最終更新: 2020年5月16日

2012年に京都府出身の幼なじみで結ばれたHAPPY、8月6日には初対面のご挨拶として、ファーストアルバム『HELLO』が届けられた。

先行してシングル発売され、加藤マニ氏が監督を務めた「Lucy」のMVを見てみる。

3月にテキサス州オースティンで開催された<SXSW 2014>を含むアメリカツアー<Japan Nite US Tour 2014>に帯同し撮影した映像から制作されたロードムービー風のMVからは、ライブ映像やアメリカでの活動を楽しんでいた彼らの姿が写っている。

先に本誌BELONGで展開されたインタビューににおいて「今のHAPPYの現状のフルコースって感じのアルバム」という言葉が出ているように、いま彼らの全てがここに入っていると言っていい。

というより、メジャーデビューのファーストアルバムならそうであるのは間違いないのだが、より末恐ろしいのは、これからの彼らの姿が今作からは全く予測ができないことだ。

「LUCY」や「Wake Up」などの60’s~70’sのサイケデリックめいたロックサウンド、「Pity Xmas」や「Lift This Weight」のようなドラムマシンを用いたダンスサウンド(個人的にはこの2曲はかなり好み)など、

平成生まれかつYoutube世代らしい時代を超えたサウンドメイクと完成度には驚かされる。

だが、結成からわずか2年足らず、その間に生み出された本作10曲からは、アコースティックギターを手にとって弾き語っても十分に聴かせてしまうほどにアクの強いメロディライン、

全く定型的でない曲構成、ボーカルを取るAlecとRicのすこしだけ先の細いボーカルとコーラスワーク、まるでフォーク・シンガーの姿が見えてくるようでもあるのが面白い。

京都出身でフォーキーな素養に色々な音楽性を感じさせる・・・とくれば、もしや彼らはくるりのようになっていくのかもしれないが、先にも書いたようにまったくこの先が読めない。

より雑多な音楽性を血肉化することも、世情を切り落とした詩情を宿らせることも、彼らの視界には写っていると思う、これだけHAPPYな可能性を持ったバンドも、そうはいないのではないだろうか。

【Writer】草野 虹(@grassrainbow)
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