最終更新: 2021年8月21日

The Killers(ザ・キラーズ)が新曲「Quiet Town」をリリースした。

7作目となるアルバム『Pressure Machine』に収録されている「Quiet Town」の歌詞を和訳すると共に、内容について考察している。

フロントマンであるブランドン・フラワーズがこれまでに歌詞にできなかった、幼少期過ごしたユタ州の静かな町で起きた事件。

ずっと封印していた過去のトラウマへの回帰で気付いた、コロナ禍にも通じる人間の強さとは。

The Killersについて

The Killers(ザ・キラーズ)
撮影:Danny Clinch

アメリカ・ラスベガス出身の4人組ロック・バンド、The Killers(ザ・キラーズ)について。

The Killersは世界の主要フェスであるグラストンベリー、コーチェラ、ロラパルーザなどでヘッドライナーを務めた経験のあるワールドクラスのバンドである。

これまでに、デビューアルバム『Hot Fuss』(2004)、『Sam’s Town』(2006)、『Day & Age』(2008)、『Battle Born』(2012)、『Wonderful Wonderful』(2017)、『Imploding the Mirage』(2020)を発売。

そして、7作目となるアルバム『Pressure Machine』を2021年8月13日にリリースした。

Quiet Townについて

The Killers(ザ・キラーズ)の新曲「Quiet Town」について。

「Quiet Town」のミュージックビデオは、フロントマンであるブランドン・フラワーズが幼少期を過ごしたユタ州の町を舞台にしたアニメーション映像である。

ブランドン・フラワーズは「Quiet Town」について、NMEの記事で下記のように語っている。

“ニーファイにいる時の記憶の多くはあたたかいものだけど、恐怖や大きな悲しみに結びつくものに心を動かされたんだ。バンドを始めた時よりも今のほうが理解できる。そして、僕の育った小さな街の人生や物語に正しいことをできればと思ったんだ”

引用元:ザ・キラーズ、本日リリースの新作より“Quiet Town”のミュージック・ビデオが公開(NME)

The Killers – Quiet Town

Quiet Town和訳

The Killers(ザ・キラーズ)の新曲「Quiet Town」について。

フロントマンであるブランドン・フラワーズが幼少期を過ごしたユタ州の町について歌われた歌詞を和訳し、内容について掘り下げていく。

あぁ、電車についての話だったな
2、3年に一度誰かが電車に轢かれてる
2、3年に一度だぜ
電車についてみんなよく知ってるよな?
しょっちゅう耳にするだろ
電車はこの人生から抜け出す道を教えてくれるものなのかもな、もし轢かれたらの話だが

“Oh yeah, oh no, the train, the train.
Every 2 or 3 years, the train kills somebody.
Every 2 or 3 years, yeah.
Everybody knows about the train, OK?
You hear it constantly.
Eh, I— I think the train is a way to find your way out of this life, if you get hit by it”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

ユニオン・パシフィック鉄道で子供が2人轢かれたんだ
金属板と家電製品を大雨の中運んでいたんだと
その2人は卒業したら結婚する予定だった
小さな女の子がいたが、悲劇が起き全てを失った
そんな悲劇は起こってはいけないはずなんだよ

“A couple of kids got hit by a Union Pacific train
Carrying sheet metal and household appliances through the pouring rain
They were planning on getting married after graduation
Had a little baby girl, trouble came and shut it down
Things like that ain’t supposed to happen”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

この静かな町には、強い家族の絆がある
ここの人々は素晴らしい、夜でもドアに鍵をしないんだから
この静かな町ではね

“In this quiet town, families are tight
Good people, they still don’t deadbolt their doors at night
In this quiet town”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

オピオイド事件について初めて聞いた時、みんな声を潜めていた
子供たちの家の前には、悲しみを表す旗が今も掲げられている
父親が娘に対して弔辞を捧げ、親は涙を流した
その子供たちのボーイスカウトのバッチには重要な意味がある
スーツとガウンに身を包んだ遺体はそこに横たわっている
誰かがずっと秘密を守ってるんだ

“When we first heard opioid stories, they were always in whispering tones
Now banners of sorrow mark the front steps of childhood homes
Parents wept through daddy’s girl eulogies
And merit badge milestones with their daughters and sons
Laying there lifeless in their suits and gowns
Somebody’s been keepin’ secrets”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

この静かな町では、誰もが生き方を知ってる
イエス・キリストを信仰する人々は、すぐに人を許せる素晴らしい人たちだ
この静かな町ではね

“In this quiet town, they know how to live
Good people who lean on Jesus, they’re quick to forgive
In this quiet town”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

俺が町の近くに来た時、何かしらの理由を付けて
この町に住んでた人々の魂と共に故郷を振り返るんだ
両親が働き盛りだった頃を見る度に
その息子は、今まで曲にすることのできなかった愛を受け取った
幸運にも心の一部はまだ子供の頃のままだ

“Now whenever I’m near the town I’ll find some reason to give
And I will walk with the dead and the living where I used to live
And every time I see my parents in the prime of their lives
Offering their son the kind of love he could never put down
Well, part of me is still that stainless kid, lucky”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

この静かな町は最も素晴らしい場所だ
もし君がトラブルにあっても、勤勉な人々が手を貸してくれるさ
この静かな町ではね

“In this quiet town, salt of the land
Hard-working people, if you’re in trouble, they’ll lend you a hand
Here in this quiet town”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

さぁ、収穫の時期だ
学校は終わって、太陽が照りつけてる
週末列車は煙を出して走ってる
この静かな町では電車の音が響き渡ってるんだ

“The first crop of hay is up
School let out and the sun beats down
Smoke billows from a Sunday train
That cries away from a quiet town”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)「Quiet Town」歌詞(Genius Lyrics)

ブランドン・フラワーズのトラウマ

アメリカ・ユタ州
ブランドン・フラワーズの出身地、アメリカ合衆国・ユタ州

​​The Killers(ザ・キラーズ)の新曲「Quiet Town」のテーマはブランドン・フラワーズのトラウマである。

すなわち彼が幼少期に住んでいたユタ州の町で起きた電車事故への回帰がテーマとなっている。

「Quiet Town」はナレーションの語り口によって幕を開ける。

その冒頭の歌詞では、この町では2、3年に一度電車事故が起きている事実と共に、電車に轢かれると、この町よりも素晴らしい場所に行けると信じて自死してしまう若者について言及していると解釈できる。

同時に、この町では電車は悪として捉えらえられているが、若者が都会へ出ていくためには電車が必要であり、同時に明るい未来を握るのも電車なのだと比喩していると読み解ける。

“あぁ、電車についての話だったな
2、3年に一度誰かが電車に轢かれてる
(中略)
電車はこの人生から抜け出す道を教えてくれるものなのかもな、もし轢かれたらの話だが”

ブランドン・フラワーズが経験した事件というのが、次の歌詞で登場する“ユニオン・パシフィック鉄道で子供が2人轢かれた”という事件である。

“ユニオン・パシフィック鉄道で子供が2人轢かれたんだ
金属板と家電製品を大雨の中運んでいたんだと
その2人は卒業したら結婚する予定だった
小さな女の子がいたが、悲劇が起き全てを失った
そんな悲劇は起こってはいけないはずなんだよ”

次の歌詞ではタイトル「Quiet Town」、すなわち“静かな町”で電車事故があったにも関わらず、町中が家族のように支え合う素晴らしい町なのだと表現されている。

“この静かな町には、強い家族の絆がある
ここの人々は素晴らしい、夜でもドアに鍵をしないんだから
この静かな町ではね”

次の歌詞で登場するオピオイドとは麻薬性鎮痛剤の一種で、アメリカではその依存性と過剰摂取により亡くなる人が増加し、一時問題となっていた。

オピオイドを摂取した若者の死亡事件で、舞台となったこの町が悲しみで覆い尽くされた様子が描かれている。

“オピオイド事件について初めて聞いた時、みんな声を潜めていた
子供たちの家の前には、悲しみを表す旗が今も掲げられている
(中略)
スーツとガウンに身を包んだ遺体はそこに横たわっている”

静かな町に、悲劇をもたらした電車の警笛が今なお響き渡る。

この“静と動”の対比は“生と死”を彷彿とさせ、この町には悲しみを抱擁して乗り越える力強さがあると次の歌詞で表されている。

“週末列車は煙を出して走ってる
この静かな町では電車の音が響き渡ってるんだ”

そしてこの「Quiet Town」という楽曲は、次の歌詞で登場する“息子”すなわちブランドン・フラワーズが、今まで曲にすることのできなかった楽曲なのだということが分かる。

“両親が働き盛りだった頃を見る度に
その息子は、今まで曲にすることのできなかった愛を受け取った
幸運にも心の一部はまだ子供の頃のままだ”

ブランドン・フラワーズを始め、多くのアーティストにとってコロナ禍のステイホーム期間は、過去のトラウマを昇華する一つのタイミングだったのかも知れない。

ユタ州の孤立した町と、コロナ禍で孤立した我々の現状。

協力して苦難を乗り越えようとする人間の強さが描かれた楽曲こそが「Quiet Town」である。

「Quiet Town」収録アルバム

7thアルバム『Pressure Machine』

発売日: 2021年8月13日
収録曲:
1.West Hills
2.Quiet Town
3.Terrible Thing
4.Cody
5.Sleepwalker
6.Runaway Horses
7.In The Car Outside
8.In Another Life
9.Desperate Things
10.Pressure Machine
11.The Getting By
フォーマット:Mp3
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The Killersプロフィール

The Killers(ザ・キラーズ)
撮影:Danny Clinch

“2002年に米国ラスヴェガスで、ブランドン・フラワーズ(vo、key)とデイヴィッド・キューニング(g)を中心に結成された4人組ロック・バンド。2004年のデビュー・アルバム『ホット・ファス』から全アルバムで全英1位を獲得するモンスター・バンド。

メジャーデビューアルバムとなった『ホット・ファス』は全世界で700万枚以上を売り上げる大ヒットに。以後も『サムズ・タウン』『デイ&エイジ』『バトル・ボーン』など多くのヒット作を世に送り出し、ASCAP賞、ブリット・アワードをはじめ多数の音楽賞を受賞。ポップなメロディーとロック・サウンドに加わるブランドンのうねるキーボードがこのバンドを唯一無二の存在に押し上げる。ロラパルーザやコーチェラを初めとした大型フェスのヘッド・ライナーを務める等、アメリカでの確固たる人気はもちろん、世界最大級の収容数を誇るイギリス、ウェンブリー・スタジアムを完売させる等、ヨーロッパでも驚異的な人気を誇る。 2017年に発表した5作目『ワンダフル・ワンダフル』が全米・全英アルバムチャートで初登場1位を獲得し改めて世界的な人気の高さを証明した。”

引用元:The Killers(ザ・キラーズ)プロフィール(TOWER RECORDS)

The Killers代表曲(Youtube)

  • The Killers – Mr. Brightside (Official Music Video)
  • The Killers – Caution
  • The Killers – Runaways

ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
Rio Miyamoto
BELONG Mediaのライター/翻訳。

高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。

13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。

関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。

2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。

2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。

普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。

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