最終更新: 2025年10月9日
音楽的ルーツと影響
人生を変えた3枚のアルバム
-滝田優樹:10代の頃には2000年代初期のポップパンクやエモのヒット曲を愛聴されていたそうですが、今回のアルバムでもその影響がふんだんに感じられます。あなたの音楽に影響を与えたアルバム3枚を挙げるとすれば、どれですか。また1枚ずつ、どのような部分に影響を受けたかやエピソードがあれば教えてください。
Jimmy Eat World『Bleed American』
これは分かりやすい理由で大好きなんだけど、一番は、私と兄が子供の頃に大好きだったオルタナティブ・ロックのアルバムだったから。私たちはBarnes and Nobleでこのアルバムを買ったんだけど、CDの取り合いですごく喧嘩したの。ラジカセで傷だらけになっちゃって、音飛びしたりするから、消えないダメージが残ってる。このアルバムのソングライティングとメロディーは驚異的で、ジム・アドキンスの声と歌詞はすごく記憶に残るし、印象的。ギターとリズムセクションもすごくよく考えられていて、すぐに伝説的になった。曲順の流れも完璧。時々このアルバムを聴き返すんだけど、初めて聴いた時と同じカタルシスを今でも感じるの。
blink 182『blink 182』
このアルバムが私にとっていかに重要だったかは、言葉では言い表せないくらい。このバンドに夢中だったの、彼らのスタイルも、態度も、バンドの逸話も、全てにね。「Feeling This」、「I Miss You」、「Down」のミュージックビデオを学校に行く前にMTVで観ていたのを覚えてる。まだかなり若かったけど、これが彼らの初期のアルバムからの明確な脱却であることは理解できたし、彼らがよりダークな方向へ進んだことには何か特別なものがあった。プロダクションやアレンジでの実験も大好きで、CDのブックレットやライナーノーツに夢中になったのを覚えてる。全ての曲がヒットで、あのThe Cureのロバート・スミスが参加した曲も…ヒットだった。
Paramore『Riot!』
これはもう、言うまでもないわよね。並外れて若くて才能のある人たちによって作られた、パワフルなレコード。このレコード全体のエネルギーは現実離れしているし、ヘイリー(Vo.)のボーカルはただただ舞い上がっていく感じ。彼女自身はこれが自分たちの最悪のアルバムだと思っているって読んだけど、当時のエモミュージックにとって、このアルバムがいかに影響力があったかを無視するのは難しい。
共感するアーティストたち
-滝田優樹:続いて、最近あなたが共感や親近感を覚えるアーティストはいますか?韓国系カナダ人のアーティストLuna LiやオーストラリアのHatchieなどは、あなたの影響を受けていると感じています。
その二人を挙げるなんて面白い。実は、Luna Liの曲で歌ったことがあるし、ちょうどHatchieの次のレコードを共同プロデュースしたところなの!Mini Treesのレキシ(レキシ・ベガ)には間違いなく親近感を感じる。彼女は「Cards On The Table」で歌ってくれたんだけど、それは私にとって本当にハイライトだった。彼女のソングライティング、声、そしてリズムへのこだわりにすごく共感するの。彼女は今、音楽界で最も才能があって、努力家な人物の一人だと思う。
アジアンコミュニティの広がり
-滝田優樹:ここ最近、あなたと同じくアジア圏にルーツを持つSASAMIやMei Semones、Laufeyといったアーティストへのインタビューをさせてもらう機会があって、それ以外のアーティストでもアジア圏にルーツを持つアーティストの活躍が多く、前よりもより大きなコミュニティがあることは確かだと思うのですが、そういった状況はどのように感じますか。
この状況についてはすごく良いことだと思ってる!SASAMIは人としても友人としても大好きで、彼女は信じられないほど熟練したソングライターでありミュージシャンなの。2016年にMitskiとJapanese Breakfastのオープニングアクトを務めたツアーは私の人生を変えたし、最終的には、音楽界で他の疎外された人々とコミュニティを築くことがいかに重要であるかを教えてくれたの。
最新作『Belong』について
タイトルに込めた意味
-滝田優樹:ここからは本格的に最新作『Belong』について教えてください。まずは“Belong”というタイトルにした理由や意味を教えてください。「自分がインディーロックという生態系の中でどこに属するのか」といった問いかけが反映されているかと思うのですが、改めてこれについてあなたの言葉で、どのような感情や雰囲気が反映されているのか教えてもらえると嬉しいです。また「自分がインディーロックという生態系の中でどこに属するのか」といった問いかけは、どのような答えを持って帰結したのでしょうか。
「Belong」という言葉は歌詞やタイトルには出てこないんだけど、曲を書いてレコーディングしている間に自然と何度も浮かんできたの。特に慣れない場所にいる時や、不安を感じたり、自分の意見が聞いてもらえないと感じる時によく考える言葉ね。私はすごくシャイで、”外向的な内向型”だと自認しているから、社交的なエネルギーはすぐに尽きてしまって、しばらく充電する必要がある。この仕事は社会的に要求されることが多くて、それが私にとっては感情的に消耗することもあるの。仕事上の関係でも、個人的な関係でも、人々の人生における自分の居場所や役割を考えすぎてしまうし、インポスター症候群と向き合おうと努力している。私は”何でも屋”タイプの人間だと思うから、自分の強みはコラボレーションや、他人と一緒に働き、他人を理解することにあると感じてる。なぜなら、人々が魅力的で、欠点も含めて面白いと思うから。インディーロックという生態系の中で自分がどこに属するのかは、もう私にとって優先事項ではないから、まだ分からない。私は私、それでいいかなって。
ヘイリー・ウィリアムスとジム・アドキンスとのコラボレーション
-滝田優樹:今作にはHayley WilliamsとJim Adkinsがゲストボーカルとして参加されていますが、彼らとはどのような話し合いや展望を持って楽曲制作を進められていたのでしょうか。印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
ヘイリーとの仕事は、彼女の忙しいスケジュールを考えると、本当に偶然の幸運な瞬間だったの。2018年にParamoreの夏の『After Laughter』ツアーでオープニングアクトを務めたんだけど、彼女はその後も何年も連絡を取り続けてくれて、私の新しいアルバムについて気にかけてくれたり、曲のハーモニーを歌うことを申し出てくれたりしたの。最終的に彼女は、私のレコードで何曲か一緒に曲を書いてプロデュースしてくれた共通のプロデューサー仲間、ステフ・マルツィアーノに私を紹介してくれた。ステフと私は2024年に3日間ナッシュビルへ旅行に行ったんだけど、ヘイリーが曲で歌ってくれることを期待してね。そして、前の晩に書いた曲で彼女に参加してもらうことに成功したの。彼女はすごく優しくて、とてもプロフェッショナルで、曲の彼女のパートについて重要なアイデアを提案してくれた。彼女の親切さと、私たちと過ごしてくれた時間に永遠に感謝してる。自分の曲にヘイリー・ウィリアムスが参加してくれるなんて、本当にクレイジーなこと。宝くじに当たったような気分よ。
「Float」は最初に書いた曲の一つで、トラッキングの終わり頃に、男性にこの曲を歌ってもらいたいという衝動に駆られたのを覚えてる。ジム・アドキンスの声がずっと頭の中で鳴っていて、他の誰でもなかった。彼に会ったことはなかったけど、そのアイデアが浮かんだらすぐにマネージャーがつないでくれて、彼もプロセスを通じて、そして電話でもすごく親切でプロフェッショナルだった。彼はすぐに”課題”を理解してくれて、彼らしさが際立つ美しいハーモニーをレコーディングしてくれた。これもまた、私のとんでもない夢からのバケットリストコラボレーションね。

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