最終更新: 2025年7月16日
ニューヨークの新世代ロックバンドGeeseが、9月26日にPartisan Recordsから3rdアルバム『Getting Killed』をリリースすることを発表した。
同時に、リードシングル「Taxes」のミュージックビデオも公開されている。
正直に言うと、Geeseの音楽には最初戸惑った。
2021年のデビューアルバム『Projector』でのポストパンク的実験性と、2023年の『3D Country』でのカウボーイロック的アプローチ。
そして、先日はなぜか今さらジャスティン・ビーバー「Baby」のカバーである・・・。
一体彼らは何をやりたいのか?当時はいまひとつ理解できなかった。
しかし今回の新作『Getting Killed』を聴いて、ようやく彼らの真意が見えた気がする。
これは自らを実験台としたサウンドの”破壊と再生”の一部始終をドキュメンタリー化したものだ。
混沌の中から生まれた傑作
従来の枠組みを完全に破壊
『Getting Killed』は、Geeseがこれまで築いてきた音楽的アイデンティティを文字通り”爆破”し、その残骸から新たな表現を構築したアルバムだ。
フロントマンのキャメロン・ウィンター(Vo.)の歌声が、楽曲の混沌とした音響の中で際立っている。
アルバムはFKA twigsやIDLESを手掛けたプロデューサーのケネス・ブルームがLAスタジオで1ヶ月間かけて録音。
その結果生まれたのは、バンドメンバー全員が確固とした自信を持ち、今までの音楽構造への決別を込めた作品だ。
新たな優しさと激化した怒りのバランスが絶妙で、私たちの心を揺さぶり続ける。
リードシングル「Taxes」が示す新境地
アルバムの全貌を明らかにするに先立ち、先行シングル「Taxes」が公開された。これがまた、とんでもない楽曲だ。
一言で表すなら”具材不明、しかしなぜか美味い闇鍋”。
様々なサウンドがごった煮になり、フロントマンのキャメロン・ウィンター(Vo.)の天高く舞い上がり、時に痛切に響くボーカルが全体をまとめ上げている。
楽曲は11曲構成で、「Trinidad」から始まり「Long Island City Here I Come」で幕を閉じる。「Cobra」「Husbands」「100 Horses」といった楽曲タイトルからも、彼らの自由奔放な創作姿勢が伺える。
Partisan Recordsが支える創造性
独立系レーベルの底力
Geeseを支えるPartisan Recordsは、独立系レーベルとして革新的なアーティストの発掘と育成に定評がある。
何と言ってもFontaines D.C.とCigarettes After Sexを輩出した同レーベルは、従来の音楽業界の枠組みにとらわれない自由な表現を重視し、
アーティストの創造性を最大限に引き出すサポート体制を整えている。
Geeseのような実験的なバンドにとって、商業性よりも芸術性を優先するPartisan Recordsとの関係は理想的だ。
レーベルの哲学がバンドの音楽的冒険を後押しし、今回の『Getting Killed』のような大胆な作品が生まれる土壌を提供している。
現代ロックシーンでの評価
前作『3D Country』は現代の名盤として高く評価され、Rolling Stone誌は”ここ数年で最高のニューヨーク・ロック・アルバムの一つ”と称賛。
Paste誌は”ズーマー(Z)世代が作った最高のロックレコード”と評価している。
彼らはBonnaroo、Governors Ball、Lollapalooza、ACL等の主要フェスティバルに出演し、King Gizzard and the Lizard Wizard、
Greta Van Fleet、Spoon、ジャック・ホワイト、Vampire Weekendらとのツアーを重ねてきた。
秋の大型ツアーと今後の展望
「The Getting Killed Tour」始動
バンドは先月、秋の北米ツアー「The Getting Killed Tour」を発表。これは彼らのキャリア最大規模のヘッドライナー・ツアーとなる。
今年のフェスティバルでは新アルバムからの楽曲を既に披露しており、ファンを熱狂させている。
ウィンターのソロ活動が与えた影響
フロントマンのキャメロン・ウィンターは今年、ソロデビューアルバム『Heavy Metal』をリリース。The New York Times、Pitchfork、i-D、GQ等から批評的な賞賛を受けた。
この個人的な音楽的探求が、Geeseの新作に深みをもたらしている。
現在のロックシーンで、これほど自由で挑戦的な姿勢を貫くバンドは稀だ。
Geeseの音楽は、ジャンルの境界を軽々と飛び越え、私たちリスナーに新たな音楽の扉を開き続けてくれている。9月26日のリリースが待ち遠しい。
Geeseアルバムリリース
3rdアルバム『Getting Killed』
発売日: 2025年9月26日
収録曲:
1. Trinidad
2. Cobra
3. Husbands
4. Getting Killed
5. Islands of Men
6. 100 Horses
7. Half Real
8. Au Pays du Cocaine
9. Bow Down
10. Taxes
11. Long Island City Here I Come
Amazonで見る
bandcampで見る
Geeseプロフィール
ニューヨークを拠点とするGeeseは、2021年のデビューアルバム『Projector』でポストパンクの実験的サウンドを披露し、2023年の『3D Country』でカウボーイロックへと転換した後、3rdアルバム『Getting Killed』でさらなる音楽的進化を遂げている。フロントマンのCameron Winterの神聖な道化性と高揚する歌声に導かれ、バンドは従来の音楽構造への軽蔑を込めた確固たる自信を獲得している。Bonnaroo、Governors Ball、Lollapalooza等の主要フェスティバルに出演し、King Gizzard and the Lizard Wizard、Spoon、Jack White、Vampire Weekendらとツアーを行っている。
We are always happy to accept songs that you would like to add to the playlist, so please send us your information using the contact form: ✉️
BELONGでは毎週新曲プレイリストと更新しています。
プレイリストに追加希望の曲も随時受付ですので、問い合わせフォームから情報をお送りください✉️
BELONG Media編集部
インディーロックを中心に日本や欧米、アジアの音楽を取り上げる音楽専門メディア。“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。
2021年、J-WAVEのSONAR MUSICににゲスト出演。2022年、英語版姉妹サイトA-indieを開設。
編集部メンバーの栄養源は、主にシューゲイザーやドリームポップから得ています。
SNSはこちら