最終更新: 2024年6月23日

ナッシュヴィルを拠点に活動するシンガーソングライター、コナー・ヤングブラッド(Conner Youngblood)が、新作アルバム『Cascades, Cascading, Cascadingly』を9月6日にリリースする。

6年ぶりとなるフルアルバムで、欲望や孤独、興奮や逃避といった普遍的なテーマの一方で、サウンドはドリームポップ主体となった作品となっている。

アルバムから新曲「Blue Gatorade」、日本語歌詞の「スイセン」、「Reveille!」の3曲が公開。

BELONGでは『Cascades, Cascading, Cascadingly』について、コナー・ヤングブラッドにインタビューを行っており、

このリリース記事ではインタビュー本編に先駆け、彼のルーツと日本のファンへのメッセージを掲載している。

コナー・ヤングブラッドのルーツとなった音楽とはどのようなものだろうか?

Conner Youngbloodとは

Conner-Youngblood-photo-by-Julia-Mayorova
撮影:Julia Mayorova
コナー・ヤングブラッドは、ナッシュビルを拠点に活動するインディー・フォーク・アーティストである。

Bon Iverやスフィアン・スティーヴンスのようなインディー・フォーク・ミュージシャン、Gorillazのような実験的なアーティストから影響を受けており、

木管楽器、ハープ、タブラなど30種類以上の楽器を使用した豊かなアレンジが魅力だ。

2018年にデビューアルバム『Cheyenne』をリリース。

音楽的旅程の中で、英国のラジオDJのアニー・マックやジャイルス・ピーターソン、Ninja Tuneの傘下レーベルCounter Recordsからも注目されるなど、徐々に知名度を上げてきている。

Cascades, Cascading, Cascadingly

Conner Youngblood-Cascades, Cascading, Cascadingly

コナー・ヤングブラッドが新作アルバム『Cascades, Cascading, Cascadingly』を2024年9月6日にMissing Piece Recordsからリリースする。

本作は、自身の家で自身で録音・プロデュースされた作品で、ベッドルーム・ポップの枠を超えた壮大な作品になっている。

歌詞は英語だけでなく、スペイン語、日本語、デンマーク語も用いられており、詩的で感情的なテーマが描かれた。

楽器編成も独創的で、7分間に及ぶ新曲「Blue Gatorade」では、フランスオープンのテニス観戦からインスピレーションを得た歌詞とゆったりとしたメロディが融合している。

「Blue Gatorade」のMVはコナー自身のパソコンに保存されたさまざまな映像を編集して作られたそうだ。

また、本作には日本語歌詞に挑戦した「スイセン」も収録されており、BELONGが行ったインタビューでは日本のアーティスト、リリイ・シュシュからの影響についても語っており、興味深い内容となっている。

Reveille!

コナー・ヤングブラッドが9月6日リリース予定の新作アルバム『Cascades, Cascading, Cascadingly』から先行シングル「Reveille!」を公開した。この曲は、彼の創作プロセスに新たな展開をもたらした曲となっている。

「Reveille!」は、自身の創作の枠を超えて挑戦した曲で、イギリスの詩人A.E.ハウスマンの詩を歌詞の基礎として採用した。これは、自身の歌詞制作で行き詰まった時に偶然出会った詩からインスピレーションを得たという、創作者としての柔軟な姿勢を示している。

音楽面では、ドライビング・ロック・ビートを基調としながらも、実験的な要素を取り入れている。ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・ロシアの極北“ラップランド”に暮らす先住民サーミ人(サーメ)の伝統的な歌唱法であるヨイクのサンプルを使用し、さらにヴォコーダーを駆使したメロディラインを加えることで、独特の音響空間を創り出している。

コナーは、詩の言葉を取り入れつつも最終的に自身のコーラスを加えることで完成した。「Reveille!」は、コナー・ヤングブラッドの音楽性の幅広さと、常に新しい表現を模索する姿勢が感じられる一曲となった。

最新アルバム『Cascades, Cascading, Cascadingly』にも、さらなる実験的試みが詰め込まれていることだろう。アルバムリリースまで、先行公開された「Blue Gatorade」、日本語歌詞の「スイセン」と共に、彼の新たな音楽世界を堪能してみて欲しい。

Conner Youngbloodのルーツ

コナー・ヤングブラッドは、多彩な音楽的影響を受けて育った現代のシンガーソングライターである。

彼自身の言葉によると、Cocteau Twinsを始めとした幅広いアーティストから影響を受けている。

今回は彼の音楽的な背景を詳しく知る上で、彼の音楽的アイデンティティを形成した特に重要な3つのアルバムを教えてもらった。

これらの影響は、コナーの音楽独自の多様性と深みをもたらし、フォークからエレクトロニカまで、様々なジャンルを取り入れながら、自身の音楽を確立している。

この質問に答えるのは本当に難しいです。

私の音楽の中には、Cocteau Twins、カニエ・ウェスト、ボブ・ディラン、Dirty Projectors、スフィアン・スティーヴンス、リリー・シュシュ(Lily Chou-Chou)、Radioheadなど様々な音楽的瞬間や影響が表れています。

でも、選んだ3つのアルバムは、私が歌やソングライティング、様々な楽器の演奏、エクレクティックな作曲、そして総じて音楽を楽しむきっかけとなったアルバムです。

エリオット・スミス – Either/Or

彼の中から1つのアルバムを選ぶのは本当に難しかったのですが、彼は私に自分の歌を書いて歌うよう説得してくれた最初のアーティストでした。

10代のときに彼の音楽に心を打たれました。最初は一人で部屋で彼の曲をカバーするだけでしたが、だんだんと自分の曲を書く自信がついてきました。

彼の音楽と同じように、私の音楽も多くの人から悲しげだと誤解されがちですが、彼の音楽を聴くと、はっきりとした明瞭さと生々しい正直さを感じます。

彼のように堂々と書けるようになりたいと思っており、自分なりの方法でそれに挑戦し続けています。

O Brother, Where Art Thou? – オリジナル・サウンドトラック

スフィアン・スティーヴンスのアルバムについて書こうと思っていましたが、彼のアルバムでこのアルバムのように一曲残らず知り尽くしているものがないことに気づきました。

このアルバムは私にとって特別で、音楽の書き方や録音の仕方に影響を与えたというよりは、なぜ私が音楽(と映画)を楽しむのかという大きな理由になっています。

妹たちやお母さんと、車で通学路で一緒にこのアルバムの曲を歌っていた思い出が、私にとって最初の音楽的な思い出の一つです。そして、このおかげで私はバンジョーを始めました。

Gorillaz – Gorillaz

彼らの1stアルバムは私にとって絶対的な傑作です。アーティストに夢中になったのは、これが初めてで、そして唯一かもしれません。

ポスターを集め、ファンクラブにも参加し、日本で発売された全てのシングルも買い揃えました。一曲残らず聴かなくてはならないように感じたんです。

ジャンルの融合が新鮮で興奮し、今でも刺激を受けています。視覚的にも音楽的にも、このアルバムはクリエイティビティの極致です。

ジャンルは選択できるものだと11、12歳のときに気づいたのは目から鱗が落ちる思いでした。どんなジャンルの音楽も表現できるのだと知りました。

ダン・ジ・オートメイターのプロデュース、デーモン・アルバーンによる曲、ゲストミュージシャンとの刺激的な交流など、今でもインスピレーションを受け続けています。

エリオット・スミスと同様、彼らの作品の中から一つを選ぶのは本当に難しく、このアルバムは単に最初のアルバムに過ぎません。

Conner Youngbloodからのメッセージ

日本のリスナーの皆さんとつながれる機会があれば、本当に嬉しいです。

テキサスの学校では5年生のときから日本語を学んでいました。成績は平均程度でしたが、それ以来ずっと日本に夢中になっています。

またすぐにでも日本で演奏する機会があればいいなと思っています!(あるいは、いつか日本に住むかもしれません :))

Cascades, Cascading, Cascadingly リリース詳細


発売日: 2024年9月6日
収録曲:
1. From an Ocean, to a Lake
2. Reveille!
3. Running through the Tøyen arboretum in the spring
4. All They Want Is Violence
5. Blue Gatorade
6. Sårbare
7. Misundelig
8. Lampi
9. Oh, when I was in love with you
10. Attar
11. Closer – demo
12. Solo yo y tú
13. スイセン
14. Cascades (葉月君へ)
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
Tomohiro Yabe
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori