最終更新: 2023年2月7日

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が新曲「As It Was」を発表した。

本記事では新曲「As It Was」の歌詞について和訳し、BELONG独自の解釈で内容を考察している。

ハリー・スタイルズが曲名にした”As It Was(これまで)”とは、どのような経験のことを指すのだろうか?

また、ハリー・スタイルズは2023年のグラミー賞の最優秀アルバム、ポップアルバムの2部門を受賞した。(2023年2月7日追記)

テキスト:M.H、yabori 翻訳:M.H 編集:yabori

ハリー・スタイルズとは

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)
クレジット:プレス
ハリー・スタイルズ(Harry Styles)こと、ハリー・エドワード・スタイルズはイギリスのシンガーソングライターである。

One Directionの元メンバーで、2017年5月にデビューアルバム『Harry Styles』をリリースし、発売日に84カ国以上のiTunesチャートで首位を獲得した。

2018年に行われた来日公演では、オープニングアクトとしてWarpaintが出演している。

2019年にリリースされたセカンドアルバム『Fine Line』は、イギリスの男性アーティストによる史上最大の初週売上で米ビルボード200の首位を獲得し、2020年にはローリング・ストーンの“史上最高のアルバム500”にランクインした。

2022年のコーチェラ・フェスティバルではヘッドライナーとして出演し、シャナイア・トゥエインとコラボを行っている。

As It Was

Harry's House

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)の新曲「As It Was」は、2022年5月20日にリリースされる最新アルバム『Harry’s House』の第一弾シングルである。

「As It Was」はそのシンセリフやテンポ感から、アレンジ的としてはa-ha「Take On Me」の直接的なオマージュのように聴こえる。

歌詞を比較してみると、「Take On Me」は、不安定さを抱えつつ未来へ進もうとする(少し他力本願のような)青年期の姿を感じさせる。

一方でハリー・スタイルズの「As It Was」の歌詞は、大人になり、過去の経験からくる不安に苛まれながらも、未来へ進もうとする姿を感じさせる。

a-ha – Take On Me (Official Video) [Remastered in 4K]

「As It Was」のMVについて

Tanu Muino (タヌ・ムイノ)

その「As It Was」のMVについて、celebmix.comで詳しい内容が紹介されている。

映像監督はロンドンで活動するウクライナ人の映像監督、タヌ・ムイノ。

彼女による万華鏡のようで映画的なMVは様々な方法で楽曲の体験を高めることに成功した。

ビデオは赤いデザイナーズのコートと黒いカシミアのマフラーを巻いたハリー・スタイルズが通勤途中の人々の間を通り抜けるシーンから始まる。

歌が始まると同時に、ハリー・スタイルズだけゆっくりと逆再生され、ドアを通り抜けるとともに彼はコートを脱ぎ、回転する舞台の上でけばけばしくも美しい赤いスパンコールのジャンプスーツに身を包み、青いそれを着たパートナーと踊る。

タヌ・ムイノからのコメント

映像監督、タヌ・ムイノは「As It Was」のMVとウクライナについて下記のように語っている。

「ハリー・スタイルズは大好きなパフォーマーだったので、彼のMVを撮ることは死ぬ前にしたいことリストの夢が叶うような経験でした。

撮影は甘く苦い時間で、人生で最も幸せなものとなりました。しかし、撮影の2日目に私の故郷であるウクライナが侵略されました。

その時の尋常でない感情を想像するのは難しくないと思います。

私とウクライナからきたクルーがこのビデオを愛情を込めて作ったことは映像からも伝わると思います。

このビデオのことは生涯忘れないと思いますし、もう引退してもいい気持ちでいます。」

ハリー・スタイルズは後に彼が固定される、回転する舞台の上でパートナーの腕を掴もうとする。これは彼が前に進めずにいることを隠喩的に表現しているのだ。

一度手を離してしまった後も、彼は彼女の腕を握り締め続ける。ビデオの最後に彼は解放され、悲痛な表情が笑顔へと変わり、手を大きく拡げ子供のように踊る。

このビデオには非常に多くの比喩があり、おそらく100回ほど見ることでそれらを全て理解できるのではないか。そしてそのことはアルバムの他の曲にも共通している。

とにかくこの素晴らしい曲は、スクリーンの上で表現されること以上に彼の想いを私たちに伝えてくる、最高の芸術作品となっている。

ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – As It Was (Official Video)

As It Was歌詞和訳

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が新曲「As It Was」について、和訳していく。

たのむよハリー、おやすみって言いたいのに

“Come on, Harry, we wanna say goodnight to you”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

ためらわせる
ことの重大さが僕をためらわせる
僕に君の手のひらを差し出してほしいんだ
そのままでいようよ

“Holdin’ me back
Gravity’s holdin’ me back
I want you to hold out the palm of your hand
Why don’t we leave it at that?”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

言うことはない
全てが邪魔になった時
君の代わりはいないみたいだし
僕はどこにもいかないんだ

“Nothin’ to say
When everything gets in the way
Seems you cannot be replaced
And I’m the one who will stay, oh-oh-oh”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

この世界には僕らだけ
今までとは違うってわかるだろ?

“In this world, it’s just us
You know it’s not the same as it was”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

この世界には僕らだけ
今までとは違うってわかるだろ?
今までとは、今までとは
違うってわかるだろ?

“In this world, it’s just us
You know it’s not the same as it was
As it was, as it was
You know it’s not the same”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

電話に出る
「ハリー、君は一人じゃダメなひと。
家なのに何故床に座ってるの?
どのピルを飲んだの?」

“Answer the phone
“Harry, you’re no good alone
Why are you sitting at home on the floor?
What kind of pills are you on?””

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

ベルを鳴らしても
誰も助けには来ない
君の父親は一人暮らし
彼は君が上手くやってるかを知りたいだけなんだ

“Ringin’ the bell
And nobody’s coming to help
Your daddy lives by himself
He just wants to know that you’re well, oh-oh-oh”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

この世界には僕らだけ
今までとは違うってわかるだろ?

“In this world, it’s just us
You know it’s not the same as it was”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

この世界には僕らだけ
今までとは違うってわかるだろ?
今までとは、今までとは
違うってわかるだろ?

“In this world, it’s just us
You know it’s not the same as it was
As it was, as it was
You know it’s not the same”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

家に帰って、前に進んで、インターネットは光速で進む
それまでの話はしたくない

“Go home, get ahead, light-speed internet
I don’t wanna talk about the way that it was”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

アメリカを去る、二人の子どもは彼女についていく
誰がやりはじめたかなんて話したくない

“Leave America, two kids follow her
I don’t wanna talk about who’s doin’ it first”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

なぁ
今までとは
今までとは違うってわかるだろ?
今までとは、今までとは

“(Hey)
As it was
You know it’s not the same as it was
As it was, as it was”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」歌詞(Genius Lyrics)

As It Was歌詞和訳まとめ

指輪(As It Was歌詞和訳まとめ)
クレジット:pexels
ハリー・スタイルズ(Harry Styles)の新曲「As It Was」の歌詞を和訳してみると、ハリーが過去から未来へと進むことをテーマとした楽曲であるがわかった。

まず、楽曲冒頭に出てくる“子どもの声”について、これはハリーの名付け子であるルビー・ウィンストンの声である。

彼女はハリー・スタイルズに留守電を通して話しかけている。

ルビーは毎晩寝る前にハリーへおやすみの電話をかけていて、一度、彼がその電話に出れなかった時、その怒りを伝えるために留守電のメッセージを残したのだという。

“たのむよハリー、おやすみって言いたいのに”

続いて、歌詞に出てくる登場人物の“アメリカを去る女性と2人の子ども”について。

まず、このアメリカを去る女性とは、ハリーの恋人と噂されるオリビアワイルドで、彼女とはロンドンとロサンゼルスの両方に住もうと計画したことがあったそうだ。

元婚約者との間に2人の子どもがいることから、これは彼女について言及しているものと思われる。

“アメリカを去る、二人の子どもは彼女についていく
誰がやりはじめたかなんて話したくない”

As It Wasの意味

タイトルの“As It Was”の意味とは、時間の経過がいかに多くのものに影響を与え、その本質を変えてしまうかについてである。

おそらくは時間とともに様々な影響を受けながら、互いの行動様式が変わってしまうこともあるのではないか。

一方、ハリーは自分自身に問いかけることで、これまでの時間経過と直面した経験がどのように自分を変化させたかを考えているとも取れる。

“今までとは、今までとは
違うってわかるだろ?”

ハリー・スタイルズからのコメント

最後に、新曲「As It Was」について、ハリー・スタイルズは彼自身の経験が反映された曲だと、Heartでのインタビューでコメントしている。

“コロナ禍において、みんなが一時停止を強いられる中で、音楽から一度離れて自分を見つめ直す機会となった。そのおかげで、このアルバム(『Harry’s House』)を作ることができたし、音楽だけが自分の人生であるようなプレッシャーを感じることも少なくなったんだと思う。”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)「As It Was」(Heart)

コロナ禍が引き起こした音楽と離れる時間を通して自分を見つめ直し、過去の足かせから逃れて未来へと進む姿を描いた歌が、「As It Was」である。

As It Was作品クレジット

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)の新曲「As It Was」のクレジットは下記となっている。

プロデューサー:Tyler Johnson & Kid Harpoon
作詞・作曲・アレンジ:Kid Harpoon, Tyler Johnson & Harry Styles
レーベル:Erskine Records & Columbia Records
レコーディング・エンジニア:Jeremy Hatcher
ビデオ・ディレクター:Tanu Muino
作曲:Tyler Johnson & Kid Harpoon
作詞:Tyler Johnson & Kid Harpoon
ドラムマシーン:Kid Harpoon & Tyler Johnson
シンセサイザー:Kid Harpoon & Tyler Johnson
パーカッション:Doug Showalter
アシスタント・エンジニア:Katie May, Luke Gibbs, Adele Phillips, Josh Caulder, Joe Dougherty & Matt Wolach
マスタリング・エンジニア:Randy Merrill
ミックス・エンジニア:Mark “Spike” Stent
ピアノ:Tyler Johnson
プログラマー:Jeremy Hatcher
ギター:Doug Showalter & Kid Harpoon
ドラム:Mitch Rowland & Kid Harpoon
ベース:Kid Harpoon
リリース日:2022年4月1日
カバー写真:As It Was (8-Bit Computer Game Version) by 8-Bit Arcade

ハリー・スタイルズアルバム作品

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)はこれまでに3枚のアルバム(『Harry Styles』、『Fine Line』、『Harry’s House』)をリリースしている。

3rdアルバム『Harry’s House』

Harry's House
発売日: 2022/5/20
収録曲:
1.Music for a Sushi Restaurant
2.Late Night Talking
3.Grapejuice
4.As it was
5.Daylight
6.Little Freak
7.Matilda
8.Cinema
9.Daydreaming
10.Keep Driving
11.Satellite
12.Boyfriends
13.Love of My Life
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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2ndアルバム『Fine Line』

ファイン・ライン (通常盤) (特典なし)
発売日: 2019/12/13
収録曲:
1.Golden
2.Watermelon Sugar
3.Adore You
4.Lights Up
5.Cherry
6.Falling
7.To Be So Lonely
8.She
9.Sunflower, Vol. 6
10.Canyon Moon
11.Treat People With Kindness
12.Fine Line
フォーマット:CD
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1stアルバム『Harry Styles』

ハリー・スタイルズ(アルバム)
発売日: 2017/5/24
収録曲:
1.Meet Me in the Hallway
2.Sign of the Times
3.Carolina
4.Two Ghosts
5.Sweet Creature
6.Only Angel
7.Kiwi
8.Ever Since New York
9.Woman
10.From the Dining Table
フォーマット:CD
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ハリー・スタイルズ:マーキュリープライズにノミネート

2022 Mercury Prize
ハリー・スタイルズ(Harry Styles)がマーキュリープライズ2022にノミネートした。

昨年はArlo Parks『Collapsed in Sunbeams』が受賞しており、これまでにWolf Aliceやalt-J、ジェームス・ブレイクなどが受賞している。

マーキュリープライズの授賞式とライブパフォーマンスは9月8日(木)に行われる予定である。(2022年8月2日追記)

グラミー賞2023受賞

グラミー賞2023
ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が2023年のグラミー賞の最優秀アルバム、ポップアルバムの2部門を受賞した。

2023年グラミー賞のライブパフォーマンスで、ハリーは「As It Was」を披露している。

「As It Was」は、ハリー・スタイルズにとって2回目のBillboard Hot 100のNo.1をもたらした。

ハリー・スタイルズは2021年に初めてのグラミー賞にノミネートし、「Watermelon Sugar」でベストポップソロパーフォーマンスを受賞している。

今年はさらに6つのノミネーションが加わり、「As It Was」に対してレコード・オブ・ザ・イヤー、ソング・オブ・ザ・イヤー、『Harry’s House』に対してアルバム・オブ・ザ・イヤーが初めてのノミネーションとなった。

ハリー・スタイルズプロフィール

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)

“シンガー、ソングライター、俳優のハリー・スタイルズは、イギリスのボーイズバンド、ワン・ダイレクションのメンバーとして、印象的な方法でチャートのトップに立ち、世界中をツアーして何百万人ものファンの前で演奏し、アルバムを大量に売り上げました。2016年に独立した彼のソロ作品は、よりシリアスでロックなアプローチで、幼少期に好きだったクイーン、エルトン・ジョン、ビートルズの影響を反映しながらも、彼の忠実なファンが望むポップサウンドを提供しています。デビュー・アルバム『Harry Styles』は全世界で1位を獲得し、2019年にはグラミー賞とブリット賞を受賞した大ヒット曲 “Watermelon Sugar” を収録したマルチプラチナの後続作『Fine Line』でさらなる高みへと駆け上がりました。2022年、スタイルズは3枚目のセット『ハリーズ・ハウス』をリリース。”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)プロフィール(All Music)

ハリー・スタイルズの評価

“2ndアルバム『ファイン・ライン』はイギリスで3位、アメリカのチャートでもトップとなり、1991年にニールセン・サウンドスキャン(Nielsen SoundScan)のトラッキングが開始されて以来、イギリス人男性アーティストのアメリカでの最大のセールス・デビュー記録を更新した。 このアルバムは、カリフォルニア州マリブのシャングリラ・スタジオで、デビュー・アルバムと同じ制作チームと共にレコーディングされたもので、ハリー・スタイルズに似たサウンドを特徴としながらも、ファンクやソウルの要素を取り入れている。フリートウッド・マックのシンガー、スティーヴィー・ニックスはこのアルバムを「Styles’s rumors」(フリート・ウッドマックの大ヒットアルバム『噂』に喩えている)と呼び、このアルバムをきっかけに新しい音楽を書くようになったとコメントしている。”

引用元:ハリー・スタイルズ(Harry Styles)の評価(Wikipedia)

ハリー・スタイルズ代表曲(Youtube)

  • ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – Sign of the Times (Official Video)
  • ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – Watermelon Sugar (Official Video)
  • ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – Golden (Official Video)

ハリー・スタイルズ関連記事

ハリー・スタイルズ(Harry Styles)の関連記事について、BELONGではハリーのツアーに参加した Warpaint、Wet Legの記事を取り上げている。

また、ハリー・スタイルズはWet Legの「Wet Dream」をカバーしている。

ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – Wet Dream (Wet Leg cover) in the Live Lounge

  • Warpaint『Radiate Like This』リリース!
  • Wet Legインタビュー