最終更新: 2026年2月28日

Maria BC(マリアBC)は、繊細なフォーク・サウンドで知られるアメリカのシンガーソングライターである。

3rdスタジオアルバム『Marathon』は、Sacred Bonesから2作目となるリリース。“抵抗と忍耐”をテーマに掲げた意欲作だ。

本作でMaria BC本人が奏でるギターは、瑞々しさと幽玄さとを行き来しながら驚くほど多彩な表情を見せてくれる。

楽曲ごとに音色は大きく変わるのに、不思議とどの瞬間にも透明感がある。それはどんな色の介入も許さない、“揺るぎのない透明”だ。

Maria BCとは

Maria BC
父が地元の教会で音楽に携わっていた影響を受け、クラシックの訓練を積み、メゾソプラノ歌手として育ったMaria BC。

パンデミック期から本格的に作曲を始め、近隣に配慮してささやくように歌ったことが、現在のスタイルの原点となった。

そんなMaria BCを世界の縁に立つ人のようだと感じてしまうのは、少し大げさかもしれない。それでもその音にはどこか精神性を帯びた佇まいを感じる。

『Marathon』

Maria BC『Marathon』
本作『Marathon』は、ただ音楽を聴くという体験を超えていく。

タイトル曲の「Marathon」は、感情の水位が不意に上がり、アルバムが進むにつれて、エゴや”人間である意味”がゆっくりと遠のいていく。

自然へ投げ出され、精神だけが旅をする感覚。ふと自己を取り戻した瞬間に、水面下で溜まり続けていた名付けがたい感情が決壊しそうになる。

以下レビューというよりは、1人のリスナーの体験談として言葉を走らせることになるだろう。

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