最終更新: 2025年11月12日

RAMの視点から


今回のクロスレビューに参加する機会をもらったとき、滝田さんと私がこれまで書いてきた記事の中でも、今回は特に難しい挑戦に思えた。

個人的な経験を振り返れば、私は母語ではない言語で音楽を聴くことは決して不慣れではない。

しかし、歌詞の内容を容易には理解できないアルバムについて、自分のリスニング体験を文章に落とし込むことは、当初考えていたよりも少し複雑なものとなった。

こうしたレビューを書く時の私の視点は、常に音楽との個人的な体験が中心にある。そこには、アルバムから引き出された私自身の解釈や感情が含まれる。

現代の音楽レコメンドに最も欠けているのは、こうした人間的な側面ではないかと私は考えている。

だからこそ、アルバムについて語るとき、自分の人間性を示したい。そうすることで、誰かが共鳴するかもしれない芸術作品に、優しく耳を傾けるきっかけになれたらと願っている。

yaboriさんは親切にも、私が理解できるよう歌詞を英訳したものを提供してくれた。

しかし私は、最初のリスニング体験を完全に目隠しした状態で行い、後からテキストの情報を読み込むことで、このレビューに大きな深みが生まれるのではないかと考えた。

こうして私は、ROTH BART BARONの『LOST AND FOUND』を繰り返し、聴き込むことになった。

迷っていることを知るために


矛盾なくして全体は存在しない。ものごとが動き出すためには、ある真実がその矛盾と対をなすことが不可欠である。

つまり、こうまとめることができるだろう──自分が“見つけた”と感じるためには、まず自分が“迷っていることを知る”必要があるのだと。

ROTH BART BARONの最新作『Lost and Found』において、聴き手はこの前提を、その聴き始めた瞬間から、やがて訪れる解決の感覚に至るまで、目撃することができる。

この作品は、親密で壊れやすい作品として姿を現す。そして冒頭から、聴き手を抽象的な感情の場所へと運んでいく。そこから、すべての言葉、音符、アレンジが生まれているように思える。

それはまるで──もう抱えきれなくなった雲から滴り落ちる水滴と同じリズムで、私たちの世界へと降りてくるかのようだ。

聴き手は、喪失という名の廊下をさまようアーティストの心の中へと招かれる。この世界はあまりにも巧みに構築されているため、歌われている言葉を理解する必要さえなく、容易に解釈できる。

音楽はそれ自身で語りかける。そうすることで、私たちの感情の深い部分で共鳴し、この作品が何を表現しているのかについて、疑問の余地を残さない。これは、ルーツの多様な楽器編成によって生み出されている。

それらは見事に融合され、私たちの夢や遠い記憶のサウンドトラックを想起させてくれる。つまり、エーテルのような雰囲気を創り出している。これに対となるのは、脆さを隠すことなく示すヴォーカルパフォーマンスだ。

歌詞の内容に私たちの視点に加えると、その絵はおぼろげながら姿を現す。これが感情の自然な顔なのだ。

ROTH BART BARONは夢のようなイメージを用いることで、音楽的文脈を増幅させ、感情が生まれる場所へと私たちを直接導く。

それは誰もが共感できる、感情の物語を語り始める。しばしば恐れられるが、私たち全員にとって避けられない、自然で不快な場所についても。

『Lost and Found』を聴き終えた時、私たちは自分自身が癒やされたことに気づくだろう。

そうあることで、人生のどの時点においても自分が迷っていると感じる私たちにとって、完璧なパートナーとなり、道案内となる。

再び見つけたと感じるために、私たちの心の中をさまよいながら。

デザイン:つでん
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ROTH BART BARONアルバムリリース

9thアルバム『LOST AND FOUND』


発売日: 2025年11月5日(デジタル)/ 2025年11月19日(LP)
レーベル: BEAR BASE / SPACE SHOWER MUSIC
収録曲:
1. CRYSTAL (feat. 塩塚モエカ)
2. Kitsunebi *2025年9月24日 先行シングル
3. Falling Stars Over Burning City
4. 薄明
5. 火魅蟲 – Fly to a Flame *2024年12月18日 先行シングル
6. Goodnight *2025年5月7日 先行シングル
7. S.O.S(Song of Sinking)
8. Happy *2024年、NHK「tiny desk concerts JAPAN」にて初披露
9. ima.
10. “You’re the Best Person in This World” *リード曲
11. 花吹雪 – Hanafubuki *2024年11月6日 先行シングル
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ROTH BART BARONプロフィール


ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)は、シンガーソングライター・三船雅也を中心に2009年から活動する日本のフォークロックバンドである。繊細な詩世界と壮大なサウンドスケープで、リスナーの心を深く揺さぶる独自の音楽を展開している。これまでにリリースしたオリジナルアルバムは8枚で、最新作はその名も『8』。各地の音楽フェスでも高い存在感を放ち、2023年には2度目となる<FUJI ROCK FESTIVAL>に出演し、多くの観客を魅了した。2021年には、アイナ・ジ・エンドとのユニットA_oによる「BLUE SOULS」がポカリスエットのCMで話題となった。2025年秋には2年ぶり、通算9作目となるニューアルバム『LOST AND FOUND』をリリースし、全16公演の全国ツアーを開催する。

ROTH BART BARON “LOST AND FOUND” TOUR

2025年公演

日時:2025年11月16日(日)
会場:京都・ロームシアター京都・ノースホール ~with Strings 編成~
主催:キョードー関西 / BEAR BASE

日時:2025年11月29日(土)
会場:東京・草月ホール ~with Strings 編成~
主催:DISK GARAGE / BEAR BASE

日時:2025年12月12日(金)
会場:兵庫・KOBE QUILT ~SOLO 編成~
主催:BEAR BASE

日時:2025年12月13日(土)
会場:静岡・space-K ~BAND 編成~
主催:BEAR BASE / ENNBOSS / MINDJIVE

日時:2025年12月20日(土)
会場:宮城・青葉山公園 仙臺緑彩館 交流体験ホール ~BAND 編成~
主催:Coolmine / BEAR BASE

2026年公演

日時:2026年2月14日(土)
会場:愛知・今池 THE BOTTOM LINE ~BAND 編成~
主催:サンデーフォークプロモーション / BEAR BASE

日時:2026年2月15日(日)
会場:岡山・YEBISU YA PRO ~BAND 編成~
主催:BEAR BASE

日時:2026年2月21日(土)
会場:福岡・福岡市民ホール 小ホール ~BAND 編成~
主催:BEA / BEAR BASE

日時:2026年2月22日(日)
会場:熊本・早川倉庫 ~BAND 編成~
主催:BEAR BASE

日時:2026年2月23日(月祝)
会場:鹿児島・CAPARVO HALL ~BAND 編成~
主催:BEAR BASE / WALK INN STUDIO! / CAPARVO HALL

日時:2026年2月27日(金)
会場:北海道・札幌 cube garden ~BAND 編成~
主催:WESS / BEAR BASE

日時:2026年2月28日(土)
会場:北海道・札幌 モエレ沼公園 “ガラスのピラミッド” ~BAND 編成~
主催:WESS / BEAR BASE

日時:2026年3月1日(日)
会場:北海道・札幌 モエレ沼公園 “ガラスのピラミッド” ~SOLO 編成~
主催:WESS / BEAR BASE

日時:2026年3月14日(土)
会場:大阪・シャングリラ ~BAND 編成~
主催:キョードー関西 / BEAR BASE

日時:2026年3月15日(日)
会場:富山・黒部市芸術創造センター セレネ 大ホール <追加公演>
主催:BEAR BASE

日時:2026年3月20日(金祝)
会場:東京・O-EAST ~BAND 編成・FINAL~
主催:BEAR BASE

チケット一般発売日:
2025年公演 9月20日(土)
2026年公演 11月8日(土)

詳細:https://linktr.ee/rothbartbaron

ライター:滝田優樹

1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。

そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。

その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。

退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。

それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。

猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。

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Twitter:@takita_funky

ライター:RAM

アルゼンチン国立芸術大学で音楽作曲を学ぶ学生。文章を書くこと、音楽の発見、そして音楽を共有し関わることに情熱を注いでいます。また、ソフトウェア開発者としても働いています。
ウェブサイト:
Instagram:@ramcst