最終更新: 2026年4月26日

ライブという人間的なコミュニケーション

Stella Donnelly
撮影:古溪一道(Kazumichi Kokei)

逆立ちとダンス、パフォーマンスの原点

-滝田:私も日本人として、名古屋のオーディエンスの反応というのは少し意外でしたので、興味深いお話でした。ライブパフォーマンスについてもお聞きしたいのですが、ダンスや逆立ちといったアクティブなパフォーマンスはあなたの大きな特徴だと思います。バンドセットで演奏しながらあのようなパフォーマンスをするアーティストはなかなか珍しいのですが、そうしたスタイルを取り入れるようになった経緯や、ライブで意識していることはありますか?

ステラ:『Thrush Metal』EPの頃は、曲が悲しくてシンプルなものが多かったから、ライブをしながら“もう少し楽しい要素を取り入れたい、ジョークやユーモアのノリを加えたい”と思うようになったの。「Boys Will Be Boys」のカウンターとして、バランスを取るための楽しい曲を作ったのがきっかけで、そこからどんどん広がっていった感じかな。

ライブで“グッとくる”瞬間

-滝田:ライブパフォーマンス中に“グッとくる”瞬間は、どんな時ですか?

ステラ:日本語に“わびさび”という言葉があるよね。予期せぬことが起きる瞬間があって、それはミスかもしれないし、お客さんの中で何かが起きることかもしれない。そういう時に一緒に笑えるのが、一番楽しい瞬間なの。自分がミュージシャンとしてライブを観に行く時も、アーティストがただオートパイロットで動いているのではなく、本当にその場にいることが伝わる瞬間が好きで。だから自分のライブも、決まったスクリプト通りじゃなくて、お客さんと一緒にその場にいるような、本当に人間的なコミュニケーションの場にしたいと思っているわ。

悲しみの隙間に喜びを忍び込ませる

ギャップのあるトーンと、意識的なバランス

-滝田:あなたの楽曲もパフォーマンスも、悲しみをただ悲しく伝えるわけでも、怒りをそのままぶつけるわけでもなく、どこかギャップのあるトーンで届けられているという印象があります。そこには意識的なメンタリティがあるのでしょうか?

ステラ:確かにそうね。今の世界はとても大変な時代で、悲しみや怒り、フラストレーションがベースにある中で、その隙間に喜びを忍び込ませていくことで、聴いている人にちょっとした希望を感じてもらえたらいいなと思っているの。だからライブでフリー・パレスチナと叫んだり、ファック・トランプと言ったりしながら、同時にとぼけたダンスをする。そのバランスを意識的に取っているわ。

次のページこちら ⏩️