最終更新: 2021年8月9日

2019年4月24日、ザ・ラカンターズ(The Raconteurs)初の単独公演がマイナビBLITZ赤坂で行われた。ラカンターズの来日は2006年のフジロック出演以来、なんと13年ぶり。

ザ・ラカンターズのメンバーであり、かつてザ・ホワイト・ストライプスを率いたジャック・ホワイトも来日した。

またメンバーのジャック・ローレンスはGLIM SPANKY『LOOKING FOR THE MAGIC』の「TV Show」、アルバムタイトル曲のベースを担当している。

このレポートはライブ本編以外に、携帯禁止ライブという画期的な取り組み、ジャック・ホワイトのこだわりにも注目してレポートしていく。

携帯禁止ライブとは

携帯禁止ライブは昨年リリースされたジャック・ホワイトのソロアルバム『Boarding House Reach』のライブが行われた際、本国アメリカで初めて行われた。

では携帯禁止と言っても、いったいどう禁止するのだろうか。そのやり方はとてもシンプルであった。

会場で携帯を入れるポーチが配られ、そこに入れてもらう。そしてそれを開けずに終演まで自己管理するというものだった。


このポーチは物を入れて閉じる口がある。携帯を入れ、一度口を閉じてしまうと自力では開かない。ポーチから携帯を出す仕組みは、専用の金属にポーチの口を当てると、外れるというもの。


スタッフに仕組みを聞いたところ、おそらく磁石のような仕組みで開くのではないかという回答が返ってきた。

ザ・ラカンターズ来日公演


テキスト:yabori ライブ撮影:古溪 一道

サウンドチェック中、まずに目についたのが楽器を調整するスタッフが皆、帽子を被り、工場の作業着のようなお揃いの衣装を着ていること。

まだ本人たちが登場していないのに、こういう所からこだわるのかと驚かされる。そしてサウンドチェックの時点でジャックのギターだけ、音が半端なくでかい(笑)。

客電が落ちた瞬間、大歓声の中、メンバー4人が登場した。

ジャックのクセがすごいように、ギターの音もクセがすごい。ノイズが入りまくってもおかまいなしに弾きまくる。

ザ・ホワイト・ストライプスはジャックのワンマンバンドと言っても過言ではなかったが、このバンドではあくまでメンバーの一員でいることに徹しているようであった。


ボーカルはブレンダン・ベンソンと半分づつ歌ったり、曲によってはギターに徹していた。といっても彼が弾く度に、大爆音と大歓声が巻き起こるのだが(笑)。

ライブ中盤にはジャックがハンドクラップを促したり、シンガロングを促したり、会場との一体感を感じられる場面が数多くあった。

携帯が見れないという特殊な環境も作用しているのか、座席のある2階席の観客も多くが立って、歓声を上げるばかりか踊りまくっている人すらいた。

ライブ終演後、レトロなインスト曲が一曲だけ流れ、幕を閉じた。開場してから、ここまでが彼らのショーだったのだろう。

それを察したファンは、本人たちがいないにも関わらず、惜しみない拍手が送られた。

ジャック・ホワイトの狙い

ケータイ禁止公演を体験して思ったのは、音楽が盛り上がっていた時代のライブは毎回これくらい盛り上がっていたのではないかということ。

この公演の狙いはジャックの往年のテーマである、音楽が持つ熱量を現代に蘇らせることではないかと分かった。

思えば60年代の音楽は今以上に社会に与えるインパクトがあり、熱量もあった。

ジャックが生涯をかけてブルースやロックを追求し、アナログ普及にも尽力しているのは、音楽が持つ熱量を現代に取り戻したいからと思う。

この公演は往年のロックが持っていた熱量を体験できた一生に一度の機会となった。

またこういう音楽の熱量を体験できる携帯禁止ライブという画期的な試みは、ここ日本でも増えて欲しいと思う。

リリース

3rdアルバム『Help Us Stranger』

フォーマット:CD、アナログ
収録曲:
1. Bored and Razed
2. Help Me Stranger
3. Only Child
4. Don’t Bother Me
5. Shine the Light On Me
6. Somedays (I Don’t Feel Like Trying)
7. Hey Gyp (Dig the Slowness)
8. Sunday Driver
9. Now That You’re Gone
10. Live a Lie
11. What’s Yours Is Mine
12. Thoughts and Prayers

2ndアルバム『Consolers of the Lonely』

フォーマット:Mp3、CD、アナログ

1stアルバム『Broken Boy Soldiers』

フォーマット:Mp3、CD、アナログ

代表曲

The Raconteurs – Now That You’re Gone (Official Music Video)

The Raconteurs – Sunday Driver (Official Music Video)

The Raconteurs – Hey Gyp (Dig the Slowness) (Official Audio)

ライター:yabori
yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

今まで執筆した記事はこちら
Twitter:@boriboriyabori

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