最終更新: 2021年2月10日
永久不滅の音楽ジャンル、ロック。
The Beatles、The Rolling Stones、The Kinksなどがロックンロールの型を破り、自由に表現することによってロックが誕生した。
歴史や社会情勢、地域性によってガレージロック、フォークロック、サイケデリックロックやシューゲイザーなど様々な種類へと進化を遂げてきた。
それでもなお、”ロックは死んだ”と言う言葉を度々耳にするが本当なのか。
そこで、ロックの成り立ちを始め、多様に枝分かれしたロックのサブジャンルを紹介していく。
目次
ロックとは
ロックとは、50年代に盛り上がりを見せたロックンロールを起源とするジャンルだ。ロックは形式のない自由な音楽性が特徴だが、ロックンロールはR&Bやブルースが派生したもので、正確に言うと同じものではない。
60年代にThe BeatlesやThe Rolling Stonesがアメリカへ上陸し、ロックンロールの型を破った自由な音楽性で人気を博したことで、ロックがより広い世界を見ることとなった。
ロックのバンド形態はエレクトリックギター、ベース、ドラム、そこへヴォーカルが加わったスタイルで、現在にも引き継がれている。
社会情勢や地域特有の文化、そして人々の思想など様々な”歴史”と共に生きてきた。
ロックは”生きる歴史”と言っても過言ではないのだ。
ジャンルが細分化した背景
ロックは、歴史的な背景や地域特有の文化の影響を受けながら細分化されてきた。
一つの大きな文化として、1964年にThe Beatlesがアメリカに上陸し始まった、ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵略)と呼ばれるムーヴメントがある。
それによりガレージロックやフォークロックが誕生する。
時を同じくして、60年代にアメリカを中心に広がったヒッピーによるムーヴメントでは、ロックをドラッグと組み合わせサイケデリックロックを生み出した。
ロックは歴史の動きに深く根付きながら細分化してきたのである。
多種多様なロックのジャンル
現代の音楽シーンで、ストレートな”ロック”を鳴らすバンドは多くない。だが今なおポップと並び不動の人気を誇るのは、ロックが多種多様に枝分かれしているからである。
音楽黄金期である60年代に誕生したガレージロック、フォークロック、そしてサイケデリックロック。
70年代のロンドン・パンク・ムーヴメントにより発生したポストパンク。
80年代後半から90年代にかけて、Nirvanaによって広まったグランジロック。時を同じく誕生した、轟音が特徴のシューゲイザー。
80年代に定着し、現代にもフィットする浮遊感が特色のドリームポップ。
これらの多種多様なロックのジャンルについて紹介したい。
ガレージロック
60年代にアメリカにて誕生した音楽ジャンル、ガレージロック。土地の広いアメリカならではの、”お金がないから自宅のガレージで演奏する”、という日本では到底考えられない環境によって広まった。
アメリカとイギリスがより良い音楽を作ろうと、切磋琢磨した先に生まれた歴史もある。
ロックのストレートな部分を引き継ぎながらも、荒々しさや感情を爆発させたガレージロック。
そんなガレージロックの成り立ちや、おすすめの新世代バンドについてはこちらから。
フォークロック
60年代にアメリカとイギリスにて誕生したフォークロック。フォークロックとは文字通り、フォークとロックが合わったジャンルである。
ボブ・ディランやThe Byrdsによって、フォークソングにエレキギターなどのロックのエッセンスが加味され派生してきた。
地域特有の文化の影響を色濃く受けるため、歌詞の内容や使用される楽器も幅広く、フォークロックを聴いて見える情景は自然的で優美なのも特徴の一つ。
そんなフォークロックの特徴と、新世代のフォークロックバンド5選についての記事はこちら。
サイケデリックロック
60年代の北アメリカで、ヒッピー文化との関わりによって誕生したサイケデリックロック。サイケデリックは、ドラッグカルチャーと音楽の結び付きにより、視覚や聴覚に直接訴えかける刺激性のある音楽ジャンルである。
既存のロックの型を崩し、音楽の持つ新たな可能性を見出そうとする。
そのアーティストによる”アートの追求”が、今なお芸術を愛する人々によって支持されている。
なぜサイケデリックがアートを追求した先にたどり着いた音楽なのか、知りたい方はこちらから。
ポストパンク
70年代に、Sex PistolsやThe Clashの登場によって巻き起こった、ロンドン・パンク・ムーブメントによって発生したのがポストパンクだ。実験精神のもと、レゲエやダブ、ファンクやスカなどとの結びつきによって派生してきたため、ジャンルとしての定義は幅広い。
パンクが根元にあることや、Joy Divisionなどのように若者の悩みを文学的に表現することにより、若者の心を代弁しているのも特徴だ。
そんなポストパンクの歴史、そしてチェックすべき新人バンド5組についてはこちら。
ドリームポップ
オルタナティブ・ロックのサブジャンルとして誕生したドリームポップ。最近のドリームポップは夢心地をサウンドで表現しており、シューゲイザーやサイケデリックと近いジャンルである。
ドリームポップは、女性アーティストの方が表現に向いていると感じるジャンルではないだろうか。
浮遊感と恍惚感を繊細に表現する能力や、優しく囁くヴォーカルスタイルは女性の強みであるからだ。
今聴くべき新世代の女性ドリームポップバンドについては、こちらの記事も合わせて読んでいただきたい。
グランジロック
80年代に、NirvanaやSoundgardenを擁するインディーレーベル、Sub Popの拠点であったシアトルで広まったグランジロック。海外では”シアトル・サウンド”という名称もあるほど、シアトルという地に馴染み深いジャンルだ。
そんなグランジロックは、ファズギターを使用したノイジーかつ攻撃的なサウンドを特徴としている。
その荒々しくも情熱的に、アーティストの心の闇を爆発させているエネルギッシュさが、若者の心を射止めているのだろう。
グランジロックと、今聴くべき新人バンド5組についてはこちらの記事から。
シューゲイザー
聴き手を音の洪水に巻き込む音楽ジャンル、シューゲイザー。80〜90年代に活躍したThe Jesus and Mary ChainやMy Bloody Valentineを代表するジャンルである。
ギターの音を変化させるエフェクターを多用することによって得られるノイジーな轟音によって、リスナーに浮遊感や恍惚感を体験させるのが特徴。
そのノイジーな轟音には、”不快であることと美しさは紙一重”なのだと感じさせる何かがある。
そんなシューゲイザーのノイズの美しさの謎についてはこちらの記事を読んでいただきたい。
ロックは死んだのか?
かつてジョン・レノンはこう言った。“ロックは死んだよ。
宗教みたいになってしまったんだ。
コマーシャルになりすぎてしまったし、発展することはない。
セックス・ピストルズが最後のロックンロールバンドだったんだ”
このように、いくらロックは死んだと囁かれても、常に新たなロックバンドが再び世に出てくる永久不滅の音楽ジャンルだ。
エルヴィス・プレスリーを代表するロックンロールから派生し、The Beatles、The Rolling Stonesなどの活躍を経て、変幻自在に枝分かれしながら現在に至る。
今回紹介した、ロックが内包するサブジャンルは氷山の一角で、実際には約100種類ほど存在すると言われ、さらにそれぞれのサブジャンルに歴史がある。
これから時代が変わっていき、ロックは死んだと言われる時期が何度も訪れるだろうが、ロックが無くなる心配は全くしていない。
人類の歴史はロックと共にあるからだ。
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ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
兵庫県出身のサイケデリック・ロックバンド、Daisy JaineのVo./Gt.。アメリカ・ボストンに留学経験があり、BELONGでは翻訳を担当。サイケデリック、オルタナ、60s、ロカビリーやR&Bと幅広く聴きます。趣味はファッション、写真、映画観賞。
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Twitter:@rio_daisyjaine