最終更新： 2025年11月20日
笑顔の裏に隠された痛み
そして「Hard Habit to Break」は、これ以上ないほどの“ギャップ”をもって届けられる。アルコール依存症という重いテーマを持ちながら、曲調は驚くほど軽やかだ。
「努力して」って言うから、したよ
でも、このゲーム
仕切ってる私自身が、勝てやしない
「どうして狂ったみたいに生きてるの？」って、あなたが聞く
「断ち切れない癖なの」って答える
この曲調と歌詞の対比的な明暗はまるで笑顔の裏に隠された痛みのようで、個人的にはとても愛おしい感情を持った。
抑圧された感情の爆発と理想郷の建国
EPは最後のタイトル曲「Jordanaland」で、抑圧されていた感情を爆発させる。
もし もっと欲しがったら
それはそんな“罪”なこと？
今だって精一杯 “親切”を演じているのに
だって 全部 私のもの
勝利も スキャンダルも 破滅さえも 私のもの
ここではもう彼女は遠慮しない。現実世界での自分の望み、シリアスな野心をはっきりと口にする。
対照的にアウトロでは、ジョーダナの奇抜で優しいマニフェストの元、『Jordanaland』が建国されてゆく。
みんなを宇宙の彼方へ連れてってあげる
“全員裸”を義務化しちゃう
私の副大統領は ルーサー・ヴァンドロス
『Jordanaland』は全ての人の心の中にあるかもしれない、傷つけられず痛みもない、絶対的な愛や癒しに満ちた逃避場所の象徴だ。
繰り返される“ジョーダナならできる!”という底抜けに明るいフレーズは、彼女が自分だけの理想郷を肯定する、無邪気で力強い宣言のように聴こえた。
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Jordanaアルバムリリース
EP『Jordanaland』
発売日: 2024年11月7日
レーベル: Grand Jury Music
プロデュース：Charlie Kilgore、Julian Kaufman(MICHELLE)
ミックス：Olli Jacobs(Kendrick Lamar、beabadoobee)、David Pizzimenti(Ella Mai、Ed Sheeran、Travis Scott)
収録曲：
1. Burning Me Down
2. Like That
3. Still Do
4. Blouse
5. I Wanna Be
6. Hard Habit to Break
7. Jordanaland
bandcampで見る
Jordanaアーティストプロフィール
Jordanaは、カンザスのベッドルームからキャリアをスタートさせ、常に独自の「場所」を音楽で表現してきた25歳のシンガーソングライターだ。2020年のデビュー作『Classical Notions…』やTV Girlとの共作『Summer’s Over』、2024年の『Lively Premonitions』を経て、確固たる評価を築いてきた。
ライター：Wakiki(わきき)
コーヒーとタバコと音楽が好きなベイスターズファン。三重県在住。今まで執筆した記事はこちら
