最終更新: 2025年5月1日

2012年の設立以来、一貫して世界中のインディー音楽を追い続けてきたBELONG Media。

その長年の知見と独自のネットワークが、今回、USインディーシーンを代表するBeach Fossils(ビーチ・フォッシルズ)と、日本のインディー界を牽引するDYGL(デイグロー)という、夢の対談が実現した。

2018年、両者の共演以来、敬意を持ってお互いに影響を与え合い、ついにはどちらもDIYという共通点から、自分たちでセルフリリースを行うようになった彼ら。

今回はそんな両者に前回、シャムキャッツの夏目知幸と、THE NOVEMBERSの小林祐介で実現した対談“インディペンデントに生きる”をテーマに、

国境を越えて共鳴する二組のアーティストが、創作の核心から活動の現実までを率直に語り合ってもらった。

Beach Fossilsのメンバーと、DYGLの秋山 信樹が語る、“インディーのリアル”とは?

Beach Fossils × DYGL独占対談

Beach Fossils × DYGL 対談
撮影:まりりん
アーティスト:ダスティン・ペイサー (Beach Fossils / Vo. Gt.)ジャック・ドイル・スミス(Beach Fossils / Ba.)トミー・デビッドソン(Beach Fossils / Gt.)、アントン・ホックハイム(Beach Fossils / Dr.)、秋山 信樹 (DYGL / Vo. Gt.) インタビュアー・撮影:まりりん 通訳: 管梓(エイプリルブルー / ex. For Tracy Hyde) 編集:Tomohiro Yabe

お互いの音楽への第一印象について

-まりりん: 今回の対談は前回、BELONG Mediaで行った“インディペンデントに生きる”というテーマで話し合えたらと思います。話の内容としては、インディペンデントで活動することについてのメリットやデメリット、DIYならではの活動などについて聞きたいと思います。まずは、まずはお互いの音楽を初めて聴いたときの印象から教えていただけますか?
ダスティン: DYGLの音楽は、先入観なく聴いたんだけど、ポストパンクの影響を感じたね。特に気に入ったのは、怒りというか衝動のようなものが感じられたことだよ。僕はクリーンで綺麗な音楽を作ることが多いんだけど、不思議なことに好きな音楽はもう少しエッジが効いている、尖った感じのものなんだ。だからDYGLの音楽にはとても惹かれたね。

-まりりん: 秋山さんはBeach Fossilsを聴いていかがでしたか?
秋山: 最初にBeach Fossilsを聴いたのは2010年代初頭、Captured Tracks周辺が盛り上がっていた頃だと思います。当時はイギリスのバンドをよく聴いていたんですが、Beach Fossilsやその時期の周辺のバンドがきっかけで、アメリカのバンドを聴くようになりました。彼らの音楽には、ニューウェーブやポストパンクといったイギリス音楽からの影響を感じつつ、当時のイギリスのバンドにはあまりなかったような親密さ、自分に近い温かさを感じて不思議な感覚でしたね。音はクールなのに、曲には温かみがありました。
ダスティン: そう感じてくれたのは嬉しいな。確かに僕が影響を受けている音楽の大半はイギリスのものだけど、言ってくれたように、それらの多くには親密さのようなものはあまりないかもしれないね。僕らの音楽の親密さがどこから来ているのか…おそらく、個人的な感情を綴った詩が好きだったり、あるいはThe Radio Dept.のような親密な雰囲気を持つ音楽が好きだったりするところから来ているのかもしれない。

The Radio Dept. – Never Follow Suit

-まりりん: 以前、Beach Fossilsがアルバム『Bunny』をリリース時に、秋山さんが別のインタビューで「自分たちでもできそう」と思わせてくれる近さがある、と話していたのが印象的でした。それは今お話しされたような、クールだけど温かみがある、という部分から近さを感じられるのでしょうか?
秋山: そうですね。でも、冷たさや温かさとは関係なく、イギリスのバンドにもそういうエネルギーを感じさせてくれるバンドはいます。例えば、スコットランドのThe ViewやThe Libertinesを初めて聴いた時も、“自分でも楽器を持ってバンドができるかもしれない”というエネルギーをもらいました。パンクという音楽自体が、そういうきっかけを与えてくれる力を持っていると思います。Beach Fossilsからも、それとはまた違う新しい形で、ギターを持って何かを表現できるんだ、という可能性を感じました。決してイギリスのバンドにそういうエネルギーがないわけではないですが、Beach Fossilsからも同じようなインスピレーションを受けた、という感じです。

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