最終更新: 2026年3月18日

曲が生まれる場所

特に聴いてほしい一曲

─わきき:アルバム収録曲の中で、リスナーに特に聴いてほしい曲や、バンドにとって特に重要な曲はどれでしょうか?理由もあわせて教えてください。
イアン:『Dance Called Memory』の1曲目、「Can’t Face Another One」は僕にとって特別な意味を持つ曲だと思う。大きな痛みや恥の感情を抱えながら、その痛みは自分が招いたものなんだという考えと向き合って、それでも救いを求めようとしない。そんな混乱した感情を表現できたと思う。この曲を仕上げたとき、ソングライターとして本当に新しい何かを掴んだと感じたんだ。

「Inept Apollo」リミックス

─わきき:アルバム内で特にレビュアーやリスナーから人気の高い「Inept Apollo」についてですが、2026年にTom Sharkettによる、よりダンスフロア向けのリミックスバージョンが発表されました。イアンがこのリミックスで気に入った変化やポイントは何ですか?クラブでテストした際の雰囲気についても教えてください。
イアン:DJセットで使ったとき、めちゃくちゃ盛り上がったんだよ。とにかく楽しくて、オリジナルの馴染みある部分と、トムが新たに書き加えた要素のバランスが絶妙なんだよね。原曲を知っている人も知らない人も、みんな自然と体が動いていた。今年はDJをもっとやっていく予定だから、絶対にレギュラーで回すことになると思うよ。

アートワークに宿る記憶の断片

─わきき:アルバムのアートワークについて伺いたいです。『Dance Called Memory』というタイトルと照らし合わせると、記憶の中から大切な一つの瞬間を優しく摘み上げるようなイメージを感じ、個人的にとても惹かれました。このアートワークに込めた意図やイメージを教えてください。
イアン:まさにそれが伝えたかったことなんだよ! 僕の鮮明な記憶の多くは、ひとつの小さな瞬間や細部に紐づいているんだよね。破れたさくらんぼの袋みたいな、ごくシンプルで一瞬のものが、こんなにも遠くまで連れていってくれる。そんな感覚を表現したかったんだ。

音楽が届く先

すべての人に開かれたアルバム

─わきき:今作ではよりジャンルに縛られず、シューゲイズ的な要素や人の心の温度感が際立つ楽曲が多く見られます。これまでのファンだけでなく、より多くのリスナーに届いているかと思いますが、どのような人にこのアルバムを聴いてほしいですか?
イアン:正直、理想のリスナー像は決めていないんだよね。コンサートに来てくれる人たちって、年齢もスタイルも本当に様々で、それがすごく好きなんだ。音楽を通じて人々をつなぐことができたらいいなと思っているから、ファンベースが広がっていく様子を眺めながら、どんな人が響かせてくれているのかを純粋に面白がっている感じかな。

サウンドを自分たちの言葉で定義する

─わきき:メディアではシンセポップやポストパンク寄りのシンセポップ(post-punk-inspired synth-pop)と紹介されることが多いですが、現在のNation of Languageのサウンドを、皆さんが最もしっくりくる言葉で表現するとしたらどのようなものになりますか?既存ジャンルにこだわらず、バンドのスタンスや雰囲気、あるいは造語でも構いません。
イアン:広い意味での“ニュー・ウェイヴ”と呼ぶかな。複数の年代にまたがるジャンルだと思っているし、Talking HeadsやNew Orderみたいに、僕たちのルーツにある多くのアーティストが含まれるから。LCD SoundsystemやMGMTみたいに、70年代から80年代のニュー・ウェイヴを受け継いでいるインディーバンドも、僕たちのDNAに深く刻まれているんだよね。

ライブという名の感情の解放

─わきき:Nation of Languageの楽曲は“踊りながら泣ける”ような魅力がありますが、ライブではどのようにアレンジしてオーディエンスに届けていますか?その際に特に大切にしていることは何でしょうか?
イアン:突き詰めると、無防備でいること。ヴァルネラブル(傷つきやすい)であることだと思う。ライブのステージでは、自分の中にある様々な感情をそのまま経験するんだ。だからこそ、その場でオープンに、正直に自分の気持ちをさらけ出して、観ている人たちにも同じことをしていいんだよ、と伝えたいんだよね。踊る人もいれば、泣く人も、キスをする人も、ただじっと遠くを見つめる人もいる。どれも全部、歓迎しているよ。

初来日へ、そして日本のリスナーへ

東京という街

─わきき:初めての来日公演となりますが、日本のオーディエンスに期待していることや、特に反応を楽しみにしている曲があれば、理由もあわせて聞かせください。また日本滞在で楽しみにしていることは何ですか?季節的に皆さんが桜を楽しんでくれると嬉しいです。
イアン:新しい場所でのライブはいつもワクワクするんだけど、一番の理由は、何が起きるか全然予測できないからなんだよね。その発見のプロセスこそが、ツアーの一番クールな部分だと思う。どの曲が、どのオーディエンスに届くか。それが街によって全然違ったりするのも、リアルタイムで学べて面白いんだ。東京には観光で2回来たことがあるから、ただ街を歩き回るのが楽しみだよ。本当に歩けば歩くほど発見がある街だよね。何時間もあてもなく歩いていたら、素敵なカフェや美術館、神社なんかにいくつも出会えたんだ。

日本のリスナーへ

─わきき:最後に、日本のリスナーに向けてメッセージをお願いします。
イアン:子どもの頃からずっと、あなたたちの美しい国でライブをすることを夢見ていたんだ。それを実現させてくれたすべての人に、本当にありがとうと伝えたいよ。

NATION OF LANGUAGEアルバムリリース

4thアルバム『DANCE CALLED MEMORY(ダンス・コールド・メモリー)』

発売日:2025年9月19日
レーベル:Sub Pop
収録曲:
01. Can’t Face Another One
02. In Another Life
03. Silhouette
04. Now That You’re Gone
05. I’m Not Ready for the Change
06. Can You Reach Me
07. Inept Apollo
08. Under the Water
09. In Your Head
10. Nights of Weight
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NATION OF LANGUAGEバンドプロフィール


NATION OF LANGUAGEは、米ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするシンセ・ポップ・バンドである。メンバーはイアン・リチャード・デヴァニー(Vo., Gt., Syn., パーカッション)、エイダン・ノエル(Syn.)、アレックス・マッケイ(Ba.)の3人。2020年の1st『Introduction, Presence』、2021年の2nd『A Way Forward』はパンデミック下において世界的な共感を獲得した。2023年の3rd『Strange Disciple』ではRough Trade UK年間ベストアルバム1位に輝き、Pitchforkにも高く評価された。ニューウェーブ、ポストパンク、ゴスといった古典的なジャンルを現代の感性で再構築し、「希望の光」とも称される高揚感あふれるサウンドで世界的な支持を拡大。2025年の4th『Dance Called Memory』はSub Pop移籍第一弾であり、喪失・友情・人間性をテーマに掲げた意欲作だ。

NATION OF LANGUAGE来日公演詳細


日時:2026年3月31日(火)
会場:東京・代官山 SPACE ODD
問い合わせ:クリエイティブマン
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/nation-of-language_26/

デザイン:つでん
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ライター:Wakiki(わきき)

コーヒーとタバコと音楽が好きなベイスターズファン。三重県在住。今まで執筆した記事はこちら