最終更新: 2025年9月11日

「自分たちの音楽を信じられなくなったことはありますか?」

DYGL(デイグロー)の前身となったバンド、Ykiki Beatの時からインタビューを担当してきたまりりんが聞いた、究極の質問だ。

そう質問したまりりん自身、音楽のことを信じられなくなってしまった時期があったそうだ。

これは、単にミュージシャンへ向けられた言葉ではない。

「あなたは、自分の好きなものを信じ続けられますか?」という、私たち自身への問いかけでもある。

情報が溢れ、評価が数字で可視化される現代。その中で純粋な愛情を貫くことは、時に孤独で難しい。

だからこそ、DYGLの答えが聞きたい。彼らはこの究極の質問にどう答えたのか?

新作『Who’s in the House?』インタビューの前半はこちら

アーティスト:秋山信樹下中洋介加地洋太朗嘉本康平鈴木健人 インタビュアー:まりりん

DYGLインタビュー:5thアルバム『Who’s in the House?』後半

DYGLにしか鳴らせない音とは?

加地・アドリブのサックスソロ

撮影:Yukitaka Amemiya
-まりりん:新作アルバムの曲の話なんですが、「Who’s In My House」ではサックスを加地さんが演奏されていますね。いわゆるバンドサウンド以外の楽器が入るのは、DYGLでは初めてですか?

加地洋太朗:初めてでは、ないです。鍵盤や管楽器が入る曲はこれまでそこそこ出しています。前のアルバムでトランペットとサックスが入った「Philosophy of the Earth」という曲があったり。 2ndアルバムでもサックスが入っている 曲がいくつかありました。リード楽器として サックスがレコーディングされたのは、2ndアルバム以来で、それを自分自身で吹いたのは初めてですね。(2ndのアルバム収録曲のサックスはMax Grunhardが担当)中学生の時に吹奏楽部で、多少は吹けるくらいだったんですけど、今回のセッションの流れがあったり、遡ると4thアルバムの「Philosophy of the Earth」でサックスを入れたり、さらに遡ると、メンバーが3人被っているYkiki Beatの曲作りでも“サックスを試してみない?”という機会があって。結局それは採用されなかったんですけど、そういう積み重ねがあって、今回やる機会が巡ってきました。

-まりりん:アルバムの最後を飾る、とても面白い展開だと思いました。

加地洋太朗:そうですね。自分でもこんなに吹くとは思っていなかったです。

鈴木健人:“面白そうだから入れようよ”って誰かが言って、尺とかも決めずにずっと吹いていたよね。

秋山信樹:誰が言い出したんだっけ?ジェームス・チャンスのようなイメージだ、ってなったんだよね。最初にそう思った人が言い出したんじゃない?

加地洋太朗:でも、ジェームス・チャンスの話も(セッションの)途中から出てきた気がする。

メンバーが語る、アルバムで印象に残っている曲

撮影:Yukitaka Amemiya
-まりりん:メンバーそれぞれ、今回のアルバムで印象に残っている曲はありますか?曲単位でも、ここのフレーズ、という部分でも構いません。

加地洋太朗:「Who’s In My House」のサックスをレコーディングする時に、ある程度吹くフレーズを決めていこうかなと思って吹いたら、秋山が“いや、もっとできる” 、“もっと自由に吹いてみて”と言われて、自分でも正直何をやっているのかわからない状態で吹いたテイクが、そのまま使われることになったのが印象的でした(笑)。

-まりりん:それは印象に残りますね(笑)。そういうアドリブやジャズのような演奏をしたことがあったんですか?吹奏楽だとそういうイメージはないですが。

加地洋太朗:いや、ないですね。だから不協和音というか、リードの音がかなりかすれるような音もたくさん入っていて、“これで合っているのかな”と思いながらやっていました。でも、実際にスピーカーで通して聴くと、そういうのも含めていいなと思えて、最近はライブでも楽しく吹いています。

下中洋介:あれって加地の中で、音選びの基準はあるの?

加地洋太朗:どうだろうね。でもジェームス・チャンスは聴いていたから、根っこにはあると思うけど。

下中洋介:最初はこう上がって、次はこう行く、みたいな展開の流れが自分の中にあるの?

加地洋太朗:ああいうソロは、Dinosaur Jr.のようなイメージがあるかもしれない。高校生の時にDinosaur Jr.をよく聴いていたから、途中でアバンギャルドになるけど、旋律も入ってくるっていう。

下中洋介:面白いね。そういうバランス感覚が頭にあるんだ。Dinosaur Jr.って言われたら、分かるかも。ライブでは毎回違うフレーズを吹いているの?

加地洋太朗:そうだけど、なんとなくどの辺の高さで吹くかというのは決まってきてるかもしれない。

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