最終更新: 2023年5月3日
ロンドンのロックバンド、Sorry(ソーリー)がデビューアルバム『925』をリリースする。
Arctic Monkeysを輩出したドミノ・レコーズからのリリースとあり、今年最大級に注目を集める新人アーティストである。
そんな彼らは曲と同じくらいMVにも定評がある。どの作品も映像は自作しており、手作り感のあるシュールな世界感には奇妙な中毒性がある。
そんな彼らは一体何者なのか?またアルバムタイトル『925』の意味とは?アーシャとルイスに話を聞いた。
目次
Sorryとは
アーティスト:アーシャ・ローレンス、ルイス・オブライエン インタビュアー:桃井 かおる子 通訳:滑石葵
-まずはメンバ-紹介をお願いします。加えて、ロ-レンスとオブライエンは幼馴染とのことですが、そのお二人がなぜ一緒にバンドを組もうと思ったのかを教えてください。
ルイス:メンバー紹介ね。僕もアーシャも、ギターとボーカルを両方やる。キャンベル・バウムがベースで、リンカーン・バレットがドラム。それから最近のことなんだけど、マーカスがサンプリングやボーカル処理をやるようになった。バンドを始めてから5、6年になるけど、Sorryを始めるまでメンバーそれぞれ音楽活動をしていた。僕らは音楽学校の出身でもなくて、僕だけは通っていたけど4ヶ月だけだった。あまり好きになれなくてね。バンド自体は、気づいたら自然と集まってたって感じなんだ。お互いがそれまでやってた音楽が面白いなと思って、一緒にやったら楽しいんじゃないかってね。
-Sorryというバンド名ですが、単語一つでとてもシンプルですよね。バンドの名前に、なぜこの言葉を選んだのでしょうか?
ルイス:特に理由はないんだよね。面白いと思っただけで。”Sorry”って単語はみんなに馴染みがある言葉だし、覚えやすいかなと。そもそもバンド名に重きを置いていなくて、音楽が作れればそれでよかった。外側より中身が大事だと思ってるから。
-(上記に関して)謝ることを意味する言葉をバンド名にしていることで、何か誤解を招いたことなどありますか?
ルイス:大抵は面白いと思ってくれるけど、「どうしたの?」みたいな反応をもらうこともあるよ。でも、大体は面白がってくれる。
アーシャが書く歌詞と世界観
-デビュ-アルバム『925』を聴かせて頂きました。一貫して浮遊感のある音作りが施されているのがこの作品の特徴だと思うのですが、今作はどのようなイメ-ジやコンセプトの下で作られているのでしょうか?
アーシャ:ひとつのコンセプトに定まっているわけではないけど、アルバムを通してサウンドと歌詞にはなんとなく共通してるものがあると思う。イメージについては、最初の方にできた数曲からアルバム全体の方向性を決めていった。それぞれの曲が象徴するものがあって、それはタイトルに表れているんだけど、だからアルバム全体に共通するコンセプトっていうのはないんだよね。
-「Right Round The Clock」の”彼女は愛を知らない”といった節や「Perfect」の”神よ、どこへ行ったのだ”など、今作の楽曲の歌詞はどれも宗教的でスト-リ-性があり、聴く人をハッとさせるメッセ-ジなども散りばめられているように思います。今作の楽曲の歌詞には、何か一貫したテ-マのようなものがあるのでしょうか?また、2人はいつもどのようにして歌詞を書いていますか?
アーシャ:その2曲は両方恋愛について歌っているんだけど、どの歌詞も全体的にシュールなイメージよね。それでいて、現実にもありそうな感じ。聴く人によって意味が違っていて、登場人物を自分の知っている人に当てはめられるような歌詞を書いてる。ほとんど私が歌詞を書くけど、日常的にふと思いついたら書く感じね。
-作品中のどの楽曲もギタ-などのバンドの音が重々しく歪んでいるのですが、全体の調和としてかえって軽くて聴きやすくなっているようにも感じます。重さを感じさせない音を作るため気をつけたことや工夫したことなどはありますか?
アーシャ:そういう風にしようと思ってたわけじゃないんだけど、単純に、重い感じと軽い感じの両方を出したいなとは思ってた。でも、“重くなり過ぎないように”とは考えないな。そう聴こえてるなら良かった。
-「Rosie」のピアノの音や「As Ths Sun Sets」の子供達の声など、バンドの音の中にこうしたかわいらしい音が入り込んで来ることで、その曲がまるでおもちゃ箱のように感じられます。今作の音作りで特にこだわったことや工夫したことなどはありますか?
アーシャ:子どもの声に関しては、もともとは「Ode To Boy」に使おうと思ってた。歌詞と繋がってるからね。でも、他の曲もそうだけど、色んな楽器を使ってるから、そのバランスを見て「As The Sun Sets」に使うことにした。アルバム全体のサウンドが共通するようにはしてた。いつも全体のバランスは考えるかな。
『925』の意味
-あらためて今作のタイトルである『925』には、どのような意味が込められているのでしょうか?
アーシャ:「Rock ‘n’ Roll Star」の曲の歌詞から取った。“シルバー925”から来ていて、シルバーとして売られている純銀の純度は92.5%ってこと。だから『925』ってタイトルにしたらクールな比喩になるなと思って。100%ではなくて、不完全だってことだね。純金が100%なのに対して。ただ、知らない人からしたら“925”って数字はランダムな3つの数字でしかないし、実際にはそうやって受け取ってもらって全然問題ない。
DIYで映像を作る理由
-収録曲のMVもバンドで制作とプロデュ-スをされているとのことですが、シュ-ルなストーリー展開やあえて雑に作られた雰囲気の映像がアルバムの世界観に不思議とマッチしていると思います。MVの制作に関してこだわっていることなどはありますか?また、なぜご自身でMVを作ろうと思ったのですか?
アーシャ:もちろん曲ができてから考えはじめるわけで、曲ありきのアイディアだけど、結局は色んなイメージがごちゃまぜなものになっちゃう。観ていて面白いかどうかを一番に考えてるから。でも、曲と関係ないように見えて、私たちの頭の中には繋がりがある。デビュー前にミックステープを作っていたこともあって、自分たちで作業するのが好きだからMVも自分たちで作る。それが曲作りにも生かされたりするしね。バンドっていうかプロジェクトみたいな感じだと思ってるから、自分で作るのが単純に楽しい。私たちにとっては、曲を作るのもMVを作るのも同じことなんだよね。
-MVの最後にいつも必ず逆再生が入りますが、そこにはどのような意味があるのでしょうか?
アーシャ:あれは、ただ単に次のMVのヒントなんだよね。特に深い意味じゃなくて。
ルイス:ティザーだね。
アーシャ:最後と最初がくっついてる。全部そうなの。これからもずっと続けたい。アルバムの曲全部のMVを作りたいしね。
ルイス:僕たちにとっては、曲もアートワークもMVも全部つながってることが一番大事なんだよ。全部でひとつの作品にしたい。
アーシャ:私たちでひとつのブランドっていうか、世界を作るみたいなね。
-インタビュ-でオブライエンは、「周りの全てが崩壊しつつあるように感じる時、音楽に聴き入ると心が安らぐ。」とお話されているのが印象的でした。ロ-レンスとオブライエンにとって音楽を聴くことはどのような意味があるのでしょうか。また、この話はイギリスのヨ-ロッパ連合離脱に関する内容でもあったのでしょうか?
ルイス:意味と言われても分からないぐらい、当たり前のもの。
アーシャ:私にとっては逃避ね。あとは、自分の気持ちを整理できるもの。あの発言の“崩壊”はブレグジットとは関係ない。日常の話だね。みんなそうだと思うよ。日常から逃避するために音楽を聴く。
ルイス:そうだね。あの発言は毎日過ごしている世界の話で、最近の世情とは特に関係ないんだよね。
-Sorryの音楽や活動に影響を与えた、バンドのル-ツにあたるアルバムを3枚挙げて下さい。また、そのアルバムもしくはア-ティストからどのような影響を受けていると思いますか?
アーシャ:『Apocalypse Mixtape』と、(Sandy) Alex Gの『DSU』。それから・・・
ルイス:アーサー・ラッセルの『Love is Overtaking Me』だね。
-それでは最後に日本のリスナ-にメッセ-ジをお願いします!
ルイス&アーシャ:日本のみなさん、こんにちは!『925』のリードシングル、聴いてくれてありがとう。アルバム丸ごと気に入ってくれると嬉しい!日本に行ってみたいから、ライブを楽しみにしてるよ。
リリース
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フォーマット:LP Record (2020/3/27)
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レーベル: DOMINO
BEAT RECORDS / DOMINO (2020-03-27)
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フォーマット:CD
品番:BRC-627
価格:¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック2曲追加収録 / 解説書・歌詞対訳封入
収録曲:
01. Right Round The Clock
02. In Unison
03. Snakes
04. Starstruck
05. Rosie
06. Perfect
07. As The Sun Sets
08. Wolf
09. Rock ‘n’ Roll Star
10. Heather
11. More
12. Ode To Boy
13. Lies (Refix)
[Bonus tracks for Japan]
14. Swans
15. Tales of The West End
プロフィール
ソーリーはロンドン出身の幼馴染、アーシャ・ローレンスとルイス・オブライエンを中心に、ドラムのリンカーン・バレット、ベースのキャンベル・バウムを加えて結成された。これまでに二つのミックステープをリリースし、2020年3月に待望のデビュー・アルバム『925』のリリースする。
Youtube
Sorry – Perfect
Sorry – Snakes
Sorry – More
Sorry – Right Round The Clock (Official Video)
Sorry – Starstruck
Sorry – Jealous Guy
ライター:桃井 かおる子
スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。