最終更新: 2022年5月8日
Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)の新作アルバム『Little Oblivions』の収録曲「Faith Healer」。
人の心に眠る繊細な部分をありのままに映し出す、歌詞に定評がある。
そこで今回は「Faith Healer」の歌詞を和訳し、内容について掘り下げている。
ドラッグ中毒に苦しむ主人公目線で語られる、Julien Bakerならではの心に深く突き刺さる詩の世界観とは?
目次
Julien Bakerとは
Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)はアメリカのテネシー州出身のシンガーソングライター。2010年よりForrister(旧:The Star Killers)というバンドでヴォーカルを務めており、2014年よりJulien Bakerとしてソロ活動を開始した。
現在ではアメリカのインディーシーンで共に活躍している女性シンガーであるPhoebe BridgersやLucy Dacusと共にBoygeniusとしても活動をしている。
Julien Baker名義で、2015年にデビューアルバム『Sprained Ankle』、2017年にはセカンドアルバム『Turn Out the Lights』を発売。
そして2021年2月26日にサードアルバム『Little Oblivions』をリリースする。
Faith Healer
Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)の2020年10月にリリースされたシングル曲「Faith Healer」。
2021年2月26日に発売されるサードアルバム『Little Oblivions』に収録される。
新型コロナの状況下により最小限のスタッフで制作されたというMVでは、監督のダニエル・ヘンリーによって、葛藤や孤独など心に潜む陰影がシネマティックに切り取られている。
Julien Baker – “Faith Healer” (Official Music Video)
「Faith Healer」歌詞和訳
祈祷師という意味を持つ、Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)の新曲「Faith Healer」。
ドラッグ中毒の主人公目線で展開され、祈祷師をドラッグディーラーとして暗示している歌詞の内容を和訳していく。
あぁハイが恋しい
シラフだとThe terror and the beauty(ライナー・マリア・リルケの詩の一部)すら面白くないの
目に映る全てが驚くほど強烈に見える
あぁ、少しでも苦痛を取り除いてくれるならそれを私に頂戴
愛する物全てを差し出してでも、それを体で感じたいの
“Ooh, I miss it high, how it dulled the terror and the beauty
And now I see everything in startling intensity
Oh, what I wouldn’t give if it would take away the sting a minute
Everything I love, I’d trade it in to feel it rush into my chest”
ここ最近火災警報器がずっと鳴り続けてる
誰も来ないし、あなたが思ってるようにずっとハイな訳じゃない
“The smoke alarm’s been going off for weeks
No one showed up and half the time it isn’t what you think of”
祈祷師よ、私に触れて
フェイクドラッグの売人
何か感じたいだけなの
あぁ祈祷師よ、私に手を差し伸べて
フェイクドラッグの売人
たとえ嘘でもいいからあなたを信じたいの
“Faith healer, come put your hands on me
A snake oil dealer
I’ll believe you if you make me feel something
Oh, faith healer, come put your hands all over me
A snake oil dealer
I’ll believe you if you make me feel something”
歌詞和訳から見えた、“Faith Healer”の意味
Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)のシングル「Faith Healer」の歌詞を和訳してわかったことは、ドラッグ中毒者に関する内容だった。
タイトルの“Faith Healer”、すなわち祈祷師とはドラッグディーラーの象徴のようなものだとし、そのドラッグが本物か偽物かはともかく、中毒者は本能的に癒しを求めるためにドラッグにまた手を伸ばしてしまう。
ドラッグに限らず、世の中には悪徳な物が溢れかえり、あらゆる嘘と真実が入り混じっているのも事実だ。
現実逃避を求め、知らず知らずのうちに間違った情報に流され、本当の“癒し”が何か分からなくなることへの忠告こそが、「Faith Healer」でドラッグを通してJulien Bakerが伝えたかったことではないだろうか。
Faith Healer作品クレジット
Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)の新曲「Faith Healer」のクレジットは下記となっている。
プロデューサー:Julien Baker
作詞・作曲:Julien Baker
レーベル:Matador Records
レコーディング・エンジニア:Collin Pastore & Calvin Lauber
ビデオ・ディレクター:Daniel Henry
リリース日:2020年10月21日
Julien Bakerリリースアルバム
3rdアルバム『Little Oblivions』
発売日: 2021年2月26日
収録曲:
1.Hardline
2.Heatwave
3.Faith Healer
4.Relative Fiction
5.Crying Wolf
6.Bloodshot
7.Ringside
8.Favor
9.Song in E
10.Repeat
11.Highlight Reel
12.Ziptie
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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2ndアルバム『Turn Out the Lights』
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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1stアルバム『Sprained Ankle』
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Julien Bakerプロフィール
“2015年最も高い評価を集めた作品の一つとされたデビュー作『Sprained Ankle』を、友人と共に若干18歳で作り上げ、希有のソングライターとリリシストとして大注目を集めたジュリアン・ベイカー。女性であること、同性愛者であること、クリスチャンであること、自身のアイデンティティーと壮絶な経験を通して、孤独や自己破壊への衝動、信仰とそこから生まれる葛藤を誠実にドキュメントした内容は、聴く者の心を打ち、その反響は拡がり続け、その年の多くの音楽メディアで年間ベストのリストに選出されるなど賞賛された。今年21歳となったジュリアンは、名門マタドールと契約”
Julien Baker代表曲(Youtube)
- Julien Baker “Sprained Ankle” Official Music Video
- Julien Baker – “Appointments” (Official Video)
- Julien Baker: NPR Music Tiny Desk Concert
ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
BELONG Mediaのライター/翻訳。
高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。
13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。
関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。
2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。
2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。
普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。
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