最終更新: 2025年12月14日
アジア圏でのパフォーマンス
-滝田優樹:Lesssugärでいうと他のアジア圏のインディポップ・ロックバンドとも親和性も高く、台湾の音楽フェスへの出演や香港〜北京まで初の中国7大都市ツアーも開催されてましたね。アジア圏のインディーバンドに対しての印象や現地でのパフォーマンスをされてみての感想を教えてください。また、そこでの現地の人たちのリアクションについても気になります。
飛田:インディバンドに対しての印象は、等身大のままで飾らずに演奏してる感じとか、言葉が100パーセント通じなくても、通じ合うものが多いと感じてそれがすごく嬉しかったです。現地でパフォーマンスして感じたのは、とにかく楽しんでる自分たちに対しての反応が、日本よりもダイレクトに返ってきたことです。こっちが気持ちいいって思った瞬間を、ちゃんと拾ってくれるというか。その繊細さは、日本より鋭いところがあるのかもしれないと思いました。
ライブ後に細かい感想を伝えてくれたこともとても嬉しかったです。
日本のコミュニティとシンパシーを感じるバンド
-滝田優樹:日本でのコミュニティについても教えてください。日本だと、幽体コミュニケーションズやSummer Whalesといったユニットやバンドたちとの親和性も感じられるのですが、日本の同世代バンドで関わりのあるバンドを教えてください。もしくはシンパシーを感じる日本のバンドでもかまいません。
Meari:tenbin Oです。共演も多くて、ライブを観たあといつも4人で興奮しています。あと、featuringでも参加させてもらったgroup2。バンドを始めた頃からずっと聴いていて、大好きなバンドです。

【インタビュー】tenbin Oが語る、謎めいたバンド名の意味とデビューアルバム『Lack Of Heroism』と音楽のインスピレーションとは?
新EP『zzz』のアルバムタイトルとテーマ

-滝田優樹:ここからは1 年半ぶりの新作となったEP『zzz』についてお聞きします。まずは「無意識をめぐるひとつの旅」として聴いてほしいというテーマで名づけられた、このアルバムタイトルについて詳しく教えてください。そのようなテーマはどのような経緯で発想されたものだったのでしょうか。先ほど質問したはじめてあなたたちのライブを観た私の感想”自分たちの音をしっかりと聴かせることで聴き手個々に没入感を与えて陶酔させていく形で引き込まれつつも無意識に体がゆらゆらと揺らしてしまうような気持ち良さ”とも通ずるところもあるのかと思い、気になります。
Meari:『zzz』は、幸田がいろんなタイトル案を出してくれた中のひとつでした。xiexie はよく “ドリームポップだよね” みたいに言われることが多いので、最初はそれをあえてひねって使ったみたいな遊び心もありました。EP全体がパーソナルな感情や記憶、ふと浮かぶ景色のような内側の温度に触れる内容になったので、無意識の層が夢みたいにあらわれる感覚と重なって、このタイトルに決めました。
中国ツアーでの経験が作品に与えた影響
-滝田優樹:中国ツアーなどの経験を経て制作された作品であると資料に記載があったのですが、具体的にはどのような経験が反映されたのでしょうか。
Meari:アジアツアーでお客さんが体を揺らして楽しんでくれる姿を見て、自然に身体が反応する曲を作りたいという気持ちが強くなりました。ギターを置いて歌った時の盛り上がりも印象的でした。
幸田:人の優しさと言葉を超えたコミュニケーション
経験の反映と制作過程
-滝田優樹:中国ツアーなどの経験が反映されたのは結果として反映されたのか、もしくはその経験を反映させたくてEP制作に取りかかったのかでいうとどちらだったのでしょうか。
また、これまでのEP作品と異なる制作過程やどのような話し合いがもたれて制作が進められたのかも気になります。
Meari:アジアツアーの経験は結果的に今回の作品に反映されていると思います。ツアーを重ねる中で4人で過ごす時間が増えたことで、自然と次の作品についての会話が生まれていました。もっと身体で反応してもらえる曲を届けたいという気持ちは確かに強くなったと思います。xiexieらしい温度は保ちつつ、シンプルなコンセプトの曲や、メロディや雰囲気が直感的に伝わるサウンドづくりを意識しました。
台湾のヴァイオリニストYin-An Hsuとのコラボレーション
-滝田優樹:「the day」には台湾のヴァイオリニストYin-An Hsuが参加しているそうですね。そちらの経緯やYin-An Hsuが参加したことでもたらした化学変化を挙げるとすればどのようなものがありますか?
Meari:台湾のライブに来てくれた彼女と話したのが最初で、バイオリニストだと知ってからはSNSで彼女の演奏を見ていました。DMで「いつか一緒にできたらいいね」と話していたタイミングで、ちょうどこちらの制作中にストリングスを使う曲があって、彼女が日本に来ると連絡をくれた時にオファーをしました。実際に弾いてもらったら、「the day」の持っている哀愁が一気に奥行きを増して、曲に命を吹き込んでくれたのを感じました。
飛田:ちょうどストリングスを入れたい曲があったので、彼女に弾いてもらいたいなと思って声をかけました。
最初はソフト音源で仮にストリングスを作ってたので、まあそんなに大きく違わないのかもと思っていましたが完全に違って。
本物のストリングスって、生命の入り方が全然違うなと。同じ曲なのに別の呼吸が生まれたというか、良い意味でまったく違う場所に着地した感じがあって。すごく感動しました。
ヴォーカル表現の変化
-滝田優樹:これまでのあなたたちの楽曲のヴォーカルはサウンドに溶け込んでいる印象だったのですが、今作はどちらからというとサウンドの上にヴォーカルが乗っかっている印象で、ダイレクトに歌詞が届いてくるように感じました。今作においてのヴォーカル面での意識の違いはありますか?
Meari:今回の作品では、私もこれまで以上に歌詞に関わりました。大和くん(幸田)の歌詞はいつもスケールがすごく大きくて、神話みたいな世界の広がりがあるので、そこに人間の温度とか手触りを置いていくような感覚で言葉を加えています。歌詞に対する意識が前より強くなっていて、その変化が歌にも自然に出ている気がします。
サイケデリアの拡張とブレイクスルー
-滝田優樹:今作においてサイケデリアの拡張がめざましい印象的だったのですが、ブレイクスルーになった曲やバンドにとって最も変化を感じさせる楽曲はどれでしょうか?理由も併せて教えてください。もし、なければ最もパーソナルだと感じる曲があれば教えてください。
Meari:「innocence」は、これまでのxiexieにはなかったくらいストレートな曲だなと感じています。この曲を真ん中に置いたとき、4人ともどこか自分のパーソナルな部分と自然に共振していた気がしていて。ボーカルの存在の出方も含め、こういうまっすぐな曲をxiexieとして作れたことが新鮮で良かったなと思います。
飛田:中国ツアーを回って、たくさんの人にライブを観てもらったときに、自然とみんなで歌える曲があったらいいなという気持ちが生まれました。
一番ストレートに形になったのが 「the day」 かもしれません。
リスナーへのメッセージと作品の聴き方
-滝田優樹:『zzz』をどのような人に聴いてほしいですか?もしくはどのようなシチュエーションで聴いてほしいですか?
Meari:ずっとポケットの中に入れてもらえる存在でいたいなと思っています。移動中でもそっと取り出して聴けるような
家で作業しながらでもいいし、よく「眠くなる」って言われるんですけど(笑)。もしそれで心が少し穏やかになるなら、それが一番嬉しいです。
飛田:家で作業してるときに聴いても成立するような、ロックバンドだけど、ライブ音質じゃなくても楽しめるという方向で作っています。ライブと音源の差がかなりあると言われるのですが、音源はあえて家で一人で聴いたときに気持ちいいかを軸にしてる感覚はあります。今回は特にそれを大事にしました。
今後の展望
-滝田優樹:ここ最近のxiexieは日本からアジアへの活動の幅を広げていますが、今後の展望などあれば教えてください。目指しているフェスであったり、今度どのような作品を作りたいのかなどあれば知りたいです。
Meari:リスナーの半分くらいは海外の方なので、もっといろんな国に行ってライブしたいし、自分たちの音源も広く届けていきたいと思っています。ライブ自体も、もっと進化させていきたいです。いつか欧米ツアーやフェスにも出ていきたいです。
飛田:エクスペリメンタルな部分とポップな部分、その両方を出していくバンドでいたいです。レンジの広さはこれからもっと表現して、ポップな部分はポップとして丁寧にやりつつ、実験的な要素はさらに強く押し出していきたい。その振れ幅が、xiexieらしさだと思っています。
ファンへのメッセージ

-滝田優樹:来年にはワンマンライブも控えていてファンも楽しみにしているかと思います。また、アジア圏にもxiexieのファンがたくさんいます。最後に、彼らに向けてメッセージをください。
Meari:約1年半ぶりに新しい音源を届けられることが、本当に嬉しいです。みなさんが健やかに過ごせていますように、そしてxiexieの音楽をこれからもポケットに入れてもらえたら嬉しいです。またライブで会いましょう~~☆彡
xiexieアルバムリリース
2ndアルバム『zzz』
発売日: 2025年12月12日(金)CD/Digital、2026年2月11日(水)LP
定価: CD ¥2500(税込)、LP ¥4500(税込)
収録曲:
1. sleeping in my car
2. alien lll
3. ocean
4. innocence
5. the day
6. homeland
7. futomani(CD/Vinyl Bonus Track)
CDをAmazonで見る
LPをAmazonで見る
xiexie来日公演詳細

イベント名: xiexie “zzz” Release Show ‒ OBE(ワンマン公演/Solo Show)
日時: 2026年2月10日(火)
開場・開演: 19:00/19:30
会場: 東京・青山 月見ル君想フ
出演: xiexie
チケット: ¥3850(税込+1D)
オフィシャル先行発売: 2025年11月22日(土)AM10:00〜12月7日(日)23:59
一般発売日: 2026年1月10日(土)AM10:00〜
e+ https://eplus.jp/sf/detail/4422780001-P0030001
xiexieバンドプロフィール

xiexieは2020年1月に東京で結成された4人組インディーバンドである。メンバーはMeari(Vo., Gt.)、幸田大和(Gt.)、開輝之(Ba.)、飛田興一(Dr.)で構成される。2021年にデビューEP『XIEXIE』をリリースし、代表曲「da da」で注目を集めた。USインディーやアジアンインディーに通じるサイケデリックでドリーミーなサウンドと、キャッチーな日本語ヴォーカルを組み合わせた独自のスタイルを確立。2022年にはFUJI ROCK FESTIVALのROOKIE A GO GOに出演し、台湾の音楽フェス「浪人祭’23」への出演をきっかけにアジアでも注目を集めた。2024年6月には待望の1stアルバム『wellwell』をリリースし、シアトルのラジオ局KEXPのレギュラーDJが選ぶ「KEXP DJs Top Albums of 2024」に選出された。同年には中国本土と香港にて7都市に及ぶツアーを大成功させ、2025年夏には中国の「成都国際青年音楽フェスティバル」に出演するなど、日本の枠を超えてアジア圏で熱い支持を得ている。
ライター:滝田優樹

1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
今まで執筆した記事はこちら
他メディアで執筆した記事はこちら
Twitter:@takita_funky










