最終更新: 2020年12月6日
イギリス名門のインディーレーベル、ラフ・トレードからデビューと同時に、ロックレジェンドから絶賛されたStarcrawler(スタークローラー)。
ここ日本でもフジロックの中継で血のりしたたる壮絶なロックショウを見せつけた彼らが、ついにセカンドアルバム『Devour You』をリリースする。
過酷な環境で世界中をツアーし、サバイブしてきた彼らはよりラウドなガレージロックを携え帰ってきた。
そんなタフな状況を乗り越え制作された『Devour You』について、アロウ(Vo.)とヘンリー(Gt.)の悪ガキコンビに語ってもらった。
目次
Starcrawlerインタビュー
アーティスト:アロウ・デ・ワイルド(Vo.)、ヘンリー・キャッシュ(Gt.) インタビュアー:桃井 かおる子 通訳・取材協力:Beatink
-今作『Devour You』は、デビュ-アルバムである前作から1年9か月という短いスパンでのリリ-スとなっています。海外のア-ティストはアルバムを発表するとワ-ルドツア-を回って、休養を取ってそこから作品作りに取り掛かり、次作のリリ-スまでおよそ3年前後は間が空くイメ-ジが私達日本人にはあります。前作から短期間でのリリ-スに至ったのはなぜでしょうか?
ヘンリー:ツアーが始まってすぐ、僕が既に持っていたアイディアを使ってデモを作り始めて、それをツアーヴァンの中に持って行って皆に聴かせていたんだ。で、そこで皆が気に入ったものを本格的に曲にして行った。だから、スタートが早かったんだよ。一度始まると色々決まって行って、そのままアルバム作りに入ったんだ。
-前回の来日ツア-はソ-ルドアウトし、その後フジロックで再来日をされるなど、当時10代の皆さんにとって貴重な経験になったと思います。ワ-ルドツア-を回る前とその後で、バンドにとって明かに違うことはありますか?また、そこで得た経験は今作にどのように活かされていると思いますか?
ヘンリー:前と比べて、今の方がお互いのことをもっと理解している。だから、色々な活動がよりスムーズに、ベターに出来るんだ。
アロウ:あとは、前回のアルバムは私たちの半分が高校を卒業したての時に作ったアルバムだった。16歳と19歳って、たった2、3年だけど人間としても変化は大きいわよね。青春って色々あるし。
ヘンリー:16の時に音楽活動をするって、ある意味学校よりも色々学ぶんだ。感情も自分でコントロールしないといけないし、すごく大変。それを乗り越えるってけっこう成長すると思うんだよね。
アロウ:高校出たてでお金を稼いで、ずっとツアーで旅をするというのは、大学よりももしかしたら大きな勉強になるのかもしれない。大学だと寮に住んで、カフェテリアがあって、全てが用意されているでしょ?でも、ツアーって結構サバイバルなの。
ヘンリー:アイスランドで足止め食らったり、どこも開いてなくて食べ物が調達できなかったり、とにかくなかなかない経験をするんだよな(笑)。
-今作を初めて聴いた時、粗削りな前作に比べて音の広がりなど全体的にすっきりとした印象を受けました。バンドの特徴である荒々しさは根底にあるのですが、前作を赤ちゃん(泣いたり笑ったりでしか自分を伝えることのできない)で例えるなら、今作は4~5歳児(覚えた言葉で拙いながらも自分を伝える)と、少しだけ大人っぽくなったと思います。皆さんがもうすぐで20歳になることも関係しているかと思うのですが、それはさっきも言ったような経験があるからこそ前作から少し大人な印象の作品になっているのでしょうか?
アロウ:その通りよ。
ヘンリー:16~19歳って、世界観も変わるし、色々と吸収するし、視野がどんどん広がっていく。それがアルバムにそのまま反映されているからだと思う。最初に書いた曲ではとりあえず自分が言いたいことを言っていたけど、曲を書くにつれて、自分が言いたいことを書きながらも、他の皆にとっても何かそれぞれ意味のあるものを書こうとするようになったね。
70年代の雑誌から着想を得たアルバムタイトル
-今作の『Devour You』というタイトルを和訳すると“お前を食い殺す”という意味になるのですが、なぜこのような過激なタイトルにされたのでしょうか?ここで言う“You”とは、バンドにとってどのような存在を指し示しているのでしょうか?
アロウ:クレイジーな話なんだけど、なかなかタイトルが決まらなくて、いくつか候補を出したんだけど、周りが気に入らなかったの。で、本当にギリギリで「アルバムタイトル気に入らないから新しいタイトル考えて」って言われちゃって(苦笑)。で、私のボーイフレンドが、持ってる面白い雑誌の写真やページとかを色々と送ってくれたんだけど、その中に70年代のハイタイムズっていう雑誌があって、それに載ってたアートの名前の一部が“Devout You”だったの。で、「Devour」っていう曲も好きだし、Youがつくとさらにいい感じに聞こえて、私がこれどう?って皆に提案したの。“You”はリスナーよ(笑)。
ヘンリー:そのタイトルだけが、唯一皆がOKを出したタイトルだったんだ。ツアー中だったから、タイトルもカバーもしっくりくるものを選ぶのが本当に大変だったな。
-前作は全編アナログレコ-ディングされたのことですが、今作はまた違ったアプロ-チのレコ-ディングをされているのでしょうか?同じガレ-ジパンクと言っても前作は使い込まれたカ-ラジオからの音で、今作は比較的に新しいカ-ラジオからの音と言った印象を受けたのですが、今作はどのような音作りをされているのですか?
ヘンリー:前回のレコーディングも今回のレコーディングもテープを使った。前回のレコードは演奏したものをそのままレコーディングしたけど、ベース、ドラム、全てを前よりビッグにしたかったから、時間をかけてマイクを決めたり、丁寧にレコーディングを進めたかったんだ。それをプロデューサーのニックが把握してくれていたからすごく助かったよ。
-前作と今作とでプロデュ-サ-が異なるのもまた大きな違いだと思います。今作はヤ-・ヤ-・ヤ-ズのニック・ロ-ネイがその役割を担っているのですが、なぜ彼にプロデュ-スを依頼されたのでしょうか?特に音作りの面など、彼からどのようなアドバイスをもらいましたか?
アロウ:私たちのマネージャーがニックが君達と作業したいって言ってるよって言ってきたんじゃなかったかな。でも私、その前にニックとは出会っていて、何回か会ったことがあったの。で、ニックに改めて会った時に、“あなただったの!”ってびっくりしたのを覚えてる(笑)。
-ニックから何か学びましたか?
ヘンリー:彼はサウンドすべてにおいて完璧主義者なんだ。そのおかげで、作りたいサウンドをどう作るか、そして作ろうと思えば作れるということを学んだね。あと、彼はエナジーの捉え方にもこだわりがあるんだ。
アロウ:スタジオワークを学んだ。あとは、私の声がどうやったらもっと良くなるか、曲にフィットさせられるかもね。アドバイスをくれてすごく助かったわ。”いいんだけど、もっとこういうキャラクターを出してみたらどうかな”とかね。
ロックとは何か?
-先行曲「Bet My Brains」は、ニュ-ヨ-クの地下やロサンゼルスの川周辺の下水地域に住み着く人々について歌った曲だそうですが、なぜそのような場所や人に重きを置いた曲を書いてみようと思ったのですか?また、バンドからするとそうした人々とはどのように見えるのでしょうか?
アロウ:自分たちが生活しているすぐ下に、私たちが全然知らないコミュニティや街があって、そこに人々が生活しているっていうところが何か魅力的で、興味深かったのよね。まるで作り話のように聞こえるけど、本当の話ってところだったり。
ヘンリー:世界観が違うところが面白いと思う。僕なんてLAに住んでいるからいつも太陽を浴びているだろ?イギリスに2週間いてずっと曇りの中で滞在しているだけでも気分が下がるのに、それをあえてLAで選択しているという新しい視点がすごく面白いと思う。
-「Bet My Brains」のMVは、皆さんが白塗りになってお茶をしたリ、ベ-スのティムが老人に扮したりと、やや残酷な描写がある中でもユニ-クな映像作品になっていると思います。お年寄りに交じって皆さんがお茶をする風景が何ともシュ-ルですが、なぜこのような演出をされているのですか?曲に込められた意味などにも通ずる部分があるのでしょうか?
アロウ:ビデオは曲の内容とは関係していないの。曲がダークだから、ビデオもダークにしちゃうとやりすぎかなと思って、それよりはビデオではバカっぽいことをやって、コントラストを作りたかったのよね。
-8曲目の「She Gets Around」のMVも、見えない抑圧のようなものの中でアロウがもがいていたり、クラッシュの『LONDON CALLING』を思わせるような部分があったりと、モノクロの映像の中で何がロックなのかをバンドが体現しているような印象を受けました。私はこの曲がアルバムの中で一番好きなのですが、この曲にはどのような意味が込められているのでしょうか?また、スタークローラーというバンドにとって、ロックンロ-ルとはどのようなものなのでしょうか?
アロウ:この曲は、私の古い親友が私の元彼と関係を持っていた話なんだけど、ずっと根に持ってるわけではないのよ(笑。)ただ、友情の終わりを曲のネタにしただけ。いい思い出も沢山あるけど、それがそんな結果になる。甘さと酸っぱさみたいな感じね。
ヘンリー:裏切りビッチについての曲さ(笑)。ロックとは、エナジーだけではなくて、セクシーでもあり、体を動かしたくなる音楽だと思う。エルヴィスみたいにね。
-『Devour You』というアルバムを、特にどんな人に聴いてほしいですか?
ヘンリー:誰でも。世界のみんな!
アロウ:色々なフィーリングが詰まっているの。だから、いろんなタイプの人に聴いて欲しいな。
ヘンリー:キャラクターも様々だし、どんな人も自分とのつながりをどこかに感じられるアルバムだと思うよ。
-最後になりますが、日本のリスナ-にメッセ-ジをお願いします!アルバムツア-の日本公演についての意気込みもお願いします!
アロウ:また日本に行って皆に会えるのを楽しみにしてる!ミート&グリートもまたできるといいな。
ヘンリー:クレイジーなショーになるから、絶対見に来てね!
リリース
BEAT RECORDS / ROUGH TRADE (2019-10-11)
売り上げランキング: 1,983
発売日:2019年10月11日
仕様:国内盤CD
特典:ボーナストラック追加収録 / 解説書・歌詞対訳封入
品番:RT0074CDJP
収録曲:
01. Lizzy
02. Bet My Brains
03. Home Alone
04. No More Pennies
05. You Dig Yours
06. Toy Teenager
07. Hollywood Ending
08. She Gets Around
09. I Don’t Need You
10. Rich Taste
11. Born Asleep
12. Tank Top
13. Call Me A Baby
14. Pet Sematary [Bonus Track for Japan (RT0074CDJP)]
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来日公演
STARCRAWLER JAPAN TOUR 2019
Support Act : TBC
OPEN 18:00 / START 19:00
・2019年12月4日(水)@東京・LIQUIDROOM
INFO:BEATINK 03-5768-1277 www.beatink.com
・2019年12月05日(木)@大阪・梅田BANANA HALL
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 https://smash-jpn.com
・2019年12月6日(金)@名古屋CLUB QUATTRO
INFO:名古屋クラブクアトロ 052-264-8211 www.club-quattro.com
料金: 前売¥6,000 (スタンディング・税込・ドリンク代別途)
※チケット整理番号付き
※未就学児童入場不可
プロフィール
“ザ・クランプス、ヤー・ヤー・ヤーズ、アリス・クーパー、ニューヨーク・ドールズ を彷彿とさせる全員10代のLA発大注目の新人バンド、スタークローラー。
ミュージシャンと写真家の間に生まれた、若干18歳のカリスマ・ヴォーカリスト、アロウ・デ・ワイルドが、高校時代にギタリストのヘンリー・キャッシュと出会い、リズムセクションのオースティン・スミス(ドラム)とティム・フランコ(ベース)が加わって2015年にロサンゼルスで結成された。エルトン・ジョン、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、音楽マニアとして知られるイライジャ・ウッドなどが、早くから彼らのファンであることを公言するなど、数枚のシングルとその強烈で扇動的なライブ・パフォーマンスそしてアロウのカリスマ性で、瞬く間に話題が話題を呼び、アルバム発売前にも関わらず凄まじい反響を呼んでいる超新星の登場だ。
最近ではフー・ファイターズのデイヴ・グロールがキュレーターを務めた《Cal Jam》で、デイヴ・グロールが真っ先に出演依頼し、フェスティバル翌日にラジオ出演した際にも、スタークローラーを大絶賛している。”
YouTube
- Starcrawler – Bet My Brains
- Starcrawler – She Gets Around
- Starcrawler – No More Pennies
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