最終更新: 2025年3月13日

日本が誇るアーティスト宇多田ヒカルと、実験音楽界の鬼才Arca(アルカ)による衝撃的なコラボレーション「Electricity (Arca Remix)」。

この記事では、豊富な音楽知識を持つ、科学者のアリア博士と、独特な発想で物事を理解しようとする音楽知識ゼロのスライム・プニポンという、

キャラクターの掛け合いを通じて、この革新的な作品の魅力に迫る。

二人とも自らを“ノンバイナリー”と宣言している宇多田ヒカルとArca。

既存の枠組みを超えた彼らの音楽的挑戦は、ボーカル処理の革新性や感情表現の新たな可能性を示している。

アリアとプニポンの対話を通じて、時に難解に感じられる現代音楽の世界を、楽しく分かりやすく解説するこの“ジングル・ジャングル・レンジタウン”という新コラム。

音楽ファンはもちろん、音楽に詳しくない方々にも、新たな音楽体験の扉を開くきっかけになれば幸いだ。(テキスト:Tomohiro Yabe)

導入:アリア博士の研究室にて

テキスト:アリア・ソムナンブラ、プニポン 使用ツール:Claude、perplexity 編集・校正:Tomohiro Yabe(編集長)

アリア(Aria)
アリア(Aria)
プニポン、宇多田ヒカルの「Electricity」のArcaリミックスってもう聴いた?
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
え?宇多田ヒカル?ミーは最近、“トゥトゥートゥトゥトゥー”って曲ばっかり聴いてるよ!あの曲いいよね~
アリア(Aria)
アリア(Aria)
ん?なに、その曲…!?何の曲か当ててみたいから、ヒントちょうだい!
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
ヒントね~。夜遅くにやってて、ジャーナリストのおじいちゃんが入場する時の曲かな~。
アリア(Aria)
アリア(Aria)
あ!それって『朝まで生テレビ』のテーマソングの曲じゃない?曲名は何だっけ・・・それ、ポチッとな(スマホで検索)。ジェフ・バストウ「Positive Force」ね!プニポン、シブいの聴いてるわね…。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
インパクトがあって良い曲じゃない!
アリア(Aria)
アリア(Aria)
まあね…。それはさておき、今日は特別な音楽を紹介するわよ!なんと、あの宇多田ヒカルが、実験音楽界の鬼才Arcaとコラボレーションしたの!
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
宇多田ヒカルって、あの有名な歌手のこと?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
そう、日本の音楽界を代表するアーティストよ!
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
それに、アルカ?…それって新しい掃除機の名前?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
Arcaは掃除機じゃなくて、世界的に有名な音楽プロデューサーよ😅カニエ・ウェストやBjörkともコラボしてるの!とても前衛的で、ジャンルを超えた独自のサウンドを作るアーティストね。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ、なんだかすごい組み合わせだね!いったいどんな音楽なんだろう?アリア、まずはこの二人について教えてよ!

宇多田ヒカルとは:時代を切り拓くアーティスト

宇多田ヒカル

アリア(Aria)
アリア(Aria)
まずは、宇多田ヒカルについて簡単に紹介するわね。1998年に15歳でデビューし、瞬く間に日本の音楽シーンのトップに立ったの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
15歳!?中学生くらいで日本で一番有名なアーティストになったの!?すごいね!
アリア(Aria)
アリア(Aria)
そうよ。1stアルバム『First Love』は、日本で最も売れたアルバムとして今も記録に残っているわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
まるで音楽界の生きる伝説だね!
アリア(Aria)
アリア(Aria)
その後も『Distance』や『Deep River』など数々の名作を生み出し、日本だけでなく世界中の音楽ファンを魅了してきたの。宇多田ヒカルが面白いのは音楽だけじゃなくて、2010年に“人間活動”を宣言して、活動を休止したり、2021年に“ノンバイナリー”と宣言したり話題になったわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
“人間活動”って面白いね!アリア、“ノンバイナリー”って何?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
ノンバイナリーは、自分の性自認が男性・女性という二つの性別のどちらにもはっきりと当てはまらない、または当てはめたくないという考え方よ。男女の二択ではなく、もっと多様なものとして捉える立場ね。宇多田ヒカルは、2021年に自身はノンバイナリーだと明かしたことで、日本でもこの言葉が広く知られるようになったの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!性別って男か女かだけじゃなくて、もっと自由なものなんだね。宇多田ヒカルは本当に先駆者なんだ!そう言えば、ミーの性別って何だろう…。
アリア(Aria)
アリア(Aria)
プニポンは性別関係なく、プニポンじゃない!そうね、宇多田ヒカルはいつも自分らしさを大切にしてきた人よ。音楽でもプライベートでも、既存の枠にとらわれない生き方をしてるわ。2024年にはデビュー25周年を迎え、初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』をリリースしたわ。このアルバムに収録されているのが、今回Arcaとコラボレーションした「Electricity」なの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
25周年!それはすごい!こないだ取り上げたART−SCHOOLと同じじゃない!その「Electricity」って曲は、どんな曲なの?

ART-SCHOOL(アートスクール)
【関連記事 | “【前編】25周年を迎えるART-SCHOOLとは?アリアとプニポンがレンジタウン・ノートで徹底紹介!”】

「Electricity」:新たな音楽的挑戦

アリア(Aria)
アリア(Aria)
「Electricity」は、エレクトロニックなビートと感情的なボーカルが融合した、宇多田ヒカルの新たな音楽的挑戦を感じさせる楽曲よ。プロデューサーにはFloating Points、サックスとフルートはMELRAWが参加しているの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
フローティング・ポインツ?メルロウ?うーん、やっぱり呪文みたい!
アリア(Aria)
アリア(Aria)
Floating Pointsこと、サム・シェパードはイギリス出身の電子音楽プロデューサーで、ジャズやクラシックの要素を取り入れた複雑な音楽を作ることで知られているのよ。そして、MELRAWこと、安藤康平さんは素晴らしいサックス奏者なの。彼らが参加することで、「Electricity」は単なるポップソングではなく、芸術性の高い作品になっているわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ、なんだか難しそうだけど、すごそうだね!Arcaは掃除機じゃないのはわかったけど、どんな人なのかな?

Arcaとは?

アリア(Aria)
アリア(Aria)
Arcaは、実験的な電子音楽で世界的に知られているアーティストよ。ソニックマニアやコーチェラといった有名なフェスにも出演している実力派なの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
ソニックマニア?それってあのハリネズミのゲームじゃなかったっけ?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
プニポン、それはソニック・ザ・ヘッジホッグね…😅。ソニックマニアは“サマソニ”の前夜祭として開催されている、オールナイトフェスのことよ。Arcaは1989年にベネズエラで生まれ、今はスペインのバルセロナを拠点に活動しているの。最初は“Nuuro”という名前で活動していたけど、2012年からArca名義で本格的に活動を始めたわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ、国際的なアーティストなんだね!でも、どうして有名になったの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
Arcaが注目されたのは、2013年にカニエ・ウェストのアルバム『Yeezus』でプロデュースを担当したことがきっかけよ。その後、FKAツイッグスやビョークなど多くの有名アーティストとコラボレーションして、独自のサウンドが世界中で評価されるようになったの。ノンバイナリーとしてカミングアウトしていて、ジェンダーやアイデンティティに関するテーマも作品に反映させているわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!音楽だけじゃなくて、自分らしさも大切にしているんだね。“ノンバイナリー”なのは両者に共通しているんだね。
アリア(Aria)
アリア(Aria)
そうなの!それが今回のコラボレーションの特別な点の一つよ。二人ともノンバイナリーとして、既存の枠組みにとらわれない自由な表現を追求しているアーティストなの。彼らの音楽は、ジェンダーの二元論を超えた多様性や流動性を体現していると言えるわ。特にArcaの音楽は、従来の音楽の構造やサウンドの概念を解体して再構築するような試みが特徴的なの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!音楽を通して、性別の枠を超えた自由な表現をしているんだね。それって素敵だな。でも、Arcaの音楽ってどんな感じなの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
Arcaの音楽は、とても実験的で前衛的なの。不規則なリズムや複雑なサウンドデザイン、ノイズや歪みを取り入れた音響的なアプローチが特徴よ。普通の音楽とは全然違うから、最初は戸惑うかもしれないけど、新しい音楽体験ができるわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
うーん、なんだか難しそうだけど、チャレンジしてみる価値はありそうだね!アリア、そのArcaによるリミックスってどんな感じなの?

Arcaによるリミックス:前衛的なサウンドとの融合

「Electricity (Arca Remix)」

アリア(Aria)
アリア(Aria)
今回のリミックスは、原曲の感情的な要素とArca独自の前衛的なサウンドが見事に融合しているの。不規則なビートや歪んだシンセサウンドが特徴的だけど、宇多田ヒカルのボーカルの透明感は損なわれていないの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
不規則なビート?歪んだシンセサウンド?なんだか想像できないけど、なんだかすごそうだね。でも、何がそんなにすごいの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
このリミックスで特に注目すべきなのは、ボーカル処理ね。ArcaはDJセットでよく行っているグリッチエフェクトという技術を使って、宇多田ヒカルの声を断片化したり、ピッチを変えたりしているの。これによって、ボーカルが機械的でありながらも、不思議と感情的に聞こえるという新しい表現が生まれているわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
グリッチエフェクト?それって、コンピュータがバグったみたいな音?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
そうそう、まさにそんな感じ!コンピュータの誤作動のような音を意図的に作り出す技術なの。例えば、ArcaのDJセットでは、ラップやR&Bのボーカルを“ぐにょんぐにょん”に引き伸ばしたり、ゆがめたりして、まったく新しいサウンドを作り出していたわ。「Electricity」のリミックスでも、宇多田ヒカルの声を加工することで、原曲にはない未来的で幻想的な雰囲気を生み出しているの。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ、声を“ぐにょんぐにょん”にするなんて面白そう!でも、それって曲として聴けるの?変な音になっちゃわないの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
それがすごいところなの!Arcaは単に奇抜な音を作るだけじゃなくて、その中にも美しさや感情を見出すアーティストなのよ。不協和音と調和音を巧みに融合させて、不安定さと美しさが共存する独特の世界観を作り出しているわ。「Electricity」のリミックスでも、宇多田ヒカルの透明感のある歌声を残しつつ、新たな次元に引き上げているの。

プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!普通の音楽とは違う新しい体験ができるんだね!ボーカルを加工するってやり方は、前回のマーク・プリチャードとトム・ヨークのコラボ曲と同じじゃないの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
プニポン!鋭いわね!回を増すごとに賢くなってきてるじゃない!
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
当然じゃない!ミーを誰だと思ってるの😎!
アリア(Aria)
アリア(Aria)
はい、はい😅マーク・プリチャードとトム・ヨークのコラボ曲「Back in the Game」との共通点は、どちらもボーカル処理に革新的なアプローチを取っているところよ。この曲は古典的なエフェクターを使ってトム・ヨークの声を加工していたけど、Arcaはより現代的なデジタル技術を駆使しているわ。どちらも声の音程や質感を変えることで、人間の声の可能性を拡張しているの。特に面白いのは、機械的な処理を通すことで、逆に人間の感情がより強く伝わってくるという逆説的な効果があるところね。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ!機械っぽくすることで、逆に感情が強くなるなんて不思議だね。でも確かに、ロボットの声でも感情的に聞こえることってあるよね。テクノロジーと人間の感情が融合してるみたいで、なんだかSFみたいだ!これこそ本当の“SCIENCE FICTION”なんてね!

アリア(Aria)
アリア(Aria)
プニポン、悔しいけど、上手いこと言ったね🤯最後に二人からのコメントを紹介するわね。

マーク・プリチャードとトム・ヨーク
【関連記事 | “マーク・プリチャードとトム・ヨークのコラボ「Back in the Game」のすごさとは? ”】

宇多田ヒカルとArcaからのコメント

アリア(Aria)
アリア(Aria)
宇多田ヒカルとArca、二人はお互いの才能を認め合い、今回のコラボレーションが実現したの。二人はこのようにコメントしているわ。

“Arca 「It’s a song that’s so full of life and so vibrant
and so much about a warmth, a connection that can’t be broken. I wanted to do my best to
recontextualize it sonically from the original, which is already so amazing, and try to do
something different. In this instance, I wanted to go for something celebrational and to
make it as electric as the song title implied – euphoric even」

宇多田ヒカル 「It was an honor, and it was really exciting because I didn’t know what to expect. There’s an unmistakable Arca sound, yet she draws from such a beautiful range of music and experiences that you never really know what you’re going to get. What we got was incredible and beautiful. I’m very happy and excited to have had this opportunity to collaborate with her.」”

“Arca 「この曲は生命力に満ち溢れ、とても鮮やかで、壊れることのない温かさやつながりについての曲です。私は元の素晴らしい曲から音響的に再解釈し、何か違うものを作ろうと最善を尽くしました。今回は、お祝いの気持ちを込めて、曲のタイトルが示すように電気的な—陶酔的なものにしたいと思いました。」

宇多田ヒカル 「それ(Arcaに自分の楽曲をリミックスしてもらうこと)は光栄なことで、とてもワクワクしました。なぜなら何が出てくるか分からなかったからです。Arcaには独特の音があるのに、彼女はとても幅広い音楽や経験から創作するので、実際に何が出てくるか予測できません。出来上がったものは素晴らしく美しいものでした。彼女とコラボレーションする機会を得られて、とても嬉しく興奮しています。」”

アリア(Aria)
アリア(Aria)
Arcaは、“元の素晴らしい曲から再解釈し、違うものを作ろうと最善を尽くした”とコメントしているわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
へえ、Arcaは最高なものを作ろうとしたんだね!なんだかミーもワクワクしてきたよ!宇多田ヒカルはコメントで何て言ってるの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
宇多田ヒカルの方は“Arcaの音楽に前から魅了されていた。独自の感性で「Electricity」を再解釈してもらえることに興奮している”と語っているわ。二人のアーティストはまったく異なるバックグラウンドを持っているけど、音楽的な冒険を恐れない姿勢や、ジャンルの境界を超えようとする精神は共通しているのね。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!お互いを尊敬し合っているんだね。でも、こんな実験的な音楽、みんなに受け入れられるのかな?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
確かに、このリミックスは一般的なポップミュージックとはかけ離れているわ。でも、それこそが価値なのよ。この作品は単なるダンスミュージックではなく、新しい芸術表現として評価されるべきものなの。耳が肥えた音楽リスナーには、Arcaの革新的なサウンドデザインや複雑なリズム構造が楽しめるし、これまでの宇多田ヒカルのファンにも、歌声を通して新しい音楽体験ができるわ。
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
なるほど!ミーも一度聴いてみようかな。でも、どこで聴けるの?
アリア(Aria)
アリア(Aria)
主要な音楽ストリーミングサービスで配信されているわ。最初は戸惑うかもしれないけど、何度か聴いているうちに、その独創性と美しさが分かってくると思うわ。音楽の新しい可能性を感じられる貴重な作品よ。さあ、一緒に音楽の冒険に出かけましょう!
プニポン(Punipon)
プニポン(Punipon)
よーし!ミー、新しい音楽に挑戦してみるよ!ぐにょんぐにょんの世界、楽しみだな!

Electricity (Arca Remix)

「Electricity (Arca Remix)」
リリース:2025年2月28日
フォーマット:デジタル
配信リンク:Amazonで聴く

これまでのレンジタウン・ノート

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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
Tomohiro Yabe
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori