最終更新: 2023年6月28日

ニューヨーク出身のシンガーソングライター、Blondshell(ブロンドシェル)がデビューアルバム『Blondshell』をリリースした。

彼女はFontaines D.C.やCigarettes After Sexを輩出した注目のレーベル、Partisan Recordsと契約している。

Blondshellは90年代のグランジロックに傾倒した音楽性はもちろん、賛否両論の歌詞においても大きな注目を集めている。

例えば、「Salad」の歌詞の一節には下記のような部分がある。

“自分のしたことを見て
ユダヤ人の娘を殺す気?”

“Look what you did
You’ll make a killer of a Jewish girl”

引用元:Blondshell「Salad」歌詞(Genius Lyrics)

Blondshellこと、サブリナ・タイテルバウムは歌詞について下記のように語っている。

“私が経験した醜いことを歌詞にした。同じようなことを経験した人が聴いて、自分だけではないと感じてほしい。”

そんな彼女の音楽はどのようにして生まれるのか?注目の新星にメールインタビューを行った。

また、Blondshellの来日公演が2024年2月に決定した!(2023年6月28日追記)

Blondshellとは

blondshell

Blondshell(ブロンドシェル)こと、Sabrina Teitelbaum (サブリナ・タイテルバウム)は、ニューヨーク出身のシンガーソングライターである。

Blondshellの音楽は、90年代のグランジに影響を受けたキャッチーなロックサウンドと、率直で感情的な歌詞が特徴。

タイテルバウムはニューヨーク市で生まれ育った。幼い頃から音楽に興味を持っており、10代の頃から曲を書き始めている。

そんな彼女は2015年にロサンゼルスに移住し、音楽キャリアをスタートさせた。

Blondshellは2020年にデビューシングル「Olympus」をリリース。その後、シングル「Kiss City」、「Veronica Mars」、「Sepsis」をリリースする。

2023年、Blondshellはデビューアルバム『Blondshell』をリリースした。このアルバムは批評家とファンから高い評価を獲得している。

Blondshellの概要

アーティスト名 Blondshell(ブロンドシェル)
結成 2020年
活動拠点 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス
レーベル Partisan Records

Blondshellのサブリナ・タイテルバウムへのインタビュー

blondshell
アーティスト:Sabrina Teitelbaum (サブリナ・タイテルバウム) インタビュアー:yabori 翻訳:BELONG編集部

USCのポップ・プログラムとBAUMについて

-あなたはUSCのポップ・プログラムではクラシックやジャズの理論を学んでいたようですね。2年で中退した後、BAUMというバンドを結成されたそうですが、どうして卒業を待たずに自分の音楽に集中しようと思ったのでしょうか。
Sabrina Teitelbaum (サブリナ・タイテルバウム):焦っていました!LAに住んでいて、私がやりたいことをやっている人たちを見ていたので、早く始めたかったんです。

-BAUM時代の音楽を聴いたのですが、今よりもポップな音楽を制作していたようですね。BAUMはどのように始まったのでしょうか。
学校に通っている間にBAUMを始めました。それは私がアーティストとして自分自身を見つける方法の一つだったんです。学校で曲を書いて、それらの曲を共有したくなったので、リリースしてライブを始めました。

Blondshellという名前の由来

-BAUMでの活動後、Sabrina Teitelbaum (サブリナ・タイテルバウム) という本名ではなく、Blondshellという名前で活動していますね。BAUMはご自身の名前から連想できる名前でしたが、どうして全く違う名前にしたのでしょうか。
新しいスタートを切りたかったからです。私は全く新しいアーティストになったように感じていました。“Blondshell(ブロンドシェル)”という名前は偶然見つけたものでしたが、私の音楽に合っていると感じました。

-Blondshellという名前は、あなたと姉が夕食を共にしている時に思いついた名前だそうですね。この名前にはどのような意味が込められていますか?
ただ単に響きが好きな名前だと思うこともあれば、ブロンドの保護殻のような意味を持たせることもできると思っていて、気に入っているんです。

90年代のオルタナティブ・ロックへの影響

-Blondshellでは90年代のオルタナティブ・ロックに影響を受けた音楽をやっていますが、自身の音楽にロックを取り入れようと思ったのは何か心境の変化があったのでしょうか。
このアルバムを作ったときは90年代の音楽を集中的に聞いていましたし、今でもその時代に女性が作ったオルタナティブ・ミュージックが大好きなんです。私はアーティストとしてのあり方やコミュニティ感覚など、90年代にインスパイアされているんです。

Partisan Recordsとの契約について

-私はPartisan Recordsからリリースされる作品は素晴らしいものが多いので、必ずチェックするようにしています。素晴らしいレーベルだと思うのですが、どうしてこのレーベルと契約しようと思ったのでしょうか。
レーベルを選ぶときは、そこで働く人たちに基づいて選びたかったんです。Partisanで出会った人たちが大好きで、彼らが私をアーティストとして理解してくれていると信じていました。

デビューアルバム『Blondshell』について

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-ここからはデビューアルバム『Blondshell』について伺います。あなたは今作について、“曲を声に出して歌うことで、自分の声を見つけることができた”と語っていますね。今作を歌うことでどのような発見があったか教えてください。
たくさんありました!このアルバムをわざと書こうとしたわけではなかったので、書いたり録音したりしながら、自分自身をアーティストとして見つけているような気がしました。自分が何を言いたいのか、どうやって言いたいのかをリアルタイムで学んでいたんです。その過程にはとてもワクワクしました。

曲作りのプロセスについて

-資料によると本作の制作は“自分自身に許しを与え、期待せずに曲を書き始めたこと”とありました。あなたは曲を作る際、どのようなプロセスを経ているのでしょうか。
これらの曲はリリースされないし、誰にも聞かれないと思って、曲作りのプロセスを進めていたんです。そうすることで、これらのテーマについて安心して話すことができたんだと思います。とても閉鎖的なプロセスだったから、すべてが自分だけのものに感じます。

アルバムタイトル『Blondshell』の意味について

-あらめてアルバムタイトルの『Blondshell』にどのような意味が込められているのでしょうか。
このアルバムはBlondshellとして自分自身を紹介するつもりだったので、セルフタイトルにしたかったんです。アーティストとしての私の始まりみたいなものだから、ただ自分の名前にしたかったんです。

『Blondshell』を聴いてほしい人について

-『Blondshell』をどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
同じようなことを経験したことのある人なら、この音楽から何かを感じられるかもしれません。私が経験した醜いことをいろいろと歌詞にしたので、同じようなことを経験している人が聴いて、自分だけではないと感じられるといいですね。

バンドメンバーについて

-The Tonight Showのライブはバンド編成で行われていましたね。どのようなメンバーが参加しているのか教えてください。
私は自分のバンドが大好きです!!アンナ・クレインがドラム、ジェフ・フランタムがギター、チャーリー・エリスがベース、ジュリアナ・ザカリウがグロッケンシュピールとアコースティックギターを担当しました。

日本のファンへのメッセージについて

-最後に私たちをはじめにあなたの来日を楽しみにしている日本のファンがいます。彼らにメッセージをお願いします。
日本に行くのが待ちきれません!私はまだ行ったことがなくて、夢の場所のトップにあるところなんです。とてもワクワクしています 🙂 アルバムを聴いてくれてありがとうございます。

Blondshell、「Salad」のMV公開 復讐のファンタジーを歌う

blondshell salad
アメリカのシンガーソングライターBlondshellが、デビュー・アルバム『Blondshell』から「Salad」のミュージックビデオを公開した。

この曲は、友人の加害者が罪を免れた後の自警団の正義を想像しながら語る復讐のファンタジーを歌っており、強烈な歌詞と力強いサウンドが印象的だ。

MVはNick Harwood(Sophie、Blood Orange、Kim Petras)が監督し、カリフォルニア州アルタデナのZorthian Ranchで撮影された。

BlondshellとRana Ghiassi、Ruby Cruz(Mare of Easttown、Willow)が演じる自立した女性3人が、森で一日を過ごす様子が描かれている。

MVは写真家Justine Kurlandの作品『Girl Pictures』にインスパイアされたもので、“怒りだけでなく、歌に込められた愛を表現したかった”とBlondshellはコメントしている。

BlondshellことSabrina Teitelbaumは4月7日にPartisan Recordsからセルフタイトルのデビュー・アルバム『Blondshell』をリリースした。

このアルバムは高い評価を博し、「Salad」も含めて多くのメディアで取り上げられた 。Blondshellはこの秋からLiz Phairと共にツアーに参加する予定だ。

Blondshell – Salad (Official Music Video)

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Blondshellアルバムリリース

Blondshell(ブロンドシェル)はこれまでに1枚のアルバム(『Blondshell』)をリリースしています。

1stアルバム『Blondshell』

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発売日: 2023年4月7日
収録曲:
1. Veronica Mars
2. Kiss City
3. Olympus
4. Salad
5. Sepsis
6. Sober Together
7. Joiner
8. Tarmac
9. Dangerous
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
Amazonで見る

Blondshell来日公演

Blondshell来日公演フライヤー
イベント名:JAPAN TOUR 2024
出演者:Blondshell
日時:2024年2月13日(火)開場18:30 開演19:30
会場:WWW X(東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル2F)
料金:スタンディング 前売り6,500円(ドリンク代別)
チケット販売:主催者先行予約、SMASH friends会員優先予約、最速プレオーダー先行予約、一般発売
チケットリンク:https://eplus.jp/sf/detail/3903990001?P6=064&P1=0402&P59=1
注意事項:お一人様4枚まで、紙、電子チケット併用、チケット購入者のみ個人情報の取得あり、小学生以下入場不可、中学生以上チケット必要

Blondshellバンドプロフィール

blondshell

“ニューヨークで生まれ育ったTeitelbaumは、2015年に音楽学校に通う為、ロサンゼルスに移住。USCのポップ・プログラムに入学し、LordeやLana Del Reyといったポップ・レガシーに浸った。こうしたポップスが彼女に与えたものは、そこに自分の居場所がないことをはっきりと自覚させることだった。彼女の音楽はますます生々しく激しくなり、簡単には分類することができなくなった。そして、彼女は期待せずに書くことを自分に許し。リリースすることなど考えず、自分のためだけに曲を書き始めた。Blondshellの一音一音には、そんな正直な思いが込められている。世界急停止する中、彼女はギターを再開し、NirvanaやHoleといった 90年代のオルタナティヴ・ロックを再訪。また、Patti Smith、Rebecca Solnit、Rachel Cusk、Clare Sestanovichの文章に没頭し、忍耐と許可を得ることができた。”

引用元:Blondshell(ブロンドシェル)バンドプロフィール(Big Nothing)

Blondshellの評価

“「曲の中盤あたりで『Kiss City』は裂け、そびえ立つロック・ソングとなる。そして、Teitelbaumに、心をこめて同じセリフを叫ぶスペースを与える」- The New York Times
「『Kiss City』はゆっくりと始まり、そして爆発する。それが終わると、再び始まるのが待ちきれなくなる」- Rolling Stone
「Blondshellは愛、セックス、中毒といった重いテーマを歌っているが、その切ない歌詞をかすかな微笑みをもって伝えている」-Pigeons & Planes”

引用元:Blondshellの評価(Big Nothing)

Blondshell代表曲(Youtube)

  • Blondshell(ブロンドシェル) – “Olympus” (Official Audio)
  • Blondshell(ブロンドシェル) – “Sepsis” (Official Music Video)
  • Blondshell(ブロンドシェル) – “Veronica Mars” (Official Music Video)

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ライター:yabori
yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

今まで執筆した記事はこちら
Twitter:@boriboriyabori

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