最終更新: 2025年1月13日
復活、新世代の登場、そして挑戦―。
2024年の音楽シーンは、アーティストたちの個性的なストーリーで彩られた。
8年の沈黙を破って劇的な復活を遂げたYouth Lagoonは、壮大なサウンドスケープで自身の変容を物語り、
10年前にリリースされたデビュー作『Night Time, My Time』以来、次なるアルバムが待ち遠しいSky Ferreiraは、2年ぶりの新曲「Leash」をリリースし、空白を経てなお色褪せない才能を証明した。
新世代の旗手たちも、強い個性を放っている。
Chappell Roanは「Good Luck, Babe!」で完璧なポップネスと狂気的な表現力を融合させ、The Last Dinner Partyは圧倒的なライブパフォーマンスで時代を代表するバンドとしての存在感を示した。
インドネシアのadoracionは繊細なコーラスワークで、日本のxiexieは計算された楽曲構成で、それぞれグローバルな音楽シーンに新風を吹き込んでいる。
さらに、実験的なアプローチも。
Magdalena Bayは「Image」で話題に事欠かないGrimesとコラボレーションし、電子音楽の新境地を開拓。
maya ongakuは原始的な感覚を呼び覚ます陶酔的なサウンドで、音楽の根源的な力を思い出させてくれる。
Clairoは「Sexy to Someone」でベッドルーム・ポップとバロックポップを見事に調和させ、Johnnivanは多国籍性を強みに変えた強靭なサウンドを生み出した。
この30曲には、それぞれのアーティストが紡ぎ出した、かけがえのない物語が詰まっている。
彼らの真摯な表現は、音楽が持つ本質的な力“心を揺さぶり、感情を解放し、半歩先の未来を見せてくれる力”を改めて私たちに教えてくれる。
音楽の少し先の未来を感じさせるこのラインナップ、ぜひあなたのプレイリストに加えて欲しい。
また、今回のシングルベストには、BELONGで新しく始めた企画“レンジタウン・ノート”を担当しているアリア・ソムナンブラも参加。
スタッフの桃井かおる子は、このシングルベストではなく、後日公開する2024年の映画ベスト10で参加する予定だ。
BELONG編集長、アリア、ライターの滝田 優樹の3者の選んだ曲や楽曲をとらえる視点も含めて楽しんで欲しい。
目次
Youth Lagoon – Lucy Takes a Picture
アーティスト名 | Youth Lagoon |
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曲名 | Lucy Takes a Picture |
出身地 | アメリカ・アイダホ州 |
8年ぶりにYouth Lagoonが帰ってきた!と思いきや、見た目も大変貌を遂げたYouth Lagoonの新曲「Lucy Takes a Picture」。壮大なサウンドスケープが印象的で、自身の変化と再生をテーマにした深い物語性を持つ楽曲である。天上の響きを持つこの曲は、聴き手の心を揺さぶり、彼が語る“復活”のテーマを鮮やかに伝えている。くれぐれも見た目の印象ではなく、良し悪しは曲を聴いて判断してもらいたい! (Tomohiro Yabe)
adoracion – End Differently
アーティスト名 | adoracion |
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曲名 | End Differently |
出身地 | インドネシア |
Adoraciònの楽曲「End Differently」は、その洗練されたコーラスワークと緻密に構成された音作りが印象的で、ハスキーなボーカルは、聴くたびに思わずBeabadoobeeと勘違いしてしまう。さらに驚くべきは、彼らはインドネシア出身の2023年に結成された新人インディー・バンドであることだ。「End Differently」では、日常や友情、親密な関係性をテーマにした歌詞と共に、繊細なサウンドスケープが心地よい余韻を残す。まさにインディー・ポップの理想的な1曲。(Tomohiro Yabe)
Khruangbin – May Ninth
アーティスト名 | Khruangbin |
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曲名 | May Ninth |
出身地 | アメリカ・テキサス州 |
今年のグラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされたKhruangbin。ここ最近、高い評価を獲得し、人気もうなぎ登り中の彼らであるが、「May Ninth」は、アルバム『A La Sala』の一部として、リビングルームのような親密な空間と温かみのある楽曲となった。柔らかなメロディーと穏やかなリズムが、日常の喧騒から離れて静かな安らぎを得られるひとときをもたらし、Khruangbinが持つ飾らないスタイルを改めて感じさせる。(Tomohiro Yabe)
【関連記事 | “クルアンビン(Khruangbin)が『Mordechai』で大胆に変化した理由”】
The Lemon Twigs – My Golden Years
アーティスト名 | The Lemon Twigs |
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曲名 | My Golden Years |
出身地 | アメリカ・テキサス州 |
The Lemon Twigsの「My Golden Years」は、煌びやかな12弦ギターの音色を取り入れたパワーポップの傑作であり、懐かしさと新鮮さが絶妙に融合したエネルギッシュな楽曲である。この曲を聴いたのが去年の1月だったが、その時にこの曲はベストシングルになると確信したが、この1年間その気持が揺らぐことはなかった。自信を持って、絶対的な名曲だと言いたい。(Tomohiro Yabe)
【関連記事 | “【インタビュー】https://belongmedia.net/2023/05/04/the-lemon-twigs-interview/”】
Ezra Collective – God Gave Me Feet For Dancing – feat. Yazmin Lacey
アーティスト名 | Ezra Collective |
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曲名 | God Gave Me Feet For Dancing – feat. Yazmin Lacey |
出身地 | イギリス・ロンドン |
マーキュリー賞を受賞したジャズバンド、Ezra Collectiveの代表作として注目を集める本作は、彼らの実力をこれでもかと示す珠玉の一曲だ。ヤスミン・レイシーの艶のある歌声と、5人の実力派メンバーによる緻密なアンサンブルが見事な調和を生み出す。アルバム『Dance, No One’s Watching』の中核をなすこの楽曲は、イントロからジワジワ美味しい部分だけ聴かせていくにくたらしさ。必殺のトランペットで締めるのも実にニクい!
(Tomohiro Yabe)
Charlotte Day Wilson – Sleeper(Live at Maida Vale)
アーティスト名 | Charlotte Day Wilson |
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曲名 | Sleeper – Live at Maida Vale |
出身地 | カナダ・トロント |
パティ・スミスも絶賛するシンガー、シャーロット・デイ・ウィルソンの魅力が凝縮された「Sleeper」のライブ録音。Maida Valeスタジオでのシンプルなスタインウェイ・ピアノとの組み合わせは、彼女の存在感のある歌声をより一層際立たせる。重厚さと緊張感を備えながらも、息遣いが感じられる繊細なパフォーマンスに心を掴まれた。余計なものは何もいらない、このボーカルとピアノさえあれば。(Tomohiro Yabe)
xiexie – Nile
アーティスト名 | xiexie |
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曲名 | Nile |
出身地 | 日本・東京 |
東京発のインディーポップバンド、xiexieのデビューアルバム『wellwell』の中でも最も聴きごたえのある1曲が「Nile」である。ギタリスト幸田大和が初めてリードボーカルを担当しており、曲の前半と後半でのボーカルの入れ替わりや、絶妙な楽器の増減など、細部まで計算されている。まるで、ナイル川の流れのように、緩やかに、しかし確実に変化していく楽曲展開は、聴く者を聴き飽きさせることがない。(Tomohiro Yabe)
Freak Slug – Ya Ready
アーティスト名 | Freak Slug |
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曲名 | Ya Ready |
出身地 | イギリス・マンチェスター |
Freak Slugの「Ya Ready」は、気だるさと中毒性が抜群の楽曲だ。アルバム『I Blow Out Big Candles』のオープニングを飾るこの曲は、グランジ風の重厚なギターサウンドと、力の抜けたボーカルが絶妙に絡み合い、独特の風合いを生み出している。やさぐれたボーカルは、向こう見ずと見るか、サウンドも含めて綿密に作り込まれていると見るか、聴き手の解釈に委ねられる部分はあるが、不思議と何度も聴きたくなる。(Tomohiro Yabe)
Laufey – Where or When
アーティスト名 | Laufey |
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曲名 | Where or When |
出身地 | アイスランド・レイキャビク |
2024年は間違いなくLaufeyの年であった。彼女はシンガーソングライターでありながら、マルチ奏者でもあり、オーケストラをバックに歌うことも。2024年、新人ながらグラミー賞を受賞したのも納得だ。彼女のボーカルは最高の楽器のようであり、繊細かつ力強く、表現力に溢れている。シングル「Where or When」では、その真髄を聴くことができる。(Tomohiro Yabe)
【関連記事 | “【インタビュー】Laufey(レイヴェイ)の新作アルバム『Bewitched』に宿るクラシカルな音楽の魅力とは?”】
Haruko Oishi – サテンの月
アーティスト名 | Haruko Oishi |
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曲名 | サテンの月 |
出身地 | 日本・神奈川 |
大石晴子の新曲「サテンの月」は、曲名が示す通り、サテンのような滑らかさを持つ楽曲だ。大阪生まれ神奈川育ちのシンガーソングライターである彼女は、生活の機微を美しくも不思議な響きのメロディーで歌い上げる。静かで落ち着いた曲調は、夜の静寂と内省的な感情を見事に表現。一転して、曲後半では“月を睨む”とあり、曲の前半と後半で表情が変わるのも面白い。「サテンの月」は、月の様々な表情を曲で切り取ったかのような豊かさを楽しめる。(Tomohiro Yabe)
Discovery Zone – Mall Of Luv
アーティスト名 | Discovery Zone |
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曲名 | Mall Of Luv |
出身地 | アメリカ・ニューヨーク |
優雅なジャズのようなイントロが、まるで古い映画のワンシーンのように感じられる「Mall Of Luv」。楽曲はクラシカルに感じられる一方で、この曲はMVは、ドット絵のゲーム画面で、何ともシュールな世界が展開されます。このギャップがたまらないんです!彼女は音楽家であり、マルチメディアアーティストとしての顔も。ニューアルバム『Quantum Web』は、人間の領域とコンピューターの境界線が曖昧になる、そんな不思議な世界観を、ぜひ体験してみてください!(アリア)
【関連記事 | “【インタビュー】Discovery ZoneのJJ Weihlが語る、越境する音楽とアートの飽くなき探求とは?”】
Lorde – Take Me to the River
アーティスト名 | Lorde |
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曲名 | Take Me to the River |
出身地 | ニュージーランド |
LordeがTalking Headsの名曲「Take Me to the River」をカバーしました!電子音楽が降り注ぎ、足元ではパーカッションが鳴っているように聴こえ、原曲とはまた違った聴き方ができます。この曲は、Talking Headsのトリビュートアルバムに収録。このカバーによって、楽曲が持つ独特の間が強調されており、これまでとは違うリスニング体験を楽しめるはずです。(アリア)
Brijean – Workin’ On It
アーティスト名 | Brijean |
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曲名 | Workin’ On It |
出身地 | アメリカ・カリフォルニア |
この曲を聴いていると、まるで重力が無くなったみたいに、ふわふわと浮いているような気分になります。Brijeanは、Toro y MoiやPoolsideのメンバーとしても活躍しているBrijean Murphyと、マルチ奏者でプロデューサーのDoug Stuartのプロジェクト。この曲は、アルバム『Macro』からの先行シングル。縦横無尽に広がるサウンドが、私たちを特別な空間へとぶっ飛ばしてくれます。(アリア)
Magdalena Bay – Image – Grimes Special
アーティスト名 | Magdalena Bay |
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曲名 | Image – Grimes Special |
出身地 | アメリカ・フロリダ |
この曲のイントロは、まるでアクマのささやきのよう…。そこから畳み掛けてくるサウンドは、まさに脳内を掻き回されるような感覚に陥ります。この曲は、Magdalena Bayのアルバム『Imaginal Disk』に収録されている「Image」のリミックスで、なんとGrimesが参加してます!オリジナルよりもだいぶ不気味で、重厚なシンセが印象的。こんなイカれたサウンド、どうやったら作れるんだろう…。本当に脱帽です…。(アリア)
Ela Minus – BROKEN
アーティスト名 | Ela Minus |
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曲名 | BROKEN |
出身地 | コロンビア |
“Mother”という印象的な出だしで始まるこの曲は、聴くたびに告白を聞くようでドキッとさせられます。少しずつ展開していく様は、まるで花がゆっくりと咲いていく様子を見ているよう。Ela Minusのシンセサウンドは、本当に個性的で大好きです。この曲は、2025年1月にリリースされるニューアルバム『DIA』からの先行シングル。彼女は、このアルバムでより深い自己表現を目指したそう。生命の息吹を感じさせる、力強い曲です。(アリア)
Johnnivan – Lightweight
アーティスト名 | Johnnivan |
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曲名 | Lightweight |
出身地 | 日本・東京 |
Johnnivanのニューアルバム『Swimmer』は、私にとって、とてつもない体験でした。同じ多国籍バンド経験者として、彼らの進化にモーレツに嫉妬しています…。特に注目したいのは、90年代サンプリング的アプローチを現代のクラブミュージックと融合させた点です。その一方で今回取り上げた「Lightweight」はシンセがとにかく楽しい楽曲でもあり、サウンドの振れ幅も広くなっています。多国籍であることを強みに変えたJohnnivanの創造性に、深い敬意を抱かずにはいられません。(アリア)
Squid – Crispy Skin
アーティスト名 | Squid |
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曲名 | Crispy Skin |
出身地 | イギリス・ブリストル |
奇抜でキャッチーなサウンドから始まり、予想を裏切る展開の連続は、まさにSquidらしさ全開!イントロを聴くたびに、YMOを彷彿とさせられ、中毒性が高すぎて毎回ドキドキしてしまいます。Squidは、2021年にデビューして以来、ポストパンクシーンで注目を集めています。この曲は、2025年2月にリリースされるニューアルバム『Cowards』からの先行シングル。6分19秒間のジェットコースターに乗ってみては!?(アリア)
【関連記事 | “【インタビュー】squidが語るセカンドアルバムのテーマとサウンド、そして“Monolith”という記号とは?”】
Charli xcx – I might say something stupid featuring the 1975 & jon hopkins
アーティスト名 | Charli xcx |
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曲名 | I might say something stupid featuring the 1975 & jon hopkins |
出身地 | イギリス・ケンブリッジ |
ミニマルな展開で始まるこの曲は、途中でお決まりの爆発を見せるのだけれど、それがほんの一瞬で終わってしまう、不思議な構成。この曲は、Charli XCXがThe 1975のマット・ヒーリーとJon Hopkinsを迎えて制作したもの。冒頭で触れた斬新さが、これからのダンスミュージックのトレンドを変えていくのでしょうか。音楽シーンにどう作用していくのか、とても楽しみです!(アリア)
【関連記事 | “The 1975「Guys」の歌詞和訳から紐解く、メンバーと日本への深い愛”】
Cassandra Jenkins – Clams Casino
アーティスト名 | Cassandra Jenkins |
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曲名 | Clams Casino |
出身地 | アメリカ・ニューヨーク |
Cassandra Jenkinsの「Clams Casino」は、音楽ってこんなに美しかったんだって、改めて再確認させてくれる特別な一曲です。彼女の物語を感じさせる歌詞には、洞察が詰まっていて、“もう一人で笑いたくない”という言葉にハッとさせられます。『Clams Casino』は、ただ耳で聴くだけでなく、心で味わう曲のよう。聴いた後、ほんの少し世界の見え方が変わるかもしれません。(アリア)
maya ongaku – Iyo no Hito
アーティスト名 | maya ongaku |
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曲名 | Iyo no Hito |
出身地 | 日本・江ノ島 |
陶酔を誘うサウンドに引き寄せられて、有史以前の世界にタイムスリップしてしまうかのような「Iyo no Hito」。maya ongakuは、江ノ島を拠点に活動する音楽集団。彼らの音楽は、魂のルーツを超えた、アーシーなサイケデリアと表現されています。この曲を聴いていると、自然の中にいるような、原始的な感覚が呼び起こされるようです。聴き終わった後、“ここは一体いつ?”って思わず尋ねたくなるほど、我を忘れて聴き入ってしまいました。(アリア)
Erika De Casier – Lucky
アーティスト名 | Erika De Casier |
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曲名 | Lucky |
出身地 | デンマーク・コペンハーゲン |
昨年はNewJeansに楽曲提供したことで思わぬ形でシーン問わず注目を浴びていたErika De Casier。個人的にもぶっちぎりで熱狂してるグループとのコラボもあって、1stと2ndアルバムを聴き返してたところに今年待望の3rdアルバムのリリース。なかでも” Lucky”は、ここ最近のトレンドとなっているドラムンベースを主体に奏でられる優美なピアノの旋律で多幸感を与える白眉。先鋭的になっても着地はポップなのが流石だ。(滝田 優樹)
Pale Waves – Kiss Me Again
アーティスト名 | Pale Waves |
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曲名 | Kiss Me Again |
出身地 | イングランド・マンチェスター |
実は2022年リリースの前作『Unwanted』にはあまりグッときてなかったのだけど、今年リリースの最新アルバム『Smitten』は全曲をベストに選出したいくらい最高だった。やっぱりPale Wavesはパンクじゃなくて、インディーポップが似合う! とにかくギターの音が色彩鮮やかでヘザーのヴォーカルも快活。それでいて、ネオアコ由来の叙情性も備わっているもんだからこっちがエモーショナルにならざる得なかった。(滝田 優樹)
The Last Dinner Party – Caesar On A TV Screen
アーティスト名 | The Last Dinner Party |
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曲名 | Caesar On A TV Screen |
出身地 | イギリス・ロンドン |
2024年最もエキサイティングで、ドラマチックなパフォーマンスと作品をお届けしたバンドはまだ新人である彼女たちじゃないだろうか。控えめに評価しても時代を代表するバンドであったのは確かだ。楽曲からも伺えるように下地にあるのは、オペラとクラシック。特に今年配信で観ていたコーチェラでのパフォーマンスは圧巻で、何かに憑依され居るかのように陶酔的にオーディエンスを魅了する姿はここ数年のロックバンド達のデビュー時と比較しても規格外。(滝田 優樹)
Clairo – Sexy to Someone
アーティスト名 | Clairo |
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曲名 | Sexy to Someone |
出身地 | アメリカ・アトランタ |
昨年年間ベストに選出したDaughter同様にClairoが新作を出したら必然的に個人的な年間ベストに選出せざる得ない。3rdアルバム『Charm』は、これまでシグネイチャーとしていたベッドルーム・ポップとは距離をとった前作と比較するとまた原点に戻ってきた印象。いうならばベッドルーム・ポップとバロックポップの邂逅。これまで彼女が辿ってきたであろう音楽遍歴が余すことなく抽出され、ほどよく調合された最新型のチェンバーポップだ。(滝田 優樹)
BUBBLE TEA AND CIGARETTES – Plane Crash
アーティスト名 | BUBBLE TEA AND CIGARETTES |
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曲名 | Plane Crash |
出身地 | アメリカ・ニューヨーク |
ニューヨーク出身の韓国人の男女デュオで、2023年に初来日公演も行っていたようだけど、今年リリースされた2ndアルバムではじめて聴いた彼女ら。Cigarettes After SexやCocteau Twinsらを系譜とする甘美なドリームポップ〜ゴシック、サイケを奏でながら、日本でいうとCharaを想起させる物憂げなヴォーカル。と、特徴だけ並べるとシューゲイザーとミスリードされそうだけど、瑞々しくクリアなギターや激情的なドラムでそれを別次元へと誘う。(滝田 優樹)
The Marías – Echo
アーティスト名 | The Marías |
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曲名 | Echo |
出身地 | アメリカ・ロサンゼルス |
2017年リリースの『Superclean, Vol. I』は未だにお気に入りの1枚で今でも定期的に聴いているが、今回のアルバム『Submarine』もこの先何度でも聴きたくなるくらい魅力的なアルバム。前作のデビューアルバムがアグレッシブなネオ・サイケで、今作はそのカウンターとして、円熟味すら感じさせるアーバンソウルを土台にサウンドを紡いでいく。ヴォーカルMaría Zardoyaはプエルトリコをルーツに持つ。近年のホットミュージック・レゲトンとは別のアプローチでThe Maríasはグローバルな活躍を果たす。(滝田 優樹)
Sky Ferreira – Leash
アーティスト名 | Sky Ferreira |
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曲名 | Leash |
出身地 | アメリカ・ロサンゼルス |
2025年の初詣は彼女の2ndアルバム『Masochism』がリリースされることをお願いしてもいいくらいに次回作が待ちきれない…。インディーロック界におけるニュースター誕生を決定付けたデビューアルバム『Night Time, My Time』から早10年、以降のアルバム作品はタイトルのみ明かされているのみ。これまでPrimal Screamとのコラボやシングル曲「Downhill Lullaby」、「Don’t Forget」のリリースなんかもあったけど、今回は『Night Time, My Time』の雰囲気を引き継いだ楽曲だっただけに復活を期待できそう。(滝田 優樹)
Annie-Dog – Double Cherry
アーティスト名 | Annie-Dog |
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曲名 | Double Cherry |
出身地 | アイルランド・ダブリン |
ダブリン拠点のアーティスト・プロデューサー Annie-Dogは、まだまだ情報の少ないニューカマー。楽曲がリリースされたのは夏ころだったけど、その時からスマホのメモに2024年の年間ベストにこの曲を選出しようと決めていたくらい心揺さぶられた。American Footballの「Never Meant」を彷彿とさせるエモなギターと隠し味程度に配置されたドラムンベースとインダストリアルなサンプリング。引き合いに出されるのはPinkPantheressだけど、Annie-Dogはもう少しオルタナティブな印象。(滝田 優樹)
Chappell Roan – Good Luck, Babe!
アーティスト名 | Chappell Roan |
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曲名 | Good Luck, Babe! |
出身地 | アメリカ・ウィラード |
NewJeansを抜きにすると、今年1番聴いたのは「Good Luck, Babe!」だ。第67回グラミー賞では主要4部門含む計6部門にノミネート。もちろん納得! なにせ2023年リリースのデビューアルバム『The Rise and Fall of a Midwest Princess』は、レディー・ガガやケイティ・ペリー級の衝撃があった。その後リリースのこのシングル「Good Luck, Babe!」は完全無欠のポップネスで幕を開けたかと思うと徐々に歪みが生じて、最後には完全な狂気で終わる。そんな禍々しさも兼ね備えているもんだから無限ループ確定だった。(滝田 優樹)
Tanukichan – city bus
アーティスト名 | Tanukichan |
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曲名 | city bus |
出身地 | アメリカ・サンフランシスコ |
衝撃度だけでいうと「city bus」が今年ナンバーワンだった。興奮しすぎてXでも「クリーントーンのシューゲイザーというか、現代版イズントエニシングというか、意外とこんな感じでギターを処理した作品聞いたことなかったから、ものすごく新鮮で興奮してます」とポストしてたくらいだ。デビューアルバム『Sundays』でも2ndアルバム『Gizmo』でもMy Bloody Valentine愛が爆発だったけど、ニューゲイザーとは違う形でシューゲイザーを現代に転生させた発明の1曲。フルボリュームでのリスニング推奨。(滝田 優樹)
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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻
これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。
過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。
それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。
現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。
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Twitter:@boriboriyabori
ライター:アリア・ソムナンブラ
架空の神経科学者のアリア博士と実験失敗により、偶然生まれた音楽知識ゼロのスライムこと、プニポンとが贈る、インディー音楽探求プロジェクト🧪🎵 新人アーティストの魅力を知識とユーモアを交えて発信💡
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Twitter:@JingleJungleRT
ライター:滝田優樹
1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
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Twitter:@takita_funky