最終更新: 2024年6月3日

1994年、UKロックに新たな歴史が刻まれた。Oasis(オアシス)の衝撃的なデビューアルバム『Definitely Maybe』がリリースされた。

リアム・ギャラガーの情熱的なヴォーカルと、ノエル・ギャラガーのUKロックのど真ん中を体現したサウンドメイキングが見事に融合し、ブリティッシュ・ロックを復活へ導いた。

この記念すべきアルバムの30周年を記念し、2024年8月に豪華デラックス・エディションがリリース予定だ。

未発表のデモ音源やアウトテイク、新しいアートワーク、ライナーノーツが収録される。

今回は『Definitely Maybe』から多大な影響を受けたバンドのコメントを紹介し、本作の影響を振り返る。

Oasisの『Definitely Maybe』が後進のアーティストに与えた影響とは?

更新履歴
2024年6月2日 3アーティスト(The View、SURL、Communions)追加

Oasisとは

1990年代、ブリティッシュ・ロックの再興を果たしたバンドの1つがOasis(オアシス)であった。

マンチェスター出身の兄弟ノエル・ギャラガー(作詞・作曲・ギター)とリアム・ギャラガー(ボーカル)を中心に結成された同バンドは、1994年のデビュー作『Definitely Maybe』で瞬く間に人気を獲得した。

Oasisはデビュー作『Definitely Maybe』で英国史上最速の新人セールスを記録し、翌1995年の2ndアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』も大ヒットを記録し、ブリット・ポップの立役者の地位を確立した。

90年代後半に入ると、3rdアルバム『Be Here Now』が過剰な制作により物議を醸したものの、Oasisの人気は世界的に拡大。しかしその後、兄弟の確執などバンドの内紛も表面化し、一時は下火となる。

2000年代に入ると『Standing on the Shoulder of Giants』、『Heathen Chemistry』、『Don’t Believe the Truth』と力作を発表し、存在感を取り戻していった。

ノエルの2009年の脱退により正式な活動に終止符が打たれたが、90年代ブリット・ポップを象徴する貴重なキャリアと作品群が残されている。

ダイナミックなロック・サウンドと王道のメロディ・センスの融合は、彼らの最大の魅力と言えるだろう。

Definitely Maybe

アルバム名 『Definitely Maybe(ディフィニットリー・メイビー)』
リリース年 1994年8月30日
ジャンル ブリットポップ、ロック
レーベル Creation
プロデューサー オーウェン・モリス、オアシス、マーク・コイル、デイヴィッド・バチェラー

Definitely Maybeの概要

1994年8月にリリースされたOasis(オアシス)のデビュー作『Definitely Maybe』は、ブリティッシュ・ロックを復活に導くアルバムであり、まさに文化的な現象ともいえるインパクトを持っていた。

このアルバムは「Rock N’ Roll Star」の楽曲から幕を開ける。”Tonight, I’m a rock & roll star”とリアム・ギャラガーが歌い上げるように、狭い部屋から飛び出し、ロックスターになりたいという強い願望が込められている。この渇望は作品全体に息づき、リスナーを虜にした。

ノエル・ギャラガーの作風は、The BeatlesやThe Rolling Stones、Sex Pistolsといった過去の名盤から影響を受けつつ、ブリット・ポップ色を色濃く反映している。

一方で、エッジの効いたギターリフやフックは、同時代のバンドからの借り物だという批判もあったものの、それ以上に、リアムの圧倒的なボーカルとノエルの力強い作風が見事に呼応し、新鮮で衝撃的なブリット・ポップ・サウンドが生み出された。

この両極端な要素の親和性には、兄弟の絆とそれゆえの対立からくるエネルギーが潜んでおり、のちの決裂を予感させるものの、それが逆にこのデビュー作を余計に燃え上がらせている。

ブリティッシュ・ロック復活の狼煙を上げ、ブリット・ポップとして一大文化現象ともなったこのデビュー作は、まさに画期的な出来事だったと言えよう。

『Definitely Maybe』から影響を受けたアーティスト

The Viewのコメント

-The Viewのルーツに当たるアルバムを3枚教えてください。またそれはバンドにどう生きていますか?
キーレン:オアシスなら”Definitely Maybe”・・・。
カイル:”Definitely Maybe”もいいんだけど”What’s The Story Morning Glory?”も外せない。
キーレン:それとビートルズの”サージェント・ペパーズ”かな。あとクラッシュの”London Calling”。
カイル:リバティーンズは入れないの?。
キーレン:リバティーンズも大事なんだけどね。
カイル:僕達は古いもの、マイナーなものが好きだから、このセレクションが僕達を知ってもらう上でよく表してるんじゃないかと思う。

👉️UKロックバンドThe View『Seven Year Setlist』インタビュー

SURLのコメント

(L→R)オ・ミョンソク(Dr), イ・ハンビン(Ba), ソル・ホスン(Vo, Gt), キム・ドヨン(Gt)
SURL:The Beatlesの『The White Album』には多様なジャンルでバンドのカラーを表現することを、Coldplay『Parachutes』には共感できる・慰めになるような歌詞作りに大きな影響を受けました。また、Oasisの『Definitely Maybe』にはUKロックの王道として多くの影響を受けました。

👉️ブリットポップを敬愛する韓国のロックバンドSURL(ソル)とは

Communionsのコメント

Communions(コミュニオンズ)

彼らの最初の2枚(『Definitely Maybe』、『What’s The Story Morning Glory?』)のアルバムは最高だし、言ってみれば僕らはそれを聴きながら成長してきたようなものだから。主にオアシスに影響を受けた部分と言えば、素晴らしい歌と素晴らしいメロディーかな。

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『Definitely Maybe』30周年記念盤について

Oasis(オアシス)のデビューアルバム『Definitely Maybe(邦題:オアシス)』の30周年を記念して、特別なデラックス・エディションが2024年8月30日にリリースされる。

この記念盤は、未発表のMonnow ValleyヴァージョンやSawmills Studioでのアウトテイク、新たなアートワークとライナーノーツを含む5つの形態で展開。

形態は2CD、4LP、2LP、カセット、デジタルのバリエーションがあり、2CDと4LPには国内盤も用意されている。

アルバムの特徴

・Monnow Valley Studioでの幻のオリジナル・レコーディング・セッションからの楽曲
・Sawmills Studioで録音されたアウトテイク
・オリジナルLPのボーナス・トラック「Sad Song」の未発表デモ・ヴァージョン
・新たなアートワークとライナーノーツ

アートワークとライナーノーツ

・アートデザイナー、ブライアン・キャノンと写真家マイケル・スペンサー・ジョーンズによる一新されたアートワーク
・クリエイション・レコーズのアラン・マッギーとジャーナリストのヘイミッシュ・マクベインによるライナーノーツ

限定版とカラーヴァイナル

・「Up In The Sky」の歌詞にインスパイアされたブルー&ホワイト・マーブル2LP
・「Digsy’s Dinner」の歌詞にインスパイアされたピンク&ホワイト・マーブル2LP
・限定エディションのブルー・カセット

30周年記念盤の意義とは

『Definitely Maybe』は、1994年のリリース以来、イギリスの若者文化における重要な瞬間を刻み、新しいロックとポップのムードを体現してきた。

30年経った今でも、その影響力は色褪せず、新しい世代のファンを獲得し続けている。

この30周年記念デラックス・エディションは、Oasisの歴史とその時代を象徴する作品の重要性を再確認する機会をもたらしてくれる。

アルバムのキャンペーン活動の詳細は、ハッシュタグ #Defmaybe30 でチェックできる。

『Definitely Maybe』30周年記念盤リリース詳細

発売日:2024年8月30日
詳細:
・全フォーマットで2014年リマスター音源を採用
・Big Brother Recordingsからのリリース
・2CDと4LPには国内盤も同時発売

収録曲:

コメント(クリックして表示)
<Volume 1>
1. Rock ‘n’ Roll Star (Remastered)
2. Shakermaker (Remastered)
3. Live Forever (Remastered)
4. Up In The Sky (Remastered)
5. Columbia (Remastered)
6. Supersonic (Remastered)
7. Bring It On Down (Remastered)
8. Cigarettes & Alcohol (Remastered)
9. Digsy’s Dinner (Remastered)
10. Slide Away (Remastered)
11. Married With Children (Remastered)

<Volume 2>
1. Rock ‘n’ Roll Star (Monnow Valley Version)
2. Shakermaker (Monnow Valley Version)
3. Live Forever (Monnow Valley Version)
4. Up In The Sky (Monnow Valley Version)
5. Columbia (Monnow Valley Version)
6. Bring It On Down (Monnow Valley Version)
7. Cigarettes & Alcohol (Monnow Valley Version)
8. Digsy’s Dinner (Monnow Valley Version)
9. Rock ‘n’ Roll Star (Sawmills Outtake)
10. Up In The Sky (Sawmills Outtake)
11. Columbia (Sawmills Outtake)
12. Bring It On Down (Sawmills Outtake)
13. Cigarettes & Alcohol (Sawmills Outtake)
14. Digsy’s Dinner (Sawmills Outtake)
15. Slide Away (Sawmills Outtake)
16. Sad Song (Mauldeth Road West Demo, Nov’ 92)

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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
Tomohiro Yabe
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori