最終更新: 2024年3月19日

2022年に結成されたタイの4人組インディー・ポップ・バンド、Lesssugar(レスシュガー)。

メンバーはタイのウボン、チェンマイ、バンコク出身で、それぞれの地理的、個人的な経験を尊重しあいながら音を紡ぎ、そこに女性ヴォーカルFangの流麗な歌声を乗せることで活況を帯びる地元のインディーシーンでも世界にアクセスするバンドとして異彩を放つ。

”BELONG Mediaが選ぶ2023年の年間シングルベスト20曲”でも彼らのデビューアルバム『internet teenage lover』から「trynafindyou」を選曲させていただいたが、今回念願のインタビューが実現した。

そんなLesssugarへのインタビューは彼らのルーツを探ることで、話題のデビューアルバム『internet teenage lover』のもつ、高い作家性を提示したいという意志のもと、質問をぶつけた。

年間シングルベストでの記事では“タイにはKIKIやThe Kopycatといったバンドも活躍していて、今後意外とインディーシーンを盛り上げるのは欧米圏ではなく、タイなのでは・・・?”と記したが、なぜタイの音楽シーンが沸いているかについても明解なアンサーをいただけたのではないだろうかーー。

Click here for the English version of the interview

Lesssugärインタビュー

Lesssugär
アーティスト:Lesssugär インタビュアー:滝田 優樹 翻訳:BELONG編集部

-私たちBELONG Mediaはアーティストのルーツに注目している音楽メディアです。なので、まずはあなたたちのおいたちから教えてください。あなたたちLesssugärはどのように結成されたのでしょうか? 元々はJay、Den、Patrickの3人のメンバーでThe Biirthday Partyというバンドをやっていたそうですね。
Lesssugär:そうだよ!The Biirthday PartyのオリジナルメンバーはJay、Den、Patrickの3人なんだけど、いつか女性ボーカルを入れようと思って、FANGを誘ったんだ。

-Fangが加入したきっかけは自分たちの作ったサウンドにフィーメール・ヴォーカルを乗せたいという理由だと思うのですが、それには何かリファレンスとなるバンドはいたのでしょうか? またThe Biirthday Partyというバンドではどのような音楽をやっていたのか教えてください。
もちろん、いろいろな音の要素を試してみたいだけだよ。The Biirthday Partyでは、とてもドリーミーなサウンドを演奏しているから、そのようなアイデアの延長で浮遊感のあるドラムとFangのヴォーカルで新しいリズムを作ることを探求しているんだ。

-Fangが加入してからLesssugärはどのように変化したと言えるでしょうか。理想通りの音楽に近付けたのか、もしくは想像もしていない化学変化をもたらしたのかでいうとどちらですか?
確かに、地理的、個人的な経験が僕らの音楽の進化に影響を与えたように思える。異なる都市に住み、お互いをよく知るようになったことが、このサウンドの変化に貢献したと思う。Fangが参加したことで、この変化が僕たちの音楽に新たな予想外の展開をもたらし、将来へのエキサイティングな可能性を示唆してくれるだろうと期待している。

-上記の回答を受けてFangはどうですか? Fangから見た加入前のThe Biirthday Partyというバンドの印象やLesssugärでヴォーカルとして活動してみての感想を教えてください。
Fang:とても興奮したし、今までやったことのない新しいことに挑戦し、探求することを楽しんだよ。自分のスキルがまだ十分ではないので、時々自信のなさを感じることがあって、それがフロントに立つことを不安にさせるんだけど。でも同時に、多くの才能あるミュージシャンと仕事をするチャンスを得たこと、バンドの一員になれたことを幸運に感じているよ。

-もともとはタイのウボン、チェンマイ、バンコクとそれぞれに拠点を持つメンバーが集まったバンドです。それぞれの地域の音楽文化はどのようなものなのか興味があります。詳しく教えてもらえますか? 
タイの文化は、地域によって音楽ジャンルが異なるんだ。バンコクはタイの音楽の中心地として際立っている。

北側では、山と乾燥した森林に支配された険しい地形のため、民族音楽とインディーズ音楽が盛んだと思う。

東北部のイサーンは独特の文化的アイデンティティを持ち、独特の方言やアクセントが特徴的なんだ。多くのイサーン人アーティストが母国語とアクセントで歌い、この地域の豊かな音楽のタペストリーに貢献している。“Mor Lum”と“Luk Thung”というジャンルはイサーン音楽で特に有名で、イサーン地方の音楽シーンで重要な位置を占めているから、多くの人に親しまれているんだ。

-あなたの音楽に影響を与えたアルバム3枚をあげるとすれば、どれですか?
Alvvays、Poppy、Taylor swift、Landmark!

-バンド名について教えてください。バンドとして活動するにあたって”Lesssugär”という名前にした理由やその名前が持つ意味は何ですか?
スタジオで思いがけず、あるシンプルな光景がきっかけで名付けたんだ。スタジオの前に座っていたら、”Less Sugar”と書かれたコカ・コーラのボトルを見つけてね。この出会いに触発されて、私たちは自分たちに出会ったんだ。

Internet Teenage Lover

『Internet Teenage Lover』デジタル版カバー
-ここからはデビュー作『Internet Teenage Lover』についてお聞きします。コンセプチュアルに作りこまれていて、統一感があってアルバムというフォーマットでの作品でも完成度の高いものになっているという印象です。まずはなぜこのアルバムタイトルにしたのか教えてください。また、あなたたちからみてこの作品はどのような作品なのか説明することはできますか?
アルバム・タイトルの “Internet Teenage Lover “は、僕たちの視点を反映したもので、恋に落ちるというテーマ、特にネット上でつながることが多い現代のデジタル時代を象徴していると思う。歌詞の多くに表れているように、恋愛のロマンチックな側面と複雑さの両方を伝えるために、このタイトルを選んだんだ。多くの交流や感情がインターネットを通して媒介されるこの世界で、このタイトルは僕たちの曲の本質を捉えるのにふさわしいと感じてね。

-今作の歌詞について、「Kate」以外の曲は基本的に”you&I”の曲となっていることも特徴だと思っています。これには何か理由はありますか? 『Internet Teenage Lover』というアルバムタイトルを踏まえて、伝えたかったテーマがあれば教えてください。
「KATE」は、以前制作した古いデモで、僕らの心に残っていたんだ。Fangがメンバーに加わったとき、この曲のパズルの欠けていたピースがやっと見つかったような気がしたよ。

-アルバムのアートワークとして、カラフルなペインティングな”目”と”ピザ”と”口”が印象的でした。それが表す意味は何でしょう。
自分たちでデザインしたわけじゃないんだ。僕らがリスペクトしている友人のコンセプチュアル・アートなんだ。みんなはこのアートワークをどう思う?

-『Internet Teenage Lover』をどのような人に聞いてほしいですか? もしくはどのようなシチュエーションで聞いてほしいですか? 
恋の渦中の青春。

-最後に、日本でもあなたたちのファンはたくさんいます。その人たちに向けて、メッセージをください。(日本でのライヴはまだかと思いますが、来日でのライヴも決まることを祈ってます!)
応援してくれたみんなに感謝しています。あなたたちがいなければバンドは成り立たない。そして、皆さんの耳に届くような素晴らしい音楽を作り続けるよ。4月にはいよいよ東京でライヴを行うんだ!また会いましょう!

Lesssugärアルバムリリース

1stアルバム『Internet Teenage Lover』

Internet Teenage Lover
『Internet Teenage Lover』フィジカル限定カバー
発売日(CD):発売中
発売日(アナログ):2024年3月6日
収録曲:
1.i.t.l
2.trynafindyou
3.it was meant to be
4.wanna get hurt
5.kate
6.stay away go!
7.nicorrett
8.WRWM(フィジカル限定ボーナストラック / Bonus Tracks for CD/Vinyl)
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Lesssugär 来日公演詳細

Lesssugär main tour flyer (1)

  • DAY1: 『amber vol.1』
  • 日時: 2024年4月20日(土)
    場所: 桜台POOL
    開場 / 開演: 17:30
    前売り / 当日: ¥3500 / ¥4000
    出演者: Lesssugär (from Thailand), D.B.Inches, downt, +1band
    DJ: 寿(from ステレオガール)
    チケット予約: こちら

  • DAY2: 『to’morrow vol.26』
  • 日時: 2024年4月21日(日)
    場所: 下北沢LIVEHAUS
    開場 / 開演: 18:30
    前売り / 当日: ¥3500 / ¥4000
    出演者: Lesssugär(from Thailand), Bertoia, xiexie
    DJ: UEDA
    チケット予約: こちら

  • DAY3: 『下北沢ERAからの贈り物』
  • 日時: 2024年4月22日(月)
    場所: 下北沢近道
    開場 / 開演: 18:00 / 18:30
    前売り / 当日: ¥2400 / ¥2900
    出演者: Lesssugär (from Thailand), in sea hole, Jun Izawa (LITE), Sept., 太田ひなtrio
    チケット予約: こちら

  • DAY4: 『to’morrow vol.27』
  • 日時: 2024年4月24日(水)
    場所: 下北沢Basement Bar
    開場 / 開演: 18:30 / 19:00
    前売り / 当日: ¥3000 / ¥3500
    出演者: Lesssugär(from Thailand), Beachside talks, Loulalee, Moon In June
    チケット予約: こちら

  • DAY5
  • 日時: 2024年4月25日(木)
    場所: 下北沢THREE
    詳細: 近日公開

  • DAY6: 『Indie Pop Rock Friday』
  • 日時: 2024年4月26日(金)
    場所: 吉祥寺NEPO
    開場 / 開演: 19:00 / 19:30
    出演者: Lesssugär(from Thailand), appi, Sugar House
    チケット予約: こちら

    Lesssugärバンドプロフィール

    Lesssugär

    “2022年に結成されたインディーポップ・バンド、Lesssugärは別のバンドを一緒にやっていたJay、Den、Patrickの3人が自分たちの作ったサウンドにフィーメール・ヴォーカルを乗せたいという意志の元に完璧にフィットするヴォーカリストを探し続け、ヴォーカリストのFangに出会いスタートしたインディーポップ・バンド。”

    引用元:Lesssugär(レスシュガー)バンドプロフィール(P-Vine)

    Lesssugär関連記事

    Lesssugär(レスシュガー)の関連記事について、BELONGではこれまでに下記のアーティストを取り上げている。

    ライター:滝田優樹

    1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。

    そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。

    その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。

    退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。

    それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。

    猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。

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    Twitter:@takita_funky