50チャートにランクインし、オンラインでバズを起こす。
Atlantic Recordsと契約を交わし、グラミー賞受賞プロデューサーJohn Congleton(St. Vincent他)をプロデュースに迎え、デビューアルバム『Nothing Happens』を2019年にリリース。
米Billboardのアナログ・アルバム・チャートで15位を獲得したほか、TIMEやStereogumといった米メディアから高い評価を受けた。またEPからのシングル“Picture Of Girls”は、アメリカのオルタナティヴ・スペシャリティ・チャートでも好調な動きを見せ、2018年の年間チャートの4位を獲得したほか、米音楽情報ブログ、IDOLATORでも2018年ベスト・シングル100の1枚に選ばれた。
またそのヒットもあってか、彼らは全米人気TV番組「The Late Late Show with James Corden」にパフォーマンス・ゲストとして出演を果たした。同時にライヴ・バンドとしても、ロラパルーザやオースティン・シティ・リミッツなどに出演、Vampire Weekendのオープニング・アクトを務めるなど更に経験と実力を積んでいくのであった。
音楽活動と並行する形でDylan は現在も俳優業も行っており、Netflixの人気シリーズ「13 Reason’s Why(邦題:13の理由)」に出演している。”
Wallows代表曲(Youtube)
- Wallows – Are You Bored Yet? (feat. Clairo) [Official Video]
- Wallows – Pictures of Girls (Official Video)
- Wallows – Remember When (Official Video)
ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
BELONG Mediaのライター/翻訳。
高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。
13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。
関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。
2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。
2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。
普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。
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